不登校中の勉強法は?子どもが勉強しない理由や対応を解説
公開日:2021年03月19日 更新日:2025年04月01日

子どもが不登校になると親はさまざまな不安を抱きます。「子どもが勉強をしなくなってしまった」「このままだと勉強が遅れるのでは」など、子どもの学習面に不安を抱えている保護者もいるでしょう。この記事では、中学生で不登校の子どもが勉強しなくなる理由や対応方法、不登校の子どもの勉強方法について解説します。
不登校になると勉強しないのはなぜ?
不登校になると、子どもが勉強しなくなる理由には、いくつかの要因が考えられます。心身の疲労感や、勉強の必要性を感じられないこと、あるいは勉強の仕方がわからないことなどが挙げられます。これらの問題の背景を理解し、適切な対応をすることが大切です。
心と体が疲れているから
不登校の原因のひとつに、心と体の疲労があります。人間関係のストレスや勉強のプレッシャーで、心身ともに疲れ果ててしまうことがあります。
このような状態では、勉強どころか日常生活すらままならないこともあるでしょう。
勉強する必要性が感じられなくなるから
不登校になると、子どもは勉強の必要性を感じにくくなります。これは、学校に通っていないことで強制力がなくなり、学習の意義や目的を見失ってしまうからです。
学びの直接的な成果を実感する機会が少なくなるため、勉強する動機が薄れてしまいます。
勉強の仕方がわからないから
不登校の子どもにとって、勉強の仕方がわからないこともひとつの要因となります。
学校の授業を受けていないため、学習の進め方や新しい知識の習得方法がわからなくなってしまうことがあります。
例えば、教科書を読んでも理解できない部分が多くなり、自主学習に取り組む意欲が削がれてしまうことがあります。さらに、親が勉強のサポートをできない場合、子どもは自力での学習に限界を感じ、ますます勉強から遠ざかってしまいます。
子どもが勉強しないときの対応
不登校の子どもが勉強しない状況に遭遇すると、保護者は焦りと不安を感じることもあるでしょう。
焦らずに対応することで、子どもの心身の健康を保ちながら、勉強に対する興味を徐々に取り戻すことができます。
しっかり休ませる
前述の通り、不登校の子どもが勉強しない理由のひとつに、心と体の疲れがあります。この状態では、無理に勉強させようとしても逆効果です。まずはしっかりと休ませることが重要です。
毎日の睡眠時間を確保し、リラックスできる環境を整えることから始めてください。また、子どもが興味を持っている趣味や活動に取り組ませることで、精神的なリフレッシュ効果も期待できます。
さらに、保護者自身が子どもに対して「無理をしなくても大丈夫」と伝えることも大切です。これにより、子どもは安心して休むことができ、心身の回復を早めることができます。心と体が回復すると、その後の学習にも前向きに取り組めるようになるでしょう。
勉強を強要しない 勉強しなさいと言わない
不登校の子どもに「勉強しなさい」と強要することは、かえって逆効果になることがあります。無理に勉強させようとすると、子どもはさらにストレスを感じ、ますます勉強から遠ざかってしまうことが考えられます。
子どもが自分から勉強に取り組むようになるためには、まずは親が焦らずに待つことが大切です。勉強を押し付けるのではなく、子どもの興味や関心を尊重しながら、自然に学びたい気持ちが湧いてくるのを待ちます。
他人と比較しない
他人と比較されることは、不登校の子どもにとって大きなストレスになります。同級生や兄弟姉妹と比較されることで、子どもは自信を失い、さらに勉強への意欲を失ってしまうでしょう。
子どもの成長や学びのペースは一人ひとり違います。そのため、他人と比べずに子どもの個性を尊重し、できることに焦点を当てることが大切です。
また、保護者が子どもの努力を認めることで、子どもは自己肯定感を高めることができます。例えば、「今日はよくがんばったね」などと伝えることで、子どもは自身の成長を実感しやすくなります。
子どもの気持ちを勉強に向かわせるには?
不登校の子どもの勉強意欲を引き出すためには、まず生活リズムを整えることが重要です。その上で、子ども自身が勉強の必要性に気づくことが鍵となります。
生活リズムを整える
不登校の子どもの勉強意欲を高めるためには、生活リズムを整えることが重要です。
規則正しい生活リズムは、心と体の健康を回復・維持することにつながります。まずは、毎日同じ時間に起きて、同じ時間に寝る習慣をつけましょう。
不登校の場合、どうしても生活リズムが乱れやすいですが、親が一緒に規則正しい生活を送ることで、子どもも自然とそのリズムに馴染みやすくなります。
また、適度な運動やバランスの取れた食事も生活リズムを整える上で大切です。散歩や軽い運動を日常生活に取り入れることで、気分転換やストレス解消にもなります。
さらに、勉強する時間を決めるのもよいでしょう。少ない時間からでも、勉強に向かう時間を決めておくことで、習慣化しやすくなります。
子どもと一緒に勉強の必要性を考える
不登校の子どもが勉強に向かうには、子ども自身が勉強の必要性に気づく必要があります。
そのためには、親子で勉強の必要性について話し合うことが有効です。例えば、将来の夢や目標について話し、そのためにどのような知識や技術、学歴が必要なのかを具体的に考えることで、勉強の意味が明確になります。
親が一方的に勉強を強要するのではなく、子どもの視点に立ち、一緒に考える姿勢を持つことが、子どもにとって大きな励みとなります。
不登校の勉強は何から始める?
不登校の子どもが勉強を始めるにあたっては、無理のない範囲での学習計画を立てることが大事です。最初は得意科目や興味のある分野から手をつけ、徐々に学習習慣を取り戻すことを目指しましょう。
具体的な目標を立てる(達成できる小さな目標)
不登校の子どもが勉強に取り組む際には、達成できる小さな目標を立てることが重要です。
例えば、「1日30分、興味のある本を読む」といった達成できそうな小さな目標から始めます。目標が高すぎると挫折してしまう可能性があるため、小さな成功体験を積み重ねることを意識しましょう。
目標達成した際には、小さなご褒美を用意するなどしてモチベーションを保つ工夫も効果的です。
得意なことから取り組む
子どもが得意な教科や興味を持っている分野から取り組みましょう。
「苦手な教科の遅れを取り戻した方がよい」と考えてしまうかもしれませんが、できないことから始めると、さらに勉強する気を損ねてしまう可能性があります。
学習を習慣化するには、成功体験を積み重ねることが重要です。得意な教科から取り組んで自信をつけることで、ほかの教科にも挑戦する意欲が湧きやすくなるでしょう。
不登校中の勉強方法
不登校中の勉強方法については、さまざまな選択肢があります。
ひとりで学習する以外にも、家庭教師や学習塾を利用するという方法もあります。子どもの状況に合わせて、適切な方法を選ぶことが大切です。
教科書や参考書による自主学習
教科書や参考書を用いた自主学習は、子どものペースで学べるメリットがあります。
教科書の内容を理解しておけば、基本的に学校の勉強に遅れてしまうということはありません。
市販の参考書で補足したり、問題集で演習したりすることで、ひとりでも勉強を進めることは可能です。
また、Webサイトや勉強アプリなども、不登校中の自主学習を支えてくれる有効なツールです。
通信教育
通信教育は、ひとりで勉強をしたい子どもにとって有効な方法です。
教科書の進度に合った教材が届くため、それに合わせて勉強していれば、学校の勉強に遅れることはありません。
教材は、ひとりでも学習できるようにわかりやすく解説されており、演習問題も豊富です。
また、通信教育にはサポート体制が充実しているものもあります。例えば、オンラインでの質問対応や、定期的な学力テストを受けられるサービスもあります。これにより、自分の理解度をチェックし、必要なサポートを受けながら学ぶことができます。
家庭教師(対面・オンライン)
家庭教師による学習は、不登校の子どもたちにとって効果的な方法のひとつです。個別指導のため、子どもの理解度や学力に合わせた学習が可能です。
わからない点をその場で質問でき、細かい部分まで丁寧に教えてもらえます。
また、定期的にだれかと学習する機会を設けることで、勉強する習慣が身につきやすくなります。
家庭教師には、対面とオンラインがあります。直接顔を合わせることに抵抗がある場合は、オンラインの家庭教師を利用するとよいでしょう。
学習塾(個別・少人数・集団・オンライン)
学校に行くのは難しくても、塾には行けるという場合もあるでしょう。中には、不登校の子ども向けに、昼間に授業をしている学習塾もあります。
個別指導や少人数の学習塾では、子どもの状況に合わせて勉強を進めることができます。質問しやすく、細かい部分まで丁寧に教えてもらえます。
集団指導の学習塾では、学校以外の友だちができて、勉強のモチベーションが上がるかもしれません。
また、対面で授業を受けるのが難しい場合は、オンラインの学習塾を利用しましょう。
フリースクールや教育支援センター
フリースクールや教育支援センターは、不登校の子どもが社会と関わりながら学ぶための重要な場所です。
これらの施設では、個々のペースに合わせて勉強ができるだけでなく、心のサポートも行われます。
フリースクールは民間、教育支援センターは自治体が運営しています。
フリースクールや教育支援センターに通う場合、在籍校の校長先生が認めれば、学校の出席扱いにしてもらえる可能性があります。
フリースクールについては、『フリースクールとは?費用や活動内容、不登校特例校との違いを徹底解説』も参考にしてください。
不登校で勉強が遅れたらどうする?
子どもが不登校になってしまうと、学習の遅れが心配になることもあるでしょう。
しかし、中学校の学習進度はそれほど早くないため、急激に遅れることは少ないです。まずは焦らずに、子どもが無理のない範囲で少しずつ勉強を再開できる環境を整えることが大切です。
生活リズムを整え、学習習慣をつけることができれば、自宅学習でも勉強の遅れを取り戻すことは十分可能です。
勉強の遅れを取り戻すための自宅学習の方法については、『不登校の自宅学習どうする?勉強遅れを取り戻す方法』を参考にしてください。
まとめ
不登校の子どもが勉強をしなくなる理由には、心身の疲労、勉強の必要性が感じられないこと、勉強の仕方がわからないことなどが挙げられます。
子どもを勉強に向かわせるためには、まずは心身を休めることが重要です。その上で、小さな目標を立てて、少しずつ学習習慣を身につけていくようにしましょう。