卒業・留年・中退…不登校の進路を考える
公開日:2018年02月09日 更新日:2018年02月09日
不登校で、出席はおろか、学校の授業も受けてない。このままの状態で学校を卒業できるでしょうか。しかし、卒業よりも大事なのは、その後の進路のこと。中学生と高校生の不登校と卒業、進路について紹介します。
不登校の卒業。中学校は可能だが高校は困難
不登校といっても、中学生と高校生では大違い。なぜなら、中学校は義務教育ですが、高校は自分の意志で進学しているからです。不登校の生徒に対して、中学校は生徒が卒業できるようにはからってくれますが、高校は必要な単位が修得できなければ、生徒に対して留年などの措置を取ります。
高校の不登校は留年の原因になる
小学校や中学校に「出席日数の足りない児童生徒は、進級や卒業をさせてはならない」という決まりはありません。
義務教育とは、保護者や学校を運営する自治体が、児童や生徒に教育を受けさせる義務を負うことです。間違われやすいのですが、義務教育は、児童や生徒が教育を受けなくてはならない、という意味ではありません。
そのため、学校に通わなかったことで進級、卒業できないといった不利益を、児童や生徒に負わせることはできないのです。不登校による留年(原級留置)が行われることは、基本的にはありません。
※校長の判断によって留年処置が採られ、卒業できない場合もあります
実は高校でも、出席日数に関する明確な定めはありません。しかし、学年制の高校でも、各教科や科目に単位が定められており、進級や卒業するには、定められた単位数を修得しなければなりません。単位は規定時間分の授業を受け、試験で基準以上の成果を出すことで修得できます。高校で不登校に陥ると進級や卒業できなくなるのは、単位数の不足が原因です。
高校側は、生徒のケガや体調不良による欠席を見越し、ある程度の余裕を持って各教科や科目の授業(いわゆる時間割り)を設定しています。そのため、1週間ほど学校を休んでも(授業についていけなくなる点はのぞき)問題はありません。しかし、1年を通して1/3以上の授業を受けなかった教科、科目は、進級や卒業に必要な単位を得られません。
高校は中退せずに転入を
不登校で長期欠席し、留年が決まっても、通信制高校をはじめとした単位制を採用している高校に転入することで、3年で卒業できる可能性があります。
留年が決まると学校を中退する人が多いのですが、高卒資格を得るつもりがあるなら、思い止まってください。留年前に単位制の高校へ転入すると、それまでに修得した単位を引き継げることがあるのです。ある程度の単位を修得した状態で、高校生活を再スタートできるので、卒業するまでの時間を短縮できます。
通信制高校への転校や編入については「通信制高校の転入・編入(入学できる時期、試験、手続き)」で、詳しく解説しています。
中学卒業後の進路は早めに考える
よほどのことがない限り、不登校でも中学校を卒業できます。逆に言えば、不登校でも、卒業後の進路を決めなくてはならないのです。
ほとんどの中学校では、1学期末に三者面談が行われ、保護者を交えて将来の希望や卒業後の進路について話し合います。このとき、どんなことを勉強したいのか、どういった職業に就きたいのか、を伝えて、卒業の進路を検討します。
不登校から進学できる高校は、決して多くはありませんが、少なくもありません。高校で勉強するだけでなく、高等専修学校で専門的な技術を身に付けることもできます。不登校からの高校受験については「不登校からの高校進学。入試・受験、高校選びの注意点」で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
通信制高校やサポート校などへの進学を検討している人は、気になる学校の資料を取り寄せ、学校説明会やオープンキャンパスに足を運びましょう。
学校説明会やオープンキャンパスでは、学校に対して質問や相談をする機会があります。いまの状況を相談したり、学校のサポート体制を質問したりして、自分が通学したい学校なのかを検討しましょう。2、3校ほど見て回れば、それぞれの学校の違いがわかると思います。
できるだけ多くの学校を見て回るためにも、卒業後の進路は早めに考えておくことをおすすめします。特に夏休み期間中は、学校説明会やオープンキャンパスが頻繁に催されています。この機会を逃さないようにしましょう。
卒業証書は卒業式でなくても受け取れる
卒業式は、ただのセレモニーで、欠席しても、卒業が取り消されることはありません。もちろん、卒業証書も授与されます。卒業式を欠席した場合、卒業証書の受け取り方法は、郵送してもらったり、後日、本人か保護者が学校へ行ったりとさまざまです。
保護者としては、不登校でも、ひとつの区切りとして、卒業式に出席してもらいたいと思うかもしれません。しかし、本人に出席の意思がないのなら、それを尊重するのもいいでしょう。
本人に卒業式に出席の意思はあるものの、クラスメイトや特定の教員と顔を合わせたくない、卒業式だけでホームルームに出席したくないといった希望があるのなら、それを学校へ伝えることで、対応してくれることがあります。保護者席で卒業式に参加、校長室等の異なる場所での卒業証書授与など、柔軟に対応してくれます。