高校中退からの進学(専門学校、短大、大学)
公開日:2018年02月14日 更新日:2018年02月14日
高校を中退しても、大学や専門学校を卒業することで、将来の可能性が広がります。そのためには、高校卒業資格を得るか、高卒認定試験に合格する必要があります。高校中退から進学する方法について紹介します。
専門学校や大学への進学には高卒、高認の資格が必要
高校を中退して、大学や専門学校といった上級の学校へ進学するには、主にふたつの方法があります。
(1)高校卒業の資格を得る
高校卒業の資格は、全日制高校、定時制高校、通信制高校のいずれかの高校を卒業することで得られます。それぞれ高校で学習スタイルが異なりますが、3つのうちどれを卒業しても、高校卒業資格としては同じものです。
(2)高卒認定試験に合格する
高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)の合格者は、高校卒業と同程度の学力があると認められ、大学や専門学校を受験する資格が得られます。ただし、あくまでも受験をする資格であって、高校を卒業したことにはなりません。つまり、大学や専門学校に進学しなければ、最終学歴は中卒となります。
高校中退から高卒、高認の資格を得るには
高校を中退してから、高校の卒業資格を得るには、もう一度高校に入り直す必要があります。高校の種類には、全日制、定時制、通信制とありますが、これらの中で「入りやすさ」「卒業のしやすさ」の面で最もハードルが低いのが通信制高校です。
通信制高校の受験は、書類審査や面接が中心です。学力試験を行うことがありますが、現時点の実力を見るためで、選考に使われることはあまりありません。面接で「どうしても高校を卒業したい。今度こそやり遂げる」という強い意欲を見せることができれば、まず落ちることはありません。ただ、極端に素行が悪いと落ちることもあるそうです。
卒業しやすい通信制高校
ほとんどの通信制高校では、単位制を採用しています。単位制とは、高校の卒業に必要な単位を修得すれば卒業できるというしくみです。卒業には74単位以上が必要です。
自宅学習によるレポートの提出(添削指導)と実際に登校して指導を受けるスクーリング(面接指導)をしたうえで、単位認定試験に合格することで単位修得となります。試験といっても、レポートで勉強した範囲なので、普段からちゃんと勉強していれば合格できるでしょう。
また、通信制高校へ転入、編入すると、これまで在籍していた高校で修得した単位も反映されます。つまり、それだけ卒業までの期間が短縮されるわけです。ちなみに、多くの全日制高校で採用されている学年制では、単位は学年を修了したときに修得します。そのため、1年生で中退してしまうと、単位がまったく修得できていないことになるので、通信制高校では新入生と同じ扱いになります。
高卒認定は少しずつ合格すればOK
高卒認定や高認と呼ばれる高等学校卒業程度認定試験は、年に2回試験が行われ、合格すると大学や専門学校の受験資格が得られます。かつて大検と呼ばれていたものです。
■高卒認定試験の概要
受験資格 | ・受験する年度末までに16歳以上になる ・大学入学資格を持っていない |
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試験実施日 | 8月、11月の2回 |
受験科目 | 8~10科目 |
備考 | 大学受験は受験する年度末までに18歳以上になる年から可能 |
1回の試験で全科目に合格しなくても大丈夫です。合格した科目は累積していくので、何回かに分けて合格科目を増やし、最終的に全科目で合格すればいいのです。また、在籍していた高校で単位を修得していたり、英検などの検定試験で基準以上の級を修得していたりすると科目の受験を免除されます。
■試験を免除できる科目と必要な知識、技能
免除を受けることができる試験科目 | 名称 | 免除に必要な級 |
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世界史B | 歴史能力検定 | 世界史1級又は世界史2級 |
日本史B | 歴史能力検定 | 日本史1級又は日本史2級 |
数学 | 実用数学技能検定 | 1級、準1級又は2級 |
英語 | 実用英語技能検定 | 1級、準1級、2級、又は準2級 |
英語検定試験 | 1級又は2級 | |
国際連合公用語 英語検定試験 |
特A級、A級、B級又はC級 |
なかなか合格できない科目については、通信制高校で該当の科目を履修すれば良いことになっています(ただし、高卒認定試験を1科目以上合格していることが条件)。この場合、通信制高校にかかる学費は、履修した科目分だけで済みます。高卒認定試験と通信制高校を組み合わせて、上手に資格を取得しましょう。
注意したいのが、高卒認定試験に合格しても、高卒資格は得られないこと。あくまでも高卒と同等の学力を認定するもので、大学や専門学校に進学しなければ、最終学歴は中卒になります。
また、資格を取得してもすぐに大学入学できるわけではありません。合格の効力を発揮するのは18歳の誕生日からなのです。ちなみに、大学受験をする年度内に18歳になるのであれば、大学の受験資格が発生し、認定試験の合格証明書、合格成績証明書の申請ができます。
高卒、高認の資格より受験勉強が重要
実は、高校卒業資格や高卒認定試験合格の難易度は、それほど高くありません。大学進学を真剣に考えているのなら、資格を取得することよりも、この先の大学受験を見据えた勉強が必要になります。
通信制高校での勉強では大学受験には不足するといわれていますが、大学進学に力を入れている学校が増えています。大学受験のためのコースを用意するなど、難関大学の受験に対応できる通信制高校もあります。さらに、大学の付属の通信制高校なら、内部推薦でそのまま大学に進める可能性が開けています。付属でなくても、指定校推薦枠を持っている学校であれば、大学進学へのハードルは低くなるでしょう。
大学進学を考えている人は、複数校の資料を取り寄せ、受験のためのサポート体制はどうなっているか、進学率はどれぐらいか、どういう大学に進んでいるかを調べるようにしましょう。
また、大学進学を目指している人たちを対象とした、サポート校もあります。中には、大手予備校や塾と連携しているサポート校もあり、大学受験のノウハウが豊富。合格に向けた適切なアドバイスがもらえると、多くの通信制高校の学生たちが学んでいます。通信制高校の授業+αが欲しい人や、独学での受験勉強に不安を考えている人は利用するといいでしょう。
いずれにせよ、大学に進学することはゴールではありません。自分のやりたいことを実現するための通過点です。大学を卒業した後、何をしたいのか、将来の目標や夢を見据えた進路の選択し、そのうえで勉強を行いましょう。