高卒資格がほしい社会人には通信制高校がおすすめ
公開日:2018年02月14日 更新日:2018年02月14日
働きながら高校を卒業するのは、簡単なことではありません。しかし、社会人でもコツコツと勉強を続けていけば、誰でも高校卒業の資格を得ることは可能です。また、社会人が高校に入学することも、意外と珍しいことでもありません。仕事や勉強でやりたかったことがあるなら、いまからでも高校卒業をめざしてみましょう。
社会人こそ通信制高校がおすすめ
高校卒業の資格は、高校を卒業することで得られます。すでに就職している人が、働きながら高校卒業の資格を得ようとする場合は、定時制高校か通信制高校のどちらかに入学することになります。
定時制高校は、全日制高校と同じように、校舎に登校して授業を受ける学校です。授業時間は学校によって異なりますが、夕方~夜が一般的です。数は少ないですが、2部制(昼・夕方)、3部制(朝・昼・夕方)の定時制高校もあります。定時制高校では学年制が主流ですが、最近では単位制を採用している学校も見られるようになっています。
定時制の授業は、1日に4時間(50分×4)で4年かけて卒業を目指します。中には、3年間で卒業できるように、1日に多く授業を受けられたり、通信制高校と併修できたりする定時制高校もあります。
問題点は、定時制高校の数が少ないことです。自宅や勤務先の近くに学校があればいいのですが、定時制高校はあまり数がありません。毎日の仕事が定刻通りに終わる必要もあります。定時制高校はほとんどが公立なので、学費が安いというメリットはありますが、仕事によっては毎日通うのは難しいでしょう。
通信制高校は、ふだんは自宅でレポート(添削指導)の作成を行い、必要に応じてスクーリング(面接指導)で学校に足を運べばいいので、働きながらでも卒業を目指すことができます。しかも、通信制高校のほとんどは単位制なので、もし多忙で単位を修得できなくても留年することがありません。自分で勉強を進めなくてはならないので、自己管理能力を問われますが、定時制より通信制高校のほうが卒業の近道といえます。
意外に多い社会人高校生
すでに社会人と働いていて、成人していると、10代の若者に混じって学校に通うことに気後れするかもしれません。確かに、通信制高校に通っている学生は、10代が80パーセントと圧倒的です。しかし、20歳以上の生徒は、20パーセントもいます。5人にひとりが20歳以上と考えると、それほど少なくはありません。あまり年齢を気にする必要はないでしょう。
そもそも通信制高校は、あまり学校に通う必要がありません。年齢を気にせずに入学できる高校といえるでしょう。
■通信制高校に在学する年齢別生徒数(2016年度)
年齢 | 生徒数 |
---|---|
15歳 | 27,948人 |
16歳 | 39,435人 |
17歳 | 50,538人 |
18歳 | 17,813人 |
19歳 | 9,355人 |
20~24歳 | 21,303人 |
25~29歳 | 6,880人 |
30~39歳 | 5,115人 |
40~49歳 | 1,533人 |
50~59歳 | 510人 |
60歳~ | 601人 |
単位制は忙しい社会人学生向けのスタイル
学校に通いたくても「仕事が忙しくて、学校と両立できないのでは」と思う人もいるかもしれません。しかし、通信制高校であれば、空いている時間を利用して自宅で勉強するので、仕事と学校の両立は比較的容易です。
もし、仕事と学校を両立できないほど多忙になったとしても、単位制の通信制高校なら学校をやめる必要はありません。通信制高校は、全日制高校で採用されている学年制と異なり、留年してもう1年やり直すというしくみではありません。最終的に卒業に必要な単位を修得すればいいだけなので、単位を修得するペースを落として、仕事に影響が出ないようにすればいいだけです。それだけ卒業まで時間がかかりますが、留年してもう1年やり直すより効率的です。
多くの通信制高校では、社会人学生を考慮したカリキュラムを組んでおり、社会人学生向けのコースを用意している学校もあります。
社会人学生向けコースは、インターネットやラジオなどによる授業(※)を行い、夏季や冬季の休みやすい時期にスクーリングを実施するなど、社会人が勉強しやすい工夫がされています。
※インターネットの動画配信、ラジオ、テレビ放送などを使った学習を行うことで、スクーリングの単位時間は大幅に免除され、月に1~2回ほどの通学で済ませられる。
目的別に選ぶ、社会人の通信制高校と高卒認定
大学や専門学校へ入学したいのであれば、高校に通うのではなく、高卒認定(高等学校卒業程度認定試験、旧・大検)を取得するという方法があります。高卒認定は、高卒認定試験を合格することで大学や専門学校への受験資格を得られます。ただし、高卒認定は高校卒業資格にはならないので、大学や専門学校へ進学しなければ意味がありません。ここでは、高卒資格と高卒認定の説明とあわせて、社会人が希望する目的別に、おすすめの進路を解説します。
目的:高卒資格が欲しい!
おすすめ:通信制高校
高卒認定は「高校卒業と同程度の知識や教養がある」というアピールはできますが、厳密には高校を卒業したことにはなりません。高卒認定に合格しても、最終学歴は中卒のまま変わらず、「高卒以上」を条件とする求人に応募することはできません。高卒資格が必要なら、通信制高校で卒業することをおすすめします。
目的:高卒程度の学力が必要
おすすめ:高卒認定
求人の条件が「高卒程度の学力」なら、必ずしも高卒資格は必要ありません。高卒程度の学力があることを証明するだけなら、高認試験に合格することが一番早く、費用もかからずに済みます。ただ、高卒程度の学力を得るための勉強は必要です。自主学習と行うか、高認予備校に通って、学力を身に付けてから試験に臨みましょう。
目的:早く専門学校、大学へ進学したい
おすすめ:高卒認定
高校を卒業しなくても、高卒認定に合格すれば、大学や専門学校を受験できます。18歳以上であれば、高卒認定試験に合格した翌年度の大学受験を受けることも可能です。ただし、高卒認定は、高校卒業程度の学力があることを認定するだけで、大学に進学するには、大学受験用の勉強が必要なことに注意してください。
目的:急がず専門学校、大学を目指したい
おすすめ:通信制高校(大学進学コース)、高卒認定+予備校
高卒認定に合格すること自体は、それほど難しくはありません。しかし、大学へ進学するのであれば、志望校の難易度にあった勉強が必要です。急がないのであれば、通信制高校の大学進学コースで、じっくりと実力を付けていくほうが確実です。高卒認定にこだわるのなら、高卒認定に合格してから大学受験の予備校に通うのもいいでしょう。