通信制高校の卒業って難しい?簡単?卒業率や必要単位を徹底解説!

「通信制高校は卒業することが難しい」という話を耳にしたことがある人も多いかもしれません。最も気になるのは「自分でもちゃんと通信制高校を卒業できるのか」ということではないでしょうか。この記事では、通信制高校を確実に卒業するためには、どうすればいいのかを解説します。

通信制高校を卒業するには?いつかは卒業できる?

通信制高校は通学する日数が少ないため、全日制高校よりも簡単に卒業できるというイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。しかし、通信制高校と全日制高校では学び方が大きく異なるため、一概に「簡単」「難しい」と言い切ることはできません。

全日制高校では、1年ごとに学ぶ科目が決められていて、その必要な科目を修得できなければ留年となり、進級できなくなります。また、在籍期間が6年と決められているため、その期間を超えて在籍することもできません。

一方、通信制高校は単位制を採用しているところが多いため、卒業までに必要な単位を修得できれば、在籍期間に関係なく、いつかは卒業することができると言えます。

通信制高校を卒業するための条件

では、単位制の通信制高校を卒業するには、どうすればいいのでしょうか。具体的には、次の3つの条件をクリアしなければなりません。

①在籍期間3年以上

卒業に必要な単位を修得したとしても、高校卒業資格を取得するには、通信制高校に3年以上在籍する必要があります。ただし、通信制高校に転入・編入した場合は、前の学校での在籍期間も含まれます。

また、サポート校に通っているだけでは高校卒業資格を得ることができず、必ず通信制高校と同時に入学することが必要です。

②74単位以上を修得

単位とは「学習する量」のこと。1単位は50分として計算され、例えば国語の場合、1単位を修得するためには必要な学習量はレポート(添削指導)の提出回数を年間3回、スクーリング(面接指導)への参加(1時間)が必要です。レポートやスクーリングの回数は異なるので、よく確認することが大切です。

また、このほかに単位認定試験(テスト)が課せられます。通信制高校に転入・編入する場合は、前の学校で修得した単位を含むことができます。

⇒単位について詳しく知りたい方はこちら

③30単位時間以上の特別活動への参加

特別活動とは、授業以外の遠足、文化祭、修学旅行などの学校行事やホームルームのこと。通信制高校は自宅学習が基本ですが、定期的にスクーリングに出席する必要があります。出席頻度は週に1回から年に数回と、学校によって異なります。スクーリングの中に特別活動が含まれているケースも多いため、よく確認しましょう。

学校によっては、自然豊かな場所にある本校に宿泊する集中スクーリングを行い、その中で農業体験や地元の方々とのふれあいなどを実施するところもあります。登校日数を少なくしたい人や、日常ではできない体験をしてみたい人におすすめです。

通信制高校を卒業するのは簡単?難しい?

通信制高校の課題の難易度は決して高くありません。計画的に勉強を進められるという人には「簡単」に感じますし、勉強に集中できる環境を整えられないという人には「難しい」と感じるでしょう。

通信制高校で学び、卒業することが難しくなってしまう要因を以下で解説します。

■通信制高校で学び続けるのが難しい理由

通信制高校に入学しても、必ず卒業できるとは限らないのが現状です。通信制高校には毎年数多くの生徒が入学していますが、残念ながら卒業までに退学してしまう生徒もいます。実際にどのくらいの人が中途退学しているのか見てみましょう。

文部科学省初等中等教育局児童生徒課の「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について 」によると、2021年(令和3年)度に通信制高校を中途退学した生徒は8,245人でした。中途退学した理由で最も多かったのは、「学校生活・学業不適応」です。

中途退学の理由 人数
学業不振 582人
学校生活・学業不適応 1,695人
別の学校への入学を希望 890人
専修・各種学校への入学を希望 99人
就職を希望 742人
高卒程度認定試験受験を希望 209人
その他の進路変更 872人
病気・けが・死亡 617人
経済的理由 390人
家庭の事情 465人
問題行動等 73人
その他の理由 1,611人

※出典:文部科学省初等中等教育局児童生徒課「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について 」p.116

学校生活・学業不適応によって退学に至る背景には、通信制高校ならではの要因が深く関係しています。

  • 自分ひとりで勉強を進めなければならない
  • 生活リズムが合わずスクーリングに参加できない
  • 通信制高校には留年がないため、単位修得を先延ばしにしてしまう

通信制高校には学校から決められた授業や時間割がないため、スクーリングに参加したり、レポートを作成したりと、自分で勉強を進めなければなりません。そのため、通学日数が自分の生活リズムに合わず、スクーリングに参加できないという生徒や、レポート課題の量が多くて、提出期限までに間に合わないという生徒も多いようです。

通信制高校は全日制高校と異なり、毎日学校に通う必要がありません。だからこそ、74単位を修得するには本人の強い意思と学習計画が必要です。

公立・私立の通信制高校、どちらの卒業率が高い?

文部科学省が発表している「学校基本調査」の2022年(令和4年)度のデータを見てみると、前年度からの累計で73,146人が通信制高校に入学していますが、同じ年に10,828人が退学しています。年度ごとに集計しており、多少の誤差はありますが、約15%の生徒が卒業をあきらめているという厳しい現状があります。

通信制高校には私立と公立があり、それぞれの入学者数を見てみると、私立の通信制高校は60,600人で、公立の通信制高校は12,546人。

次に退学者数を見てみると、私立の通信制高校は66,752人で、中途退学率は約11%。一方、公立の通信制高校を退学したのは4,076人で、中途退学率は約32%と、公立の中途退学率のほうが高く、卒業率も公立のほうが低い傾向にあると考えられるでしょう。

■公立・私立通信制高校の中途退学率

 

公立

私立

入学者数 10,828人 60,600人
退学者数 4,076人 6,752人
中途退学率 約32% 約11%

※出典:文部科学省「学校基本調査(令和4年度)」入学者数・退学者数(本科)及び単位修得者数

なぜ公立通信制高校の中途退学率は高いの?

公立通信制高校は地方自治体が開設しており、その地域の中学校卒業者、またはそれと同等の人なら誰でも入学できます。学費が安いという利点がありますが、学校の仕組みとして、生徒の自学自習を前提としているため、自分のことは自分でするという心構えが必要です。

公立通信制高校に通う場合は、「計画的に学習が進められそうか」「ちゃんと続けられそうか」「続けられなかったときにどんなサポートがあるか」など、しっかり確認しましょう。

私立通信制高校の手厚いサポートとは

私立通信制高校の退学者数は公立通信制高校に比べて低く、3分の1程度です。その背景には、私立ならではの手厚いサポート体制が大きく影響していると考えられます。

大学や短大への進学に特化したコースを設置

通信制高校の中には、進学に特化したコースを設置している学校もあるため、大学への進学をあきらめる必要はありません。例えば、第一学院高等学校では、大学進学に特化した「特別進学コース」を用意しています。学校でも自宅でも繰り返し見ることができる映像授業を利用することができ、大学受験に備えることが可能です。第一学院高等学校の詳しい内容は、こちらから確認できます。

<第一学院高等学院の詳細はこちら>

中学の基礎から学び直せる

過去の不登校などによって学力に不安がある場合は、基礎から学び直すことも大切です。中学の勉強から学び直すことができる通信制高校なら、勉強に対しての苦手意識を克服しながら卒業を目指すことが可能です。

中学の勉強が遅れている生徒や止まっている生徒のサポート体制が充実しています。当サイトには基礎から学べる学校をまとめているページがあるので、ぜひ参考にしてみてください。

<基礎からしっかり勉強できる学校まとめ>

イベントや特別活動など高校生らしい生活も叶う

「通信制高校は他の生徒に関わることなく卒業するもの」というイメージがある人もいるでしょう。しかし、通学タイプの通信制高校を選べば、全日制の高校と同じように高校生らしい生活を送れます。中にはイベントが豊富な学校もあります。

郁文館夢学園 ID学園高等学校では、体育祭や選べる特別活動などがあるようです。本人の体調と相談しながら決めていけるので、負担なく高校生らしい生活を楽しめるでしょう。郁文館夢学園 ID学園高等学校の詳しい内容はこちらで確認できます。

<郁文館夢学園 ID学園高等学校の詳細はこちら>

通信制高校を卒業するためのヒント

公立・私立、どちらの通信制高校に通ったとしても、自分の体調と相談しながら、できる限り学校に通うという状況を作ることが大切です。しかし、通信制高校には毎年多くの生徒が入学しているものの、退学する生徒が多いのも事実です。通信制高校の卒業を目指すためにも、次のポイント押さえておきましょう。

単位取得の計画を立てる

通信制高校を卒業するためには3年以上の在籍期間のほかに、74単位以上の取得や30単位時間以上の特別活動への参加が必要です。全日制高校のように決められた授業がないため、すべての条件を満たすには計画的に勉強を進めていく必要があります。条件を満たせずに卒業できないといった状況を防ぐためにも、入学後は単位取得に向けた計画を立てることが大切です。

サポート校を利用する

学業不振による退学を防ぐには、サポート校を利用するのも手段のひとつです。サポート校は学習面だけでなく、生活面や精神面をトータルでサポートしてくれる学校です。レポート作成や学力に不安がある人は、通信制高校とは別にサポート校の利用を検討してみると良いでしょう。

自分に合った通信制高校を選ぶ

学校に通えば、高校卒業資格を取得するという目標を持った仲間から刺激を受けることもでき、やる気も出てくるはずです。ただ、中には人と関わることが苦手で、できる限り通学したくない人もいるようです。

通信制高校の中には、レポートの取組み方について指導してくれたり、個別指導やSkype(スカイプ)の授業などで対応してくれたりする学校もあります。「自宅学習を続ける自信がない」という人は登校日数が多い通信制高校を選び、「人と話すのが苦手」という人はスクーリングが少ない通信制高校を選ぶなど、自分に合った学校に通うことをおすすめします。