高校で不登校だと進路はどうなる?中卒だと将来不利?

中学校で不登校のために、高校へ進学しなかったり、中退したりしてしまうと、最終学歴は中卒です。高校は義務教育ではありませんが、中卒と高卒とでは、進学や就職で選べる進路の幅が異なります。 この記事では、中卒と高卒の違いや、不登校でも高卒資格を取得する方法について紹介します。

高校辞めて中卒になった人の割合

文部科学省の調査(学校基本調査)によると、2023年度の中学卒業者数は約108万人。そのうち、高校等に進学したのは約106万人です。

つまり、98.7%の人が、中学卒業後に高等学校等へ進学しているということです。

また、2023年度の高校等の生徒は約300万人。うち、途中で辞めた人の数は約46,000人でした。

約1.5%の人が、高校を辞めて中卒になっていることがわかります。ただし、この中には、その後ほかの高校に編入して、高卒になる人も含まれます。

中卒だと就職できない?

中卒だと就職は難しいと考える人も多いですが、実際には中卒で就職している人はたくさんいます。

ただし、高等学校等への進学が多い中で、最終学歴が中卒である場合は、さまざまな場面で不利になることが考えられます。

中卒だと求人が少ない

ハローワークや転職情報サイトで求人情報を探すとき、中卒者は「学歴不問」、高卒者は「高卒以上」を条件にします。

学歴不問とは文字通り、就職・転職希望者の学歴を問わない募集のことです。

多くの企業が、「高卒以上」を募集要件としているため、中卒だとそもそも就職先の選択肢が狭まります

また、中卒だと取得できない資格(例えば、保育士、教員、美容師など)があるため、これらの職業を選ぶことができません。

中卒と高卒の生涯賃金の差

収入の面でも、中卒と高卒で差があります。

統計データによると、男性の生涯賃金は、中卒者でおよそ2億5,300万円、高卒者で2億6,600万円でした。

最終学歴 生涯賃金
中学卒 2億5,300万円
高校卒 2億6,600万円
専門学校卒 2億6,500万円
高専・短大卒 2億9,600万円
大学卒 3億2,700万円
大学院卒 4億1,000万円

出典:労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2024」

中卒者と高卒者との生涯賃金の差は、およそ1,300万円です。この差を大きいと感じるか、小さいと感じるかは人それぞれですが、中卒で職に就いて勤続年数を長くするよりも、3年かけて高卒の資格を取る方が、結果的に生涯賃金が高くなります。

なお、高校で不登校になった場合の就職については、不登校でも就職できる?不利になる理由や成功率を上げる方法を参考にしてください。

中卒だと大学に進学できない?

不登校で中卒になっても、大学進学は可能です。

高卒認定試験に合格することで、高校を卒業していなくても、大学受験ができます。

高卒認定試験は、高校を卒業していない人が高等学校卒業と同等の学力を有することを認定する試験です。合格すれば、大学や専門学校に進学する資格が得られるだけでなく、各種資格試験の受験資格も得られます

ただし、高卒認定の場合、大学や専門学校を卒業しないと、最終学歴は中卒のままです。高卒資格を取得したいのであれば、ほかの高校で学び直す必要があります。

定時制や通信制高校で学び直す

あらゆる面で、高卒の資格を持っている方が有利ですが、「また不登校になるかもしれない」「通学を再開する自信がない」などの不安を抱え、高校へ復帰する勇気を持てない人もいます。

そのような人には、全日制だけではなく、定時制高校や通信制高校で学び直す方法があります。

定時制高校は夜間だけでなく昼や夕方の授業がある学校もあります。時間に融通がきき、不登校経験者も多いので周りを気にせず通いやすいでしょう。

通信制高校は、自宅学習でレポートを作成し、月に数回だけスクーリングとして学校へ登校することが多いです。本人が希望しない限り、クラスメイトと交流する必要はありません。

また、単位制を採用しているので、スクーリングができなくても留年することはなく、修得した単位を失わずに済みます。通信制高校に在学している限り、何度でもやり直すことができます。(※通信制高校によっては、在学できる最大期間を設定している場合があります)

また、私立の通信制高校では、通学の日数を自分で選択できる学校があります。はじめは少ない日数にしておき、慣れたら通学日数を増やせます。

通信制高校なら、徐々に自分のペースで学び直すことが可能です。また、学校によっては、高校を卒業するための授業だけでなく、専門的な技術や知識を身に付ける授業を受けることもできます。

不登校からの大学進学ついては、高校で不登校でも大学受験はできる?大学に行きたいなら抑えておくべきポイントで詳しく解説しています。

高等専修学校で資格取得を目指す

高校以外にも、中卒生が進学できる選択肢はあります。例えば、高等専修学校では、専門的な技術や知識を学ぶことができ、就職に直結するスキルを身につけることができます。中卒者や高校を途中で辞めた人が対象で、国家資格の取得や、専門学校や大学への進学を目指します。

将来なりたい職業や、やりたいことがあるなら、高等専修学校へ進学し、理容師免許、調理師免許、看護師免許、自動車整備士資格などの国家資格を取得して就職を目指す道もあります。

なお、専門学校へ進学したい場合、前述の通信制高校も有力な選択肢になります。詳しくは通信制高校から専門学校へ進学できる?条件や入試方式や進学後のキャリアを解説!を参考にしてください。

不登校で中卒は人生詰んだ?

不登校の末に中卒となることは、就職や進学で不利になることはあります。しかし、それが人生の終わりを意味するわけではありません。

文部科学省の調査によると、不登校経験のある人の8割以上が、20歳時点で就職や進学を果たしています。不登校の経験があったとしても、その後の努力次第で取り戻すことができることがわかります。

通信制高校や定時制高校に通って学び直し、高卒資格を取得したり、高卒認定試験を受けたりすることで、中卒の不利な状況は解決できます。

不登校から中卒になったからと言って、「人生詰んだ」とあきらめるのは早いです。自分に合った方法を見つけて、希望する進路に向けて進みましょう。

まとめ

不登校の経験がある高校生にとって、中卒という学歴が、進路にどのように影響するかは重要な問題です。

進路選択の幅を広げるためには、高卒資格や高卒認定の取得が不可欠です。

いずれにせよ解決方法はあるため、「もう進学できない」「もう就職できない」とあきらめず、自分に合った方法を探してみてください。