通信制高校の選び方をポイント別に解説|手順や気をつけることも紹介

通信制高校は全国に約300校あり、どこがいいのか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。 通信制高校の選び方のポイントは、学費やサポート内容、通学スタイルなどさまざまです。 この記事では、ポイント別に選び方や注意点を解説します。

通信制高校の選び方

通信制高校を選ぶ際のポイントは下記の7つです。

  • 学費で選ぶ
  • 公立か私立で選ぶ
  • 通学スタイルで選ぶ
  • サポート内容で選ぶ
  • 大学への進学実績で選ぶ
  • 身につけたいスキルで選ぶ
  • 学校行事の頻度で選ぶ

学費で選ぶ

通信制高校の選び方として、学費で選ぶ方法があります。

学費は公立のほうが私立より安い傾向です。公立と私立の通信制高校の学費を比較すると下表の通りです。

  公立 私立
入学金 約500円 約15万円
3年間でかかる授業料 約30,000円 約90万円
3年間でかかる諸費用 約60,000円 約18万~30万円
入学から卒業までにかかる費用合計金額 約90,000円 約109万~125万円

※諸費用には、教材費、施設の設備費、行事費などを含む

比べると、私立は公立の約10倍の費用がかかることがわかります。

なお、学費については「高等学校等就学支援金制度」「高校生等奨学給付金」といった公的支援制度が利用可能です。公立・私立にかかわらず利用でき、場合によっては授業料を実質無料にできる場合があります。

詳しくは、こちらの記事「通信制高校の学費を無償化!利用できる公的制度を徹底解説!」を参考にしてください。

公立か私立で選ぶ

通信制高校を公立か私立かで選ぶ方法もあります。それぞれの違いは下表の通りです。

  公立 私立
中退率 高い 低い
サポートの手厚さ 低い 高い
スケジュールの柔軟性 低い 高い
カリキュラムの豊富さ 低い 高い

サポート面は私立のほうが手厚い傾向です。常駐カウンセラーによるメンタルケアなど、さまざまなケースが見られます。

また、スケジュール面についても私立は柔軟です。公立はスクーリング(面接指導)やレポート提出日を生徒の都合で変えることはできませんが、私立の場合は調整ができます。

私立は学習カリキュラムも豊富で、大学進学や専門スキル習得を目的としたコースなど、多種多様な内容が設けられています。

公立か私立で悩む場合は、こちらの記事「通信制高校の公立と私立の違い!どっちがいいか解説」も参考にしてください。

通学スタイルで選ぶ

通信制高校を通学スタイルで選ぶ方法もあります。通学スタイルの例は、以下の通りです。

  • 全日型:全日制と同じように週5日通学する
  • 通学型:週2日、週3日など決まった回数で通学する
  • フレックス通学型:週1~5日から自由に登校回数を選んで通学する
  • 在宅型:スクーリング以外はほぼ自宅での学習

在宅型でも、単位取得にはスクーリング(面接指導)を受ける必要があるため、所定のスクーリングに際しては通学が必要です。

通学スタイル別の通信制高校は、下記の記事を参考にしてください。

通学なし!通信教育中心で卒業できる通信制高校まとめ

全日制と同様に毎日通学できる通信制高校まとめ 

通学スタイルが選べる通信制高校

1つの学校で在宅型・通学型など複数の通学スタイルが選べる学校は多くあります。

通信制高校の例 通学スタイル
N高等学校・S高等学校・R高等学校 ・週1日・週3日・週5日から選択できるフレックス通学型
・在宅型
ヒューマンキャンパス高等学校 ・週1~5日から選べるフレックス通学型
・在宅型
第一学院高等学校 ・週1~5日から選択できるフレックス通学型
・在宅型

サポート内容で選ぶ

通信制高校をサポート内容で選ぶ方法もあります。各学校でさまざまな支援が提供されています。

例えば、中央高等学院は、中学の復習からサポートしてもらえる学校です。習熟度に合わせたレベル別授業が受けられます。

また、Prima国際高等学院は、不登校の生徒に対するメンタルサポートが手厚い学校です。専門家のメンタルサポートがあるほか、ソーシャルスキルトレーニングを受けられます。

常駐カウンセラーのサポートがある通信制高校

個別サポートを受けやすい常駐カウンセラーがいる通信制高校を紹介します。

通信制高校 常駐カウンセラーのサポート内容
N高等学校・S高等学校・R高等学校 スクールカウンセラーが在籍、オンラインでも相談が可能。心身の健康や、ライフイベントと学習の両立をサポート
ルネサンス高等学校 スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーが在籍、オンラインでも相談可能
クラーク記念国際高等学校 全教員が「学習心理支援カウンセラー」の有資格者。生徒の学習や生活における相談に対応

カウンセラーサポートの手厚い学校は、こちらの記事「不登校サポートが手厚い通信制高校まとめ」で紹介しています。

大学への進学実績で選ぶ

大学への進学を希望している場合は、大学への進学実績に注目して選ぶとよいでしょう。

例えば、クラーク記念国際高等学校は国公立・私立の難関大学から海外大学まで進学実績があります。

全国約320の大学から1,400枠以上の指定校推薦を確保しているなど、大学進学のチャンスが豊富です。進学対策や小論文、面接対策など、受験対策のサポートが充実しています。

学校によって進学向けの特別コースを設けていたり、学習カウンセラーのサポートが受けられたりとサポート体制はさまざまです。希望大学の進学実績が高い通信制高校を選ぶのもひとつの方法です。

大学進学を目指せる通信制高校

大学進学を目指せる通信制高校には下記のような高校があります。

通信制高校 大学進学率 進学実績
N高等学校
S高等学校
R高等学校
45.5% ・東大:7名
・国公立:189名
・早稲田、慶應:82名
・海外大学: 203名など
(2024年度)
第一学院高等学校 ・国公立・私立・海外大学等: 1,672名
・専門学校等: 1,148名(2024年度)

N高等学校・S高等学校・R高等学校の「個別指導コース」では、決まったカリキュラムなどはなく、各々の目標に沿って1人対1人で学ぶことが可能です。

第一学院高等学校には進学に向けた「プレミアムコース」があり、大学受験に向けた進学予備校のライブ配信授業などが受けられます。

大学進学を目指せる通信制高校については、こちらの記事「大学進学を目指せる通信制高校まとめ」も参考にしてください。

身につけたいスキルで選ぶ

私立の通信制高校では、高卒資格を得るための授業以外に、専門スキルや知識を学べる授業を設けていることがあります。身につけたいスキルで選ぶこともできます。

例えば、東京自由学園の場合、音楽専門コースが設けられています。現役プロミュージシャンによる専門的な音楽指導を受けることが可能です。

ほかにも、ルネサンス高等学校では、eスポーツに特化したeスポーツコースや、ITスキルを高めるプログラミングコース、美容師や芸能を目指せるダブルスクールコースがあります。

選ぶ際は、専門講師が在籍しているか、設備教材が充実しているかを確認しておきましょう。

専門スキルが学べる通信制高校

専門スキルが学べる通信制高校には下記のような学校があります。

学びたいこと 通信制高校の例
美容師免許を取りたい ヒューマンキャンパス高等学校
青山ビューティ学院高等部 東京校
芸能界を目指したい 第一学院高等学校
勇志国際高等学校
アニメクリエーターを目指したい おおぞら高校
北海道芸術高等学校 東京池袋サテライトキャンパス

美容師免許を取りたいなら、「ヒューマンキャンパス高等学校」や「青山ビューティ学院高等部東京校」がおすすめです。

ヒューマンキャンパス高等学校は美容のプロから学べ、授業以外のセミナーやイベントを開催しています。青山ビューティ学院高等部東京校は現役教師から少人数制で学べ、現場アシスタントなどの実務も経験できます。

芸能界を目指すなら、「第一学院高等学校」や「勇志国際高等学校」がおすすめです。

第一学院高等学校は大手芸能プロダクション系列の学校と連携しており、本格的なレッスンを受けられます。勇志国際高等学校では、プロ講師の指導を受けられます。

アニメクリエーターを目指すなら、「おおぞら高校」と「北海道芸術高等学校 東京池袋サテライトキャンパス」がおすすめです。

おおぞら高校では、「日本マンガ塾」と連携した本格的なプログラムを学べます。北海道芸術高等学校 東京池袋サテライトキャンパスには、デジタルイラストやマンガについて学べる専門コースがあります。

専門スキルを学びたい方は下記の記事も参考にしてください。

美容師免許を取得できる通信制高校まとめ 

声優になるための勉強ができる通信制高校まとめ 

憧れのアニメクリエーターを目指せる通信制高校まとめ

eスポーツ専攻コースがある通信制高校まとめ

学校行事の頻度で選ぶ

学校行事の頻度で通信制高校を選ぶ方法もあります。

集団行動が苦手な人や、仕事が忙しい場合は、学校行事の少ない学校を選ぶことがおすすめです。あるいは、行事への参加を任意とする学校もあるため、そうした学校を選ぶのもよいでしょう。

ただし通信制高校では、卒業に「特別活動」への参加が30単位時間必要(1単位時間=50分)であることに注意が必要です。特別活動には、一部の学校行事が含まれるため、どの行事が含まれるかをあらかじめ確認しましょう。

通信制高校を選ぶ手順

通信制高校を選ぶ手順は下記の通りです。

  • 目的を明確にする
  • 情報収集する
  • 資料を取り寄せる
  • オープンキャンパスに参加する

目的を明確にする

通信制高校を選ぶ場合には、まず通信制高校に通う目的を明確にしましょう。目的が明確になると、通信制高校を選びやすくなります。

複数目的がある場合は、優先順位をつけると候補を絞りやすいです。

【通信制高校を選ぶ目的の例】

目的 通信制高校を選ぶポイント
高校卒業の資格が欲しい ・卒業まで無理なく学習が続けられる学校を選ぶ
大学に進学したい ・大学受験のサポートに力を入れている学校を選ぶ
・進学率や進学実績で選ぶ
自分のペースで学びたい ・自分のペースにあう通学スタイルの学校を選ぶ
専門スキル・資格を取得したい ・身につけたいスキルが学べるコースのある学校を選ぶ
スポーツや芸能、仕事と両立させたい ・スクーリングの頻度、学校行事の少ない学校を選ぶ

情報収集する

通信制高校を選ぶ際には、自分の目的にあった学校を見つけられるよう、口コミ、評判などについて情報収集をしましょう。

【検索例】

  • 大学進学に強い 通信制高校
  • 都道府県 通信制高校

ズバット通信制高校比較では、希望条件をまとめて検索できるので、ぜひ活用してみてください。

資料を取り寄せる

気になる通信制高校は資料を取り寄せましょう。資料請求をすると、学校紹介パンフレットや生徒募集要項、入学対象者(保護者)向けの進学イベント案内などが送られてきます。

下記の診断ツールを活用すると、希望条件にあう通信制高校の資料を一括請求できます。

【ズバット通信制高校比較】学校選びに迷うあなたへ あなたに合う通信制高校 診断

オープンキャンパスに参加する

行きたい通信制高校が絞れたら、オープンキャンパスに参加しましょう。話を聞くことで、学校の雰囲気や実際のサポート内容を知ることができます。パンフレットや資料ではわからないことも多いため、参加がおすすめです。

オープンキャンパスは、「オープンスクール」「学校説明会」「学校見学会」など呼び方はさまざまです。要予約の場合もあるため、事前に確認しましょう。

本人の服装については、制服でも私服でもOKです。迷った場合は制服がよいでしょう。保護者はスーツにする必要はないものの、良識の範囲内の服装がおすすめです。

通信制高校を選ぶ際に気をつけること

通信制高校を選ぶ際に気をつけることとして、次の点が挙げられます。

  • 本人の意向を尊重する
  • イメージや評判だけで判断しない
  • 広域校か狭域校かを意識しておく
  • 入学が可能なタイミングを事前に確認する
  • 複数の通信制高校を検討する

本人の意向を尊重する

選ぶ際は、本人の行きたいという気持ちを尊重することが大切です。

通信制高校では自学自習が基本のため、本人のやる気が大切です。子どもが「行きたい」と思う学校を選ばないと、モチベーションが続かず学習の継続が難しくなります。

実際の保護者の体験談でも、本人の気持ちを尊重して選んだことで「元気に学校に登校するようになった」「勉強をスムーズに進められた」という意見が多く見られます。

本人の意向を尊重して学校選びに成功した例としては、下記の体験談を参考にしてください。

子供が「行きたい」学校に進んだことで不登校改善。親は選択肢を与えるのが役目ということを痛感

気の進まない全日制高校に入学せず、通信制高校を選んでよかった!通う本人の意志を尊重することが大切

イメージや評判だけで判断しない

イメージや評判だけで判断すると、「イメージと違っていた」「こんなはずではなかった」となってしまいます。

学校の雰囲気や先生の熱量など、実際に見てみないとわからないことは多くあります。子どもに合うかどうかも、子ども本人に見学してもらわないとわかりません。

通信制高校を選ぶ際には、オープンキャンパスや説明会などに参加し、実際に見たり聞いたりしてから決めるようにしましょう。

広域校か狭域校かを意識しておく

通信制高校には、通学範囲の違いで広域校と狭域校の2種類があり、住む場所によっては入学できないことがあるため注意が必要です。

広域校とは、3つ以上の都道府県から生徒を募集できる通信制高校です。全国から生徒を募集している広域校もあります。私立高校に多く見られます。

また、狭域校とは、学校のある県と隣接する1都道府県から生徒を募集できる通信制高校です。公立で多く見られます。

広域校・狭域校について詳しくは、こちらの記事「広域通信制高校とは?狭域通信制高校との違いや特長、注意点」も参考にしてください。

入学が可能なタイミングを事前に確認する

通信制高校の入学時期については、下記のようなパターンがあるため、事前に確認しましょう。

  • 4月、10月
  • 4月、7月、10月、1月
  • いつでも

公立高校では4月と10月の年2回、入学を受け付けている学校が多く見られます。転入についてはいつでも可能なケースが多く、編入については4月や10月の入学時期に合わせるケースが多いです。

私立では年4回や随時、入学可能な学校が大半です。転入はいつでも可能なケースが多いものの、編入については時期が決まっていることもあります。

複数の通信制高校を検討する

子どもに最適な学校を選ぶためにも、複数の通信制高校を比較することが大切です。

通信制高校は、学校ごとに教育方針や校風が異なり、独特のカリキュラムやサポート体制をもっています。

最初から1~2校に絞ると、子どもにとって有益な特色をもつ学校を見落とす可能性があるため、5~10校で見比べることがおすすめです。

まとめ

通信制高校には、さまざまなタイプがあります。数が多いため選ぶ際には、学費が払えるか、公立か私立かなど、希望条件で絞り込みましょう。その上で、比較検討することがおすすめです。

どうしても選べないというときは、診断ツールなども利用してみてください。ズバット通信制高校比較では、日本国内における通信制高校の情報量を数多く取りそろえており、一度に資料請求が可能です。

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