怠け者タイプ(無気力型)の不登校|注意点や効果的な対処法は?

怠け者タイプ(無気力型)の不登校児は、精神的には落ち着いている一方で、学校に行くのが面倒くさいと感じる傾向にあります。その原因が不明確なことも多いです。この記事では、怠け者タイプの不登校児の特徴や、効果的な対処法を解説します。

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不登校の怠け者タイプ(無気力型)とは?

不登校の怠け者タイプ(無気力型)とは、精神的には安定しているが、学校に行くのが面倒と感じる子供のことを指します。 何に対しても「無気力」な状態にある不登校です。

10代に多い好奇心や興味からくる「やってみよう」「調べてみよう」といったような意欲が乏しく、問いかけにもはっきりと答えることはあまりありません。

まじめで落ち着いた子供に多い

怠け者タイプの子供は、もともとまじめで基礎学力があり、休日には友達と遊ぶなど気持ちの上では落ち着いているという特徴があります。

特にこれといった不登校の原因が見当たりませんが、学校に行く意欲や学校への不安もありません。まさに「ただなんとなく学校へ行かない」という無気力な状態です。

原因として考えられるのは「自分の存在価値がわからない」「自信がない」「努力してもムダではないか」といった不安や悩みです。

本来のまじめさから一度不安を感じてしまうと解消できず、やがて「自分は保護者や他人から必要とされていないのではないか」といった大きな不安に発展する場合もあります。

主体性を持って行動することが少ない

自分から学校に行こうとすることはありませんが、保護者や友達が「学校に行こう」と促せば学校に行くことがあるという「主体性のなさ」も特徴です。

主体的に「学校に行こう」「勉強しよう」「友達に会いに行こう」と行動することは少なく、他者からの働きかけに応じるように行動を決める傾向があります。

はっきりした原因が見当たらない場合が多い

学校に行かない原因がはっきりと見当たらないことも特徴です。

多くの場合、身体的な症状があるわけでもなく、学力や人間関係などにも「明確な原因」が見当たりません。本人が漠然とした「将来の不安」「将来の自立への恐れ」を感じる様子はあっても、原因まで突き止められない状態です。

原因が本人にもわからないので、保護者もどう対応すればいいかわからなくても当然といえます。

しかし怠け者タイプは進行時期によって共通する特徴があり、それを参考にして慎重に観察することで適切な対応方法が見えてきます。

前駆期:元気がなくなり無気力化する

普段通りの生活を送っていたのに、だんだんと無気力化して学校に行かなくなる初めの時期が「前駆期」です。

「めんどくさい」がよく出る

「先生が嫌いだ」「学校が面白くない」といった不平不満は多くの子供が感じますが、それに対して理由や原因を訴えるのではなく、むしろ力が抜けて「だるい」「めんどくさい」が口癖になるのは無気力化の前兆といえます。

学校に行かない時間は、テレビを見たりゲームをしたりと好きなことをしながら過ごし、友達が誘ってくれば学校に行ったり、学校の先生が来ると応対したりと特に「閉じこもる」様子は見られません

学校に行かない理由を尋ねると毎回違う、的を射ない回答をすることから、保護者は「怠けているのではないか」と考えがちです。

深入りせずしっかり接することが大切

前駆期は一見怠けているだけのように見えますが、そうではない可能性があることを前提に接することが大切です。

本人も明確に説明できないので、保護者が論理的に追求すればかえって追い詰められ、不安が大きくなりかねません。しかし、放っておかれるとさらに無気力になる可能性もあります。

この時期は、学校に行かないことを責めたり、理由を追求したりすることは避け、適度に寄り添い、「いつでも話を聞くよ」という態度を示しましょう。

学校を休むことを認め、「ほっといてほしい」と言われたら深入りせず、「気が向いたらいつでも話してね」としっかりと接点を持ち続けることが大切です。

進行期:家族とも距離ができる

進行期になると、学校へ行かない理由を伝えることを避け、「学校には行かない」と宣言することがあります。また、だんだんと周囲とのやりとりが少なくなり、1人で悩む時間が長くなるのが特徴です。

昼夜が逆転し表情が暗くなる

この時期は学校に行かないことが普通になっていき、生活リズムが崩れてきます。

一日中スマホを見たり、ゲームで疲れ果てたら眠ったりするという生活で昼夜が逆転し、家族とも生活リズムが合いません。そのため次第に顔を合わせたり言葉を交わしたりすることも少なくなり、1人で思い悩むことが多くなってきます。

当然友達とも会う機会は減り、本人もほとんど外出せず部屋に閉じこもりがちになります。保護者は子供の気持ちに寄り添い、身近な大人として子供のそばに寄り添い続けることが大切です。

普通の会話を取り戻すことを目指す

進行期では子供との接点が少なくなります。しかし、だからこそこの時期は、保護者が少ない接点を丁寧にとらえ、根気よく接しながら「普通の会話」を取り戻すことが重要です。本人の意図を尊重しながらも、折を見て話しかけるなど接点をつくるよう努めましょう。

会話では学校や進路といった子供を刺激する話題は避け、本人が興味のある関心事を中心に会話するようにしましょう。不安や悩みから人生そのものに行き詰まりを感じていることが多く、「自分の人生だから」と突き放すのは長期化する恐れがあるので避けるべきです。

また高校生の場合は出席日数と単位が進級の条件になるため、学校の先生に進級条件の詳細と教科ごとの出欠状況を確認しておきましょう。

休息期:独立心が見えてくる

家族との会話が戻り、以前より落ち着いて過ごせるようになるのが休息期です。以前のように家族と一緒に過ごせる程度に生活リズムが改善し、自然に笑顔が出るなど表情も明るくなってきます。

進級など具体的に将来を気にする

友達に誘われると一緒に出かけて時間を過ごしたり、自宅に先生が来ても嫌がらずに話ができたりするようになってくるのが休息期です。発表会や体育大会などの行事に誘われると、前向きに考える姿勢を見せます。

精神的に落ち着くことで生まれるのは、冷静に考える余裕です。不登校によって学習がどれくらい遅れているか、どうすれば取り戻せるかなどをネットで調べたり、将来どんな進路の可能性があるか興味を持ったりと、これまでなかったような変化が見られます。

意欲が行動につながるよう援助する

本人が自分なりに考えた末、急に「アルバイトをしたい」などと言い出すこともあるかもしれません。大人としては、あまり現実的ではないとっぴなアイデアと思うかもしれませんが、子供の考えを尊重し、そこに至ったエピソードなどをじっくり聞くことが大切です。

そうすることで本人が今大切に思っていることや不安に感じていること、意欲を持っていることを知ることができます。どんな形にせよ意欲が生まれるということは、無気力から抜けだせているということです。

保護者はこの意欲をうまく行動につながるよう有効な手段を一緒に考え、望めば共に行動するつもりであることを伝えて、しっかり寄り添いましょう。

回復期:意欲的に取り組む姿勢が現れる

家族や友達、学校の先生など多くの人と関わりを通じて、次第に自分の進路ややりたいことが明確になってくるのが回復期です。不安や悩みは以前より少なくなり、夜しっかり眠ることができるので生活のリズムも改善します。

自分を客観的にとらえることができる

現在や将来についてのさまざまな情報から自分をより客観的に捉えることができ、以前のような漠然とした不安や悩みは徐々に解消してきます。中には誰にも相談せず1人で復学や進路、アルバイトなどを決めて、事後報告する場合もあります。

またこの時期になると、周りに対して不登校だった理由を説明できるようになる場合もあります。それだけ周りの状況を理解でき、自分を客観的に捉えている現れであるといえるでしょう。

本人の課題や目標を認め自立を援助する

本人が自主的に目標を持つことは、自立にとって有意義です。保護者は子供にとってよい目標を一緒に考え、日々の努力を認めて励まし、しっかり寄り添いましょう。

学校に戻りたいという様子が見られたら、友達や学校の先生などに呼びかけてもらえるようお願いするとスムーズです。欠席日数などによって進級が難しい場合は、転校や復学などいくつかの選択肢も含めて考える必要があります。

学力の遅れを取り戻すなら、本人の希望を聞いて塾や家庭教師など現実を見据えた適切な方法を選択するとよいでしょう。

怠け者タイプ(無気力型)への対応の注意点

ここからは、怠け者タイプ(無気力型)の不登校の子供への対応で、注意が必要なポイントを解説します。

保護者と子供の気持ちの温度差に注意する

保護者は子供の幸せを、誰よりも願っています。しかし、時にそれが高じて、子供を「怠けている」と断定して責めたり、自分の中の常識を押し付けたりしてしまうことがあります。

大人には大人の経験に基づく見方がありますが、子供にはまだそれだけの経験がありません。保護者の言っていることの真意が理解できず、より混乱してしまう可能性さえあります。

怠け者タイプであっても、子供は子供なりに深刻な悩みを持っており、その内容や程度を外から見分けるのは至難の業です。

大切なのは、現実的な見識を持ちながら、今の子供の気持ちに寄り添い、一緒にどうすればいいか考え、援助することだといえます。保護者が先に感情的になってしまわないよう、冷静でいることが大切です。

頭ごなしに否定してもわかり合えない

不登校の子供は、自分なりに現実や将来について悩んでいます。ただ大人と比べれば知識や経験は少ないので、時には非現実的なことを言い出すこともあるでしょう。しかし、だからといってそれを頭ごなしに否定しても仕方ありません。

もし保護者が頭ごなしに否定したら、わかりあうどころか「やっぱり自分はダメだ」と子供はさらに無気力になってしまう可能性があります。保護者は、子供の考えがどれほど非現実的と思えても、しっかり向き合うことが大切です。

子供に「しっかり寄り添っているよ」と示すことが、子供にとっての励みになります。一般論や常識にとらわれるのではなく、まずは子供がどう思っているのかを受け入れるよう努めましょう。

まとめ

怠け者タイプ(無気力型)の不登校では、明確な理由がわからず身体症状もないことから、単に「怠けている」と捉えがちで、学校に行くことを強制したり、学校に行かないことを責めたりと、子供の気持ちにそぐわない対応をしてしまう傾向にあります。

怠け者タイプの場合、進行時期によって異なる特徴に応じた適切な対応が求められます。子供の心の状態に合わせた、深入りしない、放置しないという「ちょうどいい」接し方が大切です。

子供が不安や悩みの解消について最も頼りにしているのは保護者です。まずはしっかり子供と向き合い、大人として落ち着いて接するよう努めましょう。