フリースクールとは?費用や活動内容、不登校特例校との違いを徹底解説

フリースクールとは、不登校の生徒や学校に適応できない子どもたちに、多様な学びの場を提供する教育施設です。 不登校の小中学生が増加する中、学校に行けない子どもたちの居場所として、注目を集めています。 この記事では、フリースクールの概要や費用、具体的な活動内容、不登校特例校との違いなどについて解説します。

フリースクールってどんなところ?

フリースクールとは、不登校の生徒や学校に適応できない子どもたちの、学習や生活を支援する民間の教育機関です。

フリースクールは公的な機関ではなく、個人や民間企業、NPO法人によって運営されています。設立の目的によって、規模や形態、活動内容はさまざまです。また、おもな特徴としては、入学資格を設けていないこと、異なる年齢の子どもが集まっていること、学校のように決まったカリキュラムがないことなどが挙げられます。

フリースクールと学校の違いのひとつは、自由度です。フリースクールでは通常の学校のように決まったプログラムやカリキュラムがありません。その日に何をするのかは(遊びも含めて)本人が自由に選べるスクールが多いです。

さらに、フリースクールは小規模であることが多く、アットホームな雰囲気の中でのびのびと学ぶことができる点も特徴です。

教育の側面以外にも、フリースクールは社会性やコミュニケーション能力の向上を目指した活動を積極的に取り入れています。

例えば、ボランティア活動や地域との交流イベントなどが行われ、子どもたちが社会とのつながりを感じられる機会を提供しているフリースクールもあります。

フリースクールは何するところ?

フリースクールの活動内容や授業内容は、スクールによってそれぞれです。

■フリースクールの活動内容

区分 団体・施設数 実施率(%)
個別の学習支援 299 85.2%
授業形式(講義形式)による学習支援 115 32.8%
社会体験
(見学・職場体験など)
212 60.4%
自然体験
(自然観察・農業体験など)
223 63.5%
調理体験
(昼食作りなど)
226 64.4%
芸術活動
(音楽・美術・工芸など)
208 59.3%
スポーツ 232 66.1%
宿泊体験 122 34.8%
子どもたちによるミーティング 144 41.0%
学習成果、演奏や作品などの発表会 102 29.1%
相談・カウンセリング 289 82.3%
家庭への訪問 143 40.7%
その他特色ある活動 94 26.8%

※複数回答あり。実施率は団体・施設数(351ヵ所)に占める割合
出典:文部科学省 「民間の団体・施設との連携等に関する実態調査」(令和元年)

文部科学省の調査によると、一人ひとり個別の学習指導を行うスクールが85.2%でした。

また、進路相談やカウンセリングを実施しているところは82.3%、自然観察や農業体験などの自然体験や、芸術・スポーツ活動、調理体験などが行われているスクールがそれぞれ60%前後です。

32.8%のスクールでは、講義スタイルの授業も行われています。

スクールによって、アウトドア系の活動に強かったり、インドア系の活動に強かったりと、強みや特色があるようです。

フリースクールの種類と特徴

フリースクールは公的な教育機関ではないため、理念や目的によって特徴や強み、支援内容、費用などが異なります。スクールを選ぶ際には、子どもにとって本当に必要な支援を受けられる、相性のよいスクールを検討することが大切です。

どのスクールも子どもたちの居場所であることは同じですが、ここではさまざまなスクールの特徴を8つに分類して紹介します。

学校復帰を前提とせず、元気回復を目指すスクール

不登校の子どもの自信と元気を取り戻すための居場所となることを第一目的とするスクールです。

基本的に学校復帰を前提としておらず、安心できる先生やスタッフ、仲間と一緒に過ごす中で、自信や学ぶ意欲を取り戻すことを基本方針にしています。

学校復帰を望む子どもに対する学習サポートが充実しているスクール

いずれ学校に復帰したいと望む子どもを対象に、一時的に学校を離れて心を休める居場所として利用できるスクールです。

学校の授業の進度に合わせて、個別に学習指導が行われます。

学習障害や発達障害が原因で不登校になった子どもを支援するスクール

学習障害や発達障害などが原因で、学習や人間関係づくりが困難な子どもを、専門家がサポートするスクールです。

医療機関と連携したサポートがあるスクール

心や身体に疾患のある子どもを対象にしたスクールです。医療機関と連携したサポートに特徴があります。

自宅でサポートを受けられるスクール

不登校で学校への登校が難しい子どもを対象としたスクールです。スタッフが自宅まで来て、一緒に時間を過ごします。

子どもの希望・状況に応じて、興味を示したことや自主的に行っていること(ゲーム、お絵かき、運動など)をともにする中で、家の外に出る意欲を取り戻すことを目標としています。

オンラインのフリースクール

インターネットを利用して、自宅などから参加できるフリースクールです。

コロナ禍以降にできた新しいスタイルで、完全オンラインのスクールや、通学とオンラインの併用ができるスクールがあります。

自然の中で共同生活するスクール

みんなと同じ場所に住んで共同生活を送る中で、安心感や自立心、学ぶ意欲を育むことを目指すスクール。

自然豊かな立地環境であることも多く、健康的な生活習慣を身につけるために決められた日課のあるスクールもあれば、子どもの自主性に任せて自由に活動するスクールもあります。

通信制高校やサポート校が初等・中等部として開設しているスクール

小中学生を対象に、通信制高校が開設しているフリースクールです。

時間割のあるスクールや、好きなときに学びたい内容を学べるスクールなどさまざまです。

高校生が使う教室や施設が利用できたり、高校生を教えている先生が対応してくれたりするので、進学後の高校生活をイメージしやすい環境が特徴です。

また、スクールによっては高校生とコミュニケーションを取れることもあります。不登校経験のある高校生とコミュニケーションを取れる点は、通信制高校が運営するフリースクールのメリットと言えるでしょう。

フリースクールとオルタナティブスクールの違い

オルタナティブスクールとは、従来の学校教育とは異なる教育理念やカリキュラムを持つ学校です。

本来オルタナティブスクールは、フリースクールや無認可校などの総称です。しかし、明確な定義がないため、一条校(学校教育法第一条に定められた学校)やフリースクールとは異なる、「もう一つの学校」という意味で使われることもあります。

フリースクールは、不登校の生徒や学校に適応できない子どもたちの居場所ですが、オルタナティブスクールは、学校の理念や教育法に共感した家庭の子どもが通う場所という違いがあります。

フリースクールと不登校特例校の違い

不登校特例校とは、不登校の子どもに合わせた教育をする、文部科学省が指定する学校です。一般的な学校と異なり、不登校の子どもに配慮したカリキュラムの編成をすることができます。2023年に、不登校特例校から「学びの多様化学校」という名称に変更されました。

フリースクールは教育機関であり「学校」ではありませんが、不登校特例校は文部科学省に指定された「学校」です。

フリースクールの場合、元の学校に在籍しながら通うことになります。そのため、在籍校の校長が認めれば、フリースクールに通うことが在籍する学校の「出席扱い」になります。

一方、不登校特例校の場合、元の学校から転校することになります。そのため、不登校特例校に通えば、無条件で出席になります。

不登校特例校の一覧

学校名 所在地
星槎もみじ中学校 北海道札幌市
ろりぽっぷ学園小学校 宮城県仙台市
白石市立白石南小学校
白石市立白石南中学校
宮城県白石市
宮城県富谷市立富谷中学校 宮城県富谷市
東京シューレ葛飾中学校 東京都葛飾区
東京シューレ江戸川小学校 東京都江戸川区
NHK学園高等学校 東京都国立市
世田谷区立世田谷中学校 東京都世田谷区
東京みらい中学校 東京都足立区
大田区立御園中学校 東京都大田区
大田区立大森第四小学校
学びの多様化学校みらい学園初等部
東京都大田区
調布市立第七中学校はしうち教室 東京都調布市
八王子市立高尾山学園小学部・中学部 東京都八王子市
福生市立福生第一中学校  東京都福生市
星槎中学校 神奈川県横浜市
星槎高等学校 神奈川県横浜市
大和市立引地台中学校 神奈川県大和市
岐阜市立草潤中学校 岐阜県岐阜市
高山市立学びの多様化教室「にじ色」 岐阜県高山市
北方町立北学園 特例教室「オンリー1」 岐阜県北方町
西濃学園中学校 岐阜県揖斐郡
星槎名古屋中学校 愛知県名古屋市
 京都市立洛風中学校 京都府京都市
京都市立洛友中学校 京都府京都市
大和郡山市立郡山北小学校 分教室「ASU」 奈良県大和郡山市
大和郡山市立郡山中学校 分教室「ASU」 奈良県大和郡山市
精華高等学校普通科
(フリーアカデミーコース)
大阪府堺市
大阪市立心和中学校 大阪府大阪市
玖珠町立くす若草小中学校 大分県玖珠町
生野学園高等学校 兵庫県朝来市
岡山県美作高等学校 普通科
(Bloomコース)
岡山県津山市
三豊市立高瀬中学校 香川県三豊市
大牟田市立宅峰中学校 ほしぞら分校 福岡県大牟田市
延岡市立南浦中学校
学びの多様化学校分教室「熊野江教室」
宮崎県延岡市
鹿児島城西高等学校 普通科
(ドリームコース)
鹿児島県日置市

出典:文部科学省「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置者一覧」をもとに作成

活動内容などは各学校にお問い合わせください。

フリースクールの費用

フリースクールの費用は、施設によって異なります。

文部科学省の調査によると、会費(授業料)の月額は平均約33,000円、約4割の団体・施設が10,000~30,000円でした。また、入会金の平均額は約53,000円で、約3割の団体・施設が10,000円?30,000円でした。

■会費(授業料)

区分 団体・施設数 実施率(%)
~5,000円 25 9.5%
5,001~10,000円 15 5.7%
10,001~30,000円 100 38.2%
30,001~50,000円 95 36.3%
50,001円以上 27 10.3%
262 100.0%

出典:文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子どもが通う民間の団体・施設に関する調査」(2015年)

■入会金

区分 団体・施設数 実施率(%)
~5,000円 27 13.9%
5,001~10,000円 36 18.6%
10,001~30,000円 61 31.4%
30,001~50,000円 35 18.0%
50,001~100,000円 11 5.7%
100,001円以上 24 12.4%
194 100.0%

出典:文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子どもが通う民間の団体・施設に関する調査」(2015年)

フリースクールは、活動内容やサポート内容が施設によって異なるため、かかる費用も変わります。

特に、オンライン型・通学型・全寮制では費用が異なります

オンライン型は比較的安価で、月額10,000~50,000円程度、通学型は50,000~100,000円程度が相場です。

全寮制のフリースクールの場合、費用は月約15万~30万円程度かかります。

フリースクールの補助金や助成金はある?

「フリースクールに行きたいけれどお金がない」という場合、補助金が出ないか気になるでしょう。

フリースクールの費用について、国の補助金はありません。しかし、一部の自治体ではフリースクールに対して補助金を提供している場合があります。

例えば、東京都や三重県は、不登校の小・中学生を対象にした助成制度があります。

■東京都

  • 対象:都内在住の不登校の小・中学生の保護者
  • 対象費用:フリースクール等の利用料
  • 補助額:小・中学生一人につき月額最大20,000円(20,000円以下の場合は全額)

■三重県

  • 対象:県内在住の不登校の小・中学生の保護者
  • 対象費用:フリースクール等の利用料
  • 補助額:利用料の半額(子ども1人につき月額最大15,000円)

よくある質問

Q.フリースクールに通うと出席扱いになる?

A.文部科学省は「出席扱い制度」を定めています。学校が認めれば、フリースクールを登校扱いとしてもらえる場合があります。

 

Q.フリースクールは無料ですか?

A.中には無料で学べるフリースクールもあります。しかし、フリースクールは民間の教育機関のため、基本的には入会金や会費などの費用がかかります。

 

Q.高校生でもフリースクールに通える?

A.高校生でもフリースクールに通うことは可能です。ただし、高校生を受け入れているフリースクールはごくわずかです。

 

高校生の場合、フリースクールに通っても、高校卒業資格を取得することはできません。そのため、フリースクールのように、自分のペースで学習をしながら高卒資格の取得を目指すなら、通信制高校がおすすめです。

Q.フリースクールに問題点はある?

A.フリースクールにもいくつかの問題点が考えられます。

 

まず、フリースクールは公式の学校として認められていないため、必ずしも「出席扱い」になるわけではありません。

また、フリースクールの費用が保護者にとって負担になることもあります。公立学校と異なり、フリースクールは費用がかかることが一般的です。

さらに、フリースクールの質や方針は施設ごとに大きく異なるため、求める教育内容やサポートが受けられない場合もあります。

Q.フリースクールでの学びは進学につながる?

A.フリースクールでの学びが進学につながるかどうかは、個々の生徒の状況によります。

 

フリースクールを退会後、全日制高校、通信制高校や定時制高校、高等専修学校への進学のほか、高卒認定試験合格を目指す進路などがあります。

フリースクールに通う中学生は、もともと一般的な学校の学習スタイルを苦手とする生徒が多い傾向があります。そのため、フリースクールから通信制高校に進学し、高卒資格の取得を目指すケースが多いようです。

Q.フリースクールはやばいって本当?

A.一部の人がフリースクールに対して不安を感じる要因として、一般的な学校とは異なる教育スタイルや、公式の教育機関として認可されていない点が挙げられます。

 

また、さまざまな種類、特徴を持ったフリースクールがあるため、子どもとの相性が悪いと、期待外れに感じてしまうことがあるかもしれません。

「やばい」と感じるかどうかは、フリースクールが子どもに適した環境かどうかによると考えられます。

資料請求できるフリースクール

「ズバット通信制高校比較」で資料請求できるフリースクールを紹介します。気になるフリースクールがあったら、まずは資料請求してみてはいかがでしょうか。

志成館高等学院 東京校 チャレンジスクール

志成館高等学院 東京校 チャレンジスクールは一人ひとりを大切に、個別指導を中心に行います。勉強はつまずいてしまったところまでさかのぼり、苦手意識を克服していきます。勉強すること、他人と関わることに慣れたら、在籍校へ戻れるようにしていきましょう。一般高校への受験指導も行いますが、志成館高等学院は高等部、大学部まであるので進路にも心配はありません。

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飛鳥未来中等部 名古屋教室

飛鳥未来中等部 名古屋教室では、複数教員による細やかな支援やカウンセリングが受けることができるため、生徒は安心して過ごすことができており、自分から学ぼうとする姿や挑戦する姿があります。飛鳥未来きずな高校名古屋キャンパスが同じ校舎内にあり、高校の先生の授業を受けられるので、中学卒業後の進路が見えるのも安心できるポイントです。

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飛鳥未来中等部 大阪教室

飛鳥未来中等部 大阪教室では、生徒の「自立」をテーマに、自ら学ぶ力や社会性、健康な心身の成長をサポートしています。さまざまな体験学習も実施しており、主体性を大切にしているため、強制的に学習などに取り組ませることはありません。明るい笑顔が広がっているフリースクールです。

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国立音楽院 ピアせたがや学習センター

自分のペースで通い、自分らしい学習スタイルで大好きな音楽を1日中学ぶことができます。幅広い年齢層の人たちと交流する機会があるため、音楽を通して社会との接点を持つこともできます。学校や家庭と情報を共有し、連携しながら、自分の意思で学校復帰・社会復帰できるように支援しています。

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まとめ

フリースクールは、不登校や学校に適応できない子どもたちにとって、大切な居場所です。

スクールによって特徴が異なり、活動内容や費用もさまざまです。

そのため、フリースクールを選ぶ際には、子どもに合っているかどうかを、よく検討する必要があります。