不登校の子供を支援する『教育機会確保法』とは?

不登校の児童、生徒たちを支援する法案『教育機会確保法』が、2017年2月より施行されました。具体的な内容はまだ固まっていませんが、今後の見直しに向け、行政をはじめ関係組織による話し合いや、試行錯誤が繰り返されています。

不登校の児童、生徒が教育の機会を失わない法律

不登校の児童、生徒は年々、増え続けています。

文部科学省の調査によれば、2016年度に病気や怪我、あるいは経済的な理由以外で、30日以上、学校を欠席した小学生(児童)と中学生(生徒)は、全国で126,000人以上を数えました。そのうち、90日以上の長期欠席が続いている児童、生徒の総数は、7,200人あまりと全体の60%にも及びます。

少子化で児童、生徒数は、年々減少しているにも関わらず、不登校の人数は3年連続で増加しています。

不登校のために学校で勉強する機会を失ってしまった児童、生徒に対して、学校への登校を強制せず、それぞれにあった学習環境を保障するため『教育機会確保法(義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律)』は定められました。

不登校は、大きな問題と認識されていたにも関わらず、現状に沿った対応策は施されていませんでした。教育機会確保法の施行にともない、行政があらためて問題の大きさを認識し、「学校以外の場で、児童と生徒が学ぶことの重要性」と「学校を休ませる必要性」について取り組みを始めたことは、とても大きな意味があります。

「学校に行かねばならない」という呪縛からの解放

数字のうえでは、いまや中学校のクラスに1人は不登校の生徒がいる計算になっています。不登校は、特別な児童や生徒がおちいるものではなく、誰にでも起こりえるものです。

ところが、不登校になった、もしくはなりそうな児童、生徒は「不登校はいけない」「不登校になった自分は、どこかおかしい」と、自分に責任がないにも関わらず、自身を追い詰めてしまいます。

保護者や教員も、児童、生徒の様子を見ていれば「学校を休ませたほうがいい」と理解できているはずです。しかし、それぞれの立場や周囲からの視線のため、無理を押して学校に出ようとする児童、生徒に「休め」と言えません。

児童、生徒、そして保護者や教員の持つ「学校に通わなければならない」という思い込みが、学校を休むことで回復するはずの症状を悪化させ、結果として長期間、学習の機会を失う事態を生んでいます

教育機会確保法によって、そういった登校の呪縛から解放されることが期待されています。第十三条では「不登校児童生徒の休養の必要性」が認められており、児童、生徒は学校を休んでも、自身を責めずに済みます。また、保護者や教員も、無理に登校する児童や生徒に「学校のことは気にしないで、しばらく休もう」と言えるようになるでしょう。

フリースクールなど学校以外の居場所を認める

児童や生徒に「学校を休んでもいい」と認めるなら、同時に「学校以外で学習のできる環境」を保障し、提供しなければなりません。現状、公的な機関では教育支援センターが、民間の機関ではフリースクールが、学校以外で学習のできる環境に相当します。

当初の教育機会確保法は、フリースクールの位置付けを決めるところから始まり、「学校と連携し、義務教育を支援する場として認める」といった内容が盛り込まれていました。しかし、学校の改革を優先したため、審議で削除されました。

学校での学習を最優先とし、不登校の児童、生徒には、学校に復帰してもらいたい行政(自治体)と、学校以外に児童、生徒が安心して学習できる場を提供したいフリースクールは、立場の違いから、意見の対立がしばしばありました。

しかし、教育機会確保法の成立により、話し合いの枠組みが作られました。現状、附則にある「3年後の見直し」に向けて、行政側からは、フリースクールをどう支援すべきか、フリースクール側からは、行政とどう連携すべきかを、それぞれで模索しています