通信制高校の卒業後に就職したい人必見!就職に有利な学校を選ぶために知っておきたいこと

「通信制高校から就職するのは難しい」という話しを耳にしたことがあるかもしれませんが、決してそんなことはありません。ここでは、通信制高校で学べる専門知識をご紹介しながら、就職に有利な学校選びのポイントを解説します。 就職に強いコースやサポート体制の整った学校、就職に役立つさまざまな資格が取得できる学校など、通信制高校の特徴を知ることによって、就職への新たな可能性が見えてきます。

高校卒業後に就職する人は年々増えている

「通信制高校を卒業して就職できるのだろうか」「通信制高校の卒業は企業に認めてもらえるのか」など、不安に思っている人もいるかもしれません。結論から言うと、「問題なく就職できる」というのが回答です。

文部科学省の「学校基本調査」によると、2021年(令和3年)度の就職者数は10,684人で、就職率は15.0%です。

■高等学校(通信制課程)卒業者のうち、就職者の状況
■高等学校(通信制課程)卒業者のうち、就職者の状況

以下、過去10年分の就職者数と就職率です。

  就職者数 就職率
平成24年度 7,756人 15.4%
平成25年度 8,300人 16.6%
平成26年度 9,279人 18.0%
平成27年度 9,742人 19.0%
平成28年度 10,247人 19.6%
平成29年度 10,501人 19.6%
平成30年度 11,026人 19.6%
令和元年度 11,456人 18.9%
令和2年度 10,401人 16.0%
令和3年度 10,684人 15.0%
参考:文部科学省 「学校基本調査」平成25年度~令和4年度

通信制高校卒業後の産業別就職者数

学校基本調査によると、2021年(令和3年)度の通信制高校卒業後の産業別就職者数は以下のとおりです。

■通信制高校卒業後就職者10,684人の産業別就職者数

産業種別 就職者数
製造業 2,320人
宿泊業、飲食サービス業 1,202人
建設業 1,081人
卸売業、小売業 1,021人
生活関連サービス業、娯楽業 1,021人
医療、福祉 914人
運輸業、郵便業 579人
情報通信業 172人
電気・ガス・熱供給・水道業 145人
農業、林業 143人
教育、学習支援業 90人
不動産業、物品賃貸業 56人
鉱業、採石業、砂利採取業 23人
金融業、保険業 19人
漁業 18人
学術研究、専門・技術サービス業 113人
複合サービス事業 146人
サービス業(他に分類されるものを除く) 723人
公務(他に分類されるものを除く) 569人
上記以外のもの 329人

参考:文部科学省 「学校基本調査」令和4年度 産業別就職者数

就職者数の一番多い産業は製造業です。製造業には食品や電子機器、家具など幅広い分野があります。次に多い宿泊業、飲食サービス業は高校時代のアルバイト先からそのまま就職したというケースが多いようです。

就職を確実なものにするためには、就職に強い学校選びを

就職を見据えた高校生活を送るためには、どんな学校を選べば良いのでしょうか。通信制高校では普通科を選ぶ人が多いですが、中には資格取得や検定取得ができることを強みにしている学校もあります。専門性の高いコースや学校を選ぶことで専門知識が身につき、その先の進路が広がるでしょう。

通信制高校で取れる資格はこんなにある!

通信制高校の中には、国家資格の中でも代表的な「美容師」「調理師」などの専門知識を学べる学校があります。例えば、在学中に美容師になるための専門的な授業を受けて、卒業時に美容師の国家試験受験資格が得られる学校があります。

また、調理師を目指す場合には、提携している調理師専門学校で学び、卒業と同時に調理師免許を取得することが可能です。

ビジネスで即戦力となる「公認会計士」「税理士」「簿記検定」といった難関資格の取得を目指すコースを設けているルネサンス高等学校をはじめ、ミュージシャン楽器修理職人を目指せる国立音楽院や、芸能界デビューを後押しする第一学院高等学校パン職人を目指すことができる志成館高等学院など、ユニークな通信制高校やサポート校がたくさんあります。「ズバット 通信制高校比較」ではやりたいこと別に学校を検索できるので、興味のある学校を探してみましょう。

⇒やりたいこと・学びたいことから学校を探してみる

通信制高校を卒業したあとに就ける専門職

・プログラマーやエンジニアといったIT・コンピューターに関わる仕事
・介護や看護など医療に関わる仕事
・動物やペットに関わる仕事
・調理師やパティシエなど料理に関わる仕事
・美容師やエステティシャンなど美容に関わる仕事
・デザイナーやアニメーターといったクリエイティブ関連の仕事

通信制高校なら社会経験や資格取得の時間を作れる

通信制高校は毎日通学する必要がなく、単位制で自由な時間を作りやすいのが特徴です。前述したような専門的な知識や資格が必要とされる職業を目指すなら、自由な時間を有意義に使いたいものです。ここからは、就職活動で役に立つ経験や時間の使い方をご紹介します。

アルバイトやインターンシップを経験する

「絶対にこの職業に就きたい」と決めている人も、「具体的な職業はまだ決まっていないけれど、卒業後に働きたい」と考えている人も、通信制高校であれば社会経験を積む時間を作れるため、アルバイトやインターンシップなどで視野を広げてみましょう。

インターンシップと言えば、大学生がするものというイメージがあるかもしれません。しかし今は、高校生の参加を積極的に受け入れている企業や団体が増えています。IT企業や病院、介護施設や各種NGO・NPOなど、さまざまな分野で実施されているので探してみると良いでしょう。

社会に出て実際に働くことで、働くことの難しさや楽しさを学ぶことができます。お金の大切さを知るという意味はもちろん、コミュニケーション能力や協調性、気遣いや言動など多くのことを身につけるという意味でも、自分の成長につながります。そして、そこで学んだことは社会に出てから、即戦力として活かすことができるでしょう。

こうしたアルバイトやインターンシップなどの経験の有無は、就職活動の際に面接で良く聞かれるポイントです。「一般常識を知っているか」「仕事に対する意欲や忍耐力はどのくらいあるか」など幅広い視点で評価されます。「自分の夢や目標に向かってこんなにがんばってきた」と自信を持ってアピールすれば、きっと良い評価をしてもらえるでしょう。

資格を取得する

希望する就職先に関連する資格を取得しておけば、就職活動で大きな強みになります。コンピューター・IT関連で働きたいのであれば「ITパスポート」や「基本情報技術者試験」など、さまざまな資格があります。

また、事務系であれば「日商簿記検定」「漢字検定」、そのほかの職種でも「TOEIC」「英検」などがおすすめです。

資格取得の勉強方法として、独学のほかに、通信制高校では専門コースがある学校も増えてきています。目指したい道が決まっているのであれば、専門コースがある通信制高校を選ぶのも良いでしょう。なりたい職業をイメージして、「今できるのはどんなことか」を見つけ出し、積極的に経験を積むことが大切です。

通信制高校とあわせて技能連携校に通うという選択肢もある

技能連携校とは、技能連携制度を利用して高校卒業の資格を得られる、高等専修学校のことです。技能連携校の高等専修学校に入学した生徒は、同時に通信制高校にも入学し、専門的な技術を学びながら高校の勉強も平行して行います。(技能連携制度)これにより、高等専修学校を3年かけて卒業するのと同時に、通信制高校も卒業し、高校の卒業資格を得ることができます。

技能連携校には、技能教育の設備が整った高等専修学校が指定されます。技能連携校で得られる技術として、工業系、商業実務系、調理系、美容系、社会福祉系、服飾系などの科目が用意されています。専門技術をしっかり習得するため、全日制と同じ週5日の登校としている学校がほとんどです。

そのため、通信制高校の魅力である、自分にあったペースで登校し卒業を目指すようなことはできないため注意が必要です。

⇒技能連携校について詳しく知りたい方はこちら