通信制高校は就職に不利?現在の就職事情と就職におすすめの通信制高校4選

通信制高校へ進学すると「就職に不利に働くのではないか」と不安に感じているご家庭もあるのではないでしょうか。 結論から言うと、通信制高校だからといって就職で不利になることはありません。 しかし、通信制高校は自由度が高いため、業種の選択や選考対策などを計画的に行う必要があります。 この記事では、通信制高校からの就職が難しいと言われる理由や現在の就職事情、就職に強い通信制高校についても解説します。

通信制高校からの就職は難しい?

通信制高校出身だからといって、就職に不利になることはありません。

通信制高校を卒業して得られる卒業資格は全日制・定時制と同じ「高卒」資格です。そのため、通信制、全日制、定時制のどの高校を卒業しても最終学歴は同じです。

通信制高校は、学習面や生活面の管理を自分で行う必要があります。

通信制高校で学び、卒業したという経験は、自己管理能力や自立性のアピールにつながります

一方、通信制高校に偏見をもっている面接官がいる可能性もゼロではありません。

そのため、この記事を読んで通信制高校の現在の就職事情や、就職しやすい環境を整えるための方法について学び、今後の就職活動に活かしてください。

通信制高校の就職事情

文部科学省「令和6年度 学校基本調査」によると、令和5年度の通信制高校卒業生の就職率は20%でした。

一般的に、高校生の就職活動は、7月にハローワーク経由で求人票が公開されたタイミングで始まります。

履歴書や職務経歴書などの応募書類の提出は9月中旬頃から開始され、順次面接が行われる流れとなります。

近年、さまざまな学科やコースを設ける通信制高校が増え、即戦力として活躍できるだけのスキルの習得が可能です。

通信制からの就職が不利だと思われている理由

通信制高校から就職するのは難しいと偏見をもっている人もいるかもしれませんが、そのように言われる理由について解説します。

  • 就活サポートが整っていないケースがある
  • 求人票が少ないケースがある
  • 面接官がマイナスイメージをもつ可能性がある

就活サポートが整っていないケースがある

通信制高校は「高卒」資格取得を目標とした学習がメインのため、就活サポートが整っていない傾向にあります。

通信制高校に通う生徒の中には、精神的・身体的な不安を抱えている人もいます。

そのような生徒のメンタルサポートを中心としている学校が多く、就活サポートが手薄な場合があります。

しかし、専門分野のスキル習得を目的としたコースを設置している学校も多いので、すべての学校で「就職サポートが得られない」というわけではありません。

通信制高校卒業後に就職を考えている人は、就活サポートがしっかりと受けられる学校を選択する必要があるでしょう。

求人票が少ないケースがある

通信制高校は全日制・定時制高校と比較して「求人票が少ない」という点も、就職が不利と言われる要因の1つです。

しかし昨今、通信制高校の認知は広がりつつあり、生徒数も増加傾向にあります。通信制高校の認知が広がれば、求人も増加するでしょう。

また近年、求人対象を大学生から高校生へ広げる企業も増えているため、今後は通信制高校への求人が増えることが予想されます。

面接官がマイナスイメージをもつ可能性がある

企業の面接官が、通信制高校にマイナスイメージをもっているケースもあります。

例えば、全日制・定時制高校に通えないという理由で、生徒に何かしら問題があると考える面接官もいるでしょう。

面接の際には、通信制高校を選んだ前向きな理由や、企業で役に立てるスキルがある点などをアピールするとよいでしょう。

卒業後に就職したいなら学校選びが重要

通信制高校卒業後に就職を考えている場合には、就職サポートが手厚い学校を選ぶのがおすすめです。

学校を選ぶ際には、資料を取り寄せたり学校見学・説明会に参加したりして、自分に合う学校かどうかを検討しましょう。

その際に確認しておくべきなのは、下記の点です。

  • 学校の雰囲気や校風
  • 取得できる資格の種類
  • 社会人に必要なスキルの習得可否
  • カウンセラーの有無
  • 就活対策の有無

中には、即戦力となる専門的スキルの習得や資格取得のためのカリキュラムが組まれている通信制高校もあります。

また、就職サポートに力を入れている通信制高校では、担当カウンセラーを通じて、適性のある職種について相談できたり、就活対策の指導を受けられたりします。

就職におすすめの通信制高校・サポート校4選

就職に有利な資格取得やカウンセリングなどの就職サポートが整っている通信制高校やサポート校について解説します。

ヒューマンキャンパス高等学校

ヒューマンキャンパス高等学校の特徴

・さまざまな分野の企業の講演動画を見られる

・40種・100職以上の専門分野を学べる

・就職をサポートするキャリア相談室が設置されている

ヒューマンキャンパス高等学校では、40分野・100職種以上の専門知識を学ぶことができます。以下は一部です。

  • ビューティー&ファッション
  • エンタメ・芸能
  • プログラミング
  • 声優
  • マンガ
  • ゲーム
  • スポーツ

さまざまな職種について学べる機会があるので、将来の目標が定まっていない人でも、自分がやりたいことを探すことができるでしょう。

また、キャリア相談室のほか、学習センターには専門機関の研修を受け、「こどもパートナー・こどもサポーター」の認証を受けた教職員を配置しているので、授業内容や学習方法、業界情報などについて、いつでもすぐに相談できる環境が整っています。

生徒本人だけでなく、保護者とも連携しながらバックアップを行っているので、安心して就職活動に取り組むことができるでしょう。

代々木アニメーション学院 高等部

代々木アニメーション学院 高等部の特徴

・高校の勉強とアニメ・エンタメ業界の専門スキル習得が両立できる

・業界で活躍するプロの指導が受けられる

・同じ目標を目指す仲間と切磋琢磨できる

代アニ高等部では、アニメやエンタメ業界のスキルを学びながら高校の卒業資格取得を目指せます。

代アニは45年以上の歴史を持っており、卒業生はなんと12万人以上! 有名な声優やアニメーターも多数輩出しており、国内のアニメで卒業生が関わらない作品はないとまで言われています。

スタートが早ければ早いほど有利なこの業界、代アニ高等部なら高校生のうちから始めてライバルたちに差をつけられます。

学校の勉強は、提携する通信制高校「ルネサンス高校」で行います。学習やレポート提出はすべてオンラインで行い、担任とはLINEで質問や相談が可能です。

バンタンゲームアカデミー 高等部(サポート校)

バンタンゲームアカデミー 高等部の特徴

・本格的な設備と実践的なカリキュラム

・ゲーム関連業界への就職・デビュー実績が豊富

・未経験からでも成長できるサポート体制

バンタンゲームアカデミー高等部は、角川ドワンゴ学園S高等学校と提携しているサポート校です。

「少人数制クラスによる個別指導」「3ヵ月毎に行うスキルチェックとフォロー授業」「卒業学年の就職・進学担当」など、未経験者からでも着実に成長できるサポート体制が整っています。

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N高等学校・S高等学校・R高等学校

N高等学校・S高等学校・R高等学校の特徴

・必修授業として、社会や職業への理解を深めるための進路学習がある

・進路相談や三者面談、志望理由書の添削、面接対策など、就職サポートが充実

・課外活動や就職対策に関連する進路イベントが開催

N高等学校・S高等学校・R高等学校は、KADOKAWA・ドワンゴが創る、ネットと通信制高校の制度を活用した新しいネットの高校です。現在生徒数は日本一。全国に100のキャンパスを展開しています。

将来につながる選択肢の幅が広がるように進路指導とキャリア教育に取り組み、生徒に合わせた個別対応で進路実現をサポートしています。進路学習の内容は、生徒自身が将来について考える自己分析や、進路の選択肢についての基礎知識など多岐にわたります。

ICTツールの活用

多くの企業で使用されているICTツールを利用し、学習やコミュニケーションを行っています。卒業後、社会に出てから利用する可能性の高いツールを活用することで、ICTリテラシーを高めることが可能です。

豊富な課外授業

プログラミングやWEBデザイン、ファッションやヘアメイク、企業などから直接学べる職業体験など実社会で使える知識をオンライン授業だけでなく、リアルに学ぶことが可能です。

社会で役立つスキルを磨くカリキュラム

プログラミング、デザイン、動画制作など、現代社会で需要の高い専門スキルを学ぶことができます。これらのスキルは、変化の激しい現代において、どんな業界に進むにしても役立つ汎用性の高いものです。お子様が興味を持った分野を深く掘り下げ、将来の選択肢を広げられるのは大きな魅力です。

実践的な学び

単に知識を詰め込むだけでなく、実際に企業と連携したプロジェクトや職業体験に参加する機会も豊富です。これにより、社会に出る前に実践的な経験を積むことができ、就職活動においても具体的な実績としてアピールできます。

ネットの学校ならではのキャリアサポート

履歴書の添削や面接練習など、きめ細やかなキャリアサポートも充実しています。特に模擬面接では、バーチャル空間のなかで実際の面接に近い形で実践的な練習を実現できます。また、さまざまな業種、職種を知るためにオンライン上の進路イベントを実施しており、自分にあった進路を知る機会もご用意しています。

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通信制高校から就職する際にサポートしてくれる団体3選

通信制高校卒業後に就職をしたいのなら、就職をサポートしてくれる団体を利用する方法もあります。

  • サポート校・技能連携校
  • 就職サービス・就職エージェント
  • 就職サポートを行っている学習塾

サポート校・技能連携校

通信制高校生の就職をサポートする団体には、サポート校や技能連携校があります。

  サポート校 技能連携校
内容 学習面やメンタル面のサポートを行う、学習塾や予備校のような存在 通信制高校と同時に「技能教育施設」に通い、学ぶことができる
特徴 ・通信制高校生ならではの学習方法指導や進路相談が可能
・連携する通信制高校に合わせたカリキュラムやスケジュールが組まれる
・工業系や社会福祉系などさまざまなコースがある
・高校の学習に加えて専門技術を学べる
・週5日の登校が必要な学校が多い

サポート校は、高校生のサポートが目的なので、日々の通信制高校での学びに加えて大学受験のための学習や専門知識を深めるためのサポートを行います。

技能連携校は、専門技術を習得するため、一般的には週5日の登校とされています。

サポート校について詳しく知りたい人は、サポート校とは?通信制高校との違いや利用の判断基準を参考にしてみてください。

技能連携校について詳しく知りたい人は、技能連携校とは?サポート校との違いやカリキュラムを解説を参考にしてみてください。

就職サービス・就職エージェント

学校以外からも就職に関する情報を得たい場合には、高校生向けの就職エージェントの利用がおすすめです。

エージェントを利用することで、高校の就活について熟知したサポーターから、就職に関する知見を得られます。

また、高校卒業までに就職が決まらなかった場合でも、高卒者向けのエージェントが利用できます。

面接対策や応募書類の書き方などアドバイスしてもらえるので、安心して就職活動ができるでしょう。

就職サポートを行っている学習塾

近年では、小論文や履歴書の添削、面接対策などの就職サポートを行う学習塾が増えつつあります。

就活のプロによる個別授業を提供している塾もあり、小論文や履歴書の書き方についての指導を受けることができます。

業界研究や企業研究のサポートも行ってくれるので、希望する業界や企業が決まっていなくても、自分に合った仕事を見つけやすくなるでしょう。

通信制高校卒業後の就職先

通信制高校卒業後は、サービス業や製造業など幅広い業界への就職が可能です。

主な就職先の業界・業種については、下表の通りです。

区分 人数(人)
サービス職業従事者 3,477
生産工程従事者 2,359
販売従事者 1,352
建設・採掘従事者 797
専門的・技術的職業従事者 737
事務従事者 716
保安職業従事者 628
運搬・清掃等従事者 367
運送・機械運転従事者 213
農林業従事者 111
漁業従事者 16
上記以外 630

出典:「令和5年度学校基本調査 職業別就職者数」をもとに作成

希望する業界や業種、企業がある場合には、事前に学校の公式サイトで就職実績を確認しておきましょう。

サービス職業従事者

総務省のデータによると、通信制高校を卒業して就職した11,398人のうち3,477人がサービス業に就いています。

中でも、宿泊や飲食関連のサービス業が人気です。

生産工程従事者

生産工程従事者とは、加工・組み立てなど、生産工程で行われる仕事に関連する技能的な仕事に従事する人です。

生産工程従事者には、在庫管理・生産スケジュールなど、計画性をもって取り組む能力が求められます。

通信制高校での学習は基本的に自宅学習が中心なので、スケジュール管理・計画性が重要なアピールポイントとなります。

販売従事者

販売従事者とは商品の販売に携わる人です。商品の買付や消費者への提供を担当したり、さまざまな商品の営業を行ったりする仕事です。

営業職従事者が取り扱う商品には、自動車・機械器具・化学品など、専門知識を有するものもあります。

専門知識が得られるカリキュラムを組んでいる学校もあるため、学んだことを活かせる職種と言えます。

よくある質問

通信制高校からの就職について、よくある質問を紹介します。

Q.通信制高校から就職するより大学や専門学校に進学したほうがいい?

A. 一概にどちらが良いとは言えません。

大学・短大・専門学校を出たほうが就職の幅が広がったり、雇用条件が優遇されたりする場合もあります。

通信制高校から大学進学も検討している人は、通信制高校から大学進学は不利?おすすめの通信制高校5選も紹介をあわせて参考にしてください。

Q.通信制高校から就職活動するメリットはある?

A. 通信制高校から就職活動する場合には、さまざまなメリットがあります。

例えば、通信制高校の中には専門分野を学べる学校もあるので、若いうちにスキルや知識を習得できるというメリットがあります。

専門スキルや知識を習得していると、就職活動においてアピールポイントになります。

Q.通信制高校から就職するのに役立つ分野はある?

A. 通信制高校卒業後の進路は、専門性の高い業種へ就職するケースが多い傾向にあります。

例えば、プログラミングや美容師資格、調理師資格など、仕事に直結した資格を取得していると、就職活動に有利と言えるでしょう。

通信制高校の中には、さまざまな分野のスクールと提携している高校もあります。就職を目指す場合には専門性の高いスキルや資格を取得できる高校を選ぶのがおすすめです。

まとめ

通信制高校は就職に不利だと思われがちですが、通信制高校だからといって就職で不利になることはありません。

むしろ、通信制高校で身につけた自己管理能力や専門的なスキルは、就職活動時にアピール材料になるでしょう。

ただし、通信制高校によって就活サポートの手厚さや求人票の量に差が生じるケースもあります。そのため、就職活動に適した学校かどうかを見極める必要があります。

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