高校生が不登校になる原因は学年で異なる!不登校の割合や親の対応法

高校生の不登校は、思春期特有の複雑な感情が絡んでいることも少なくありません。また学年によって不登校になる原因が異なるため、それぞれに応じた親の対応が求められます。そこで今回は、高校生が不登校になる原因や親の適切な対応法を紹介します。
不登校になった高校生の割合は?
2020年に実施された文部科学省の調査によると、不登校になる高校生の割合は1.57%でした。この数値は、高校生の約60人に1人が不登校になっていることを示しています。ちなみに中学生の不登校の割合は3.9%なので、数字上高校生は中学生の半分以下という結果です。
ただし、不登校数には年間欠席が29日以下の方や発達障がいの特性で学校が苦手な方、高校をすでに中退した場合は不登校に含まれません。実際にはもっと多くの潜在的な不登校生徒がいるのではといわれています。
参考:令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について【学年別】高校生が不登校になる原因
小学校や中学校と異なり、高校は義務教育ではないため自分の意思で学校を辞められます。学校に行きたくないといった気持ちが生まれる原因は人によって異なりますが、子供がいきなり学校に行かなくなると心配になる親も多いはずです。
不登校の高校生に対して正しく対応するには、まず子供が学校に行きたくない原因を親がきちんと理解することが求められます。ここでは、学年別に高校生が不登校になるよくある原因をまとめました。該当する項目がないか確認してみましょう。
高校1年生で不登校になる原因
厳しい受験を乗り越えて高校に入学したにもかかわらず、不登校になってしまう高校生もいます。学年別で見ると不登校者数は少ないですが、親からすると心配に感じることでしょう。高校1年生で不登校になる原因には、次のようなことがあります。
- ・受験後に燃え尽き症候群になった
- ・刺激的な生活を好むようになった
- ・希望の高校に入学できなかった
- ・進学校の大量の課題についていけない
それぞれの原因を詳しく見ていきましょう。
受験後に燃え尽き症候群になった
自分が希望する高校に入学するために、中学3年生のときに必死に勉強をがんばる子供も多くいます。見事念願の高校に合格できていざ高校生活がスタートしたものの、今まで気を張っていた糸がプツンと切れて「燃え尽き症候群」になる子供も少なくありません。
燃え尽き症候群とは、急に熱意や意欲を失ってしまう状態のことです。別名バーンアウトと呼ばれる疾病で、学校をつまらなく感じたり友達と何も話したくなくなったりなどの症状が表れます。
うつ病と似た症状であるため混同する人もいますが、うつ病と燃え尽き症候群は発症する要因に違いがあるのが特徴です。うつ病は根拠のない悲観的思考により不安な気持ちが生まれ思い悩むことが多いのに対し、燃え尽き症候群は大きな目標を達成したことで次に打ち込めるものがなくなった場合に起こります。ただし燃え尽き症候群を経てうつ病になる事例もあるため、日頃から子供の状態を観察し見極めなければいけません。
刺激的な生活を好むようになった
高校に入学して交友関係の幅が広がると、友達と遊ぶことが楽しくなります。小学校や中学校に比べると行動範囲も一気に広がるため、学校帰りに友達と買い物に行ったりアルバイトをしたりなど刺激的な生活を好むようになる高校生も少なくありません。
悪い同級生の影響を受けてしまうと、勉強しないどころか学校をサボったり夜遅くまで遊び回ったりする子供もいます。このような生活を続けていると誰にも縛られず自由でいたい気持ちが強くなり、学校に通わなくなる子供も多いようです。
一方で「友達から仲間外れにされたくない」といった気持ちから、友達の誘いをうまく断れずに悩んでいる子供もいます。このような場合は自分でもダメなことをしている自覚はあるため、親の対応次第ではまた学校に通ってくれることもあるでしょう。
希望の高校に入学できなかった
高校受験を必死でがんばったにもかかわらず、なかには希望の高校に行けなかった子供もいます。努力をしたのにそれが報われなかったという事実は、思春期の子供には衝撃的な出来事で、心に深いダメージを与えてしまうものです。
ただ実際に学校に通ってみると気の合う友達ができて楽しめることも多いため、ここでうまく気持ちを切り替えられる子もいます。ただ気持ちを切り替えられなかった子供は、ほかの高校に入学できても希望の高校に入学できなかった後悔だけが残り、最終的に不登校になってしまう事例も少なくありません。
進学校の大量の課題についていけない
進学校に入学して不登校になってしまう高校生は、意外と多くいます。原因は進学校ならではの勉強のストレスです。例えば、毎日大量の課題が出されるといった進学校特有の事情が挙げられます。
ほかの学校と異なり、進学校では毎日課題を終わらせるだけで何時間もかかることも少なくありません。勉強の難易度も高いため、授業についていけなくなることもあります。熱心な家庭であれば、学校の課題に加えて学習塾に通う高校生もいるでしょう。
日々勉強に打ち込んでいると睡眠時間を削られることもあり、子供はストレスを感じます。また模試は土日に行われることが多く、休日返上で勉強に励む子供も多いです。このような状況下で勉強から逃げ出したくなり、不登校になってしまいます。
高校2年生で不登校になる原因
高校2年生になると学校や勉強に慣れて仲の良い友達もでき始め、高校生活を満喫する高校生も多くなります。ただ一方で、この時期は不登校生の数は増えていく傾向になるのが特徴です。高校2年生で不登校になる原因は、次のようなことがあります。
- ・友達同士のトラブルが絶えない
- ・自分の将来に漠然とした不安がある
- ・大人や社会に嫌気がさしている
それぞれの原因を詳しく見ていきましょう。
友達同士のトラブルが絶えない
高校2年生になると仲の良い友達も増えて、一緒に勉強したり遊んだりする子も決まってきます。良好な人間関係を築けていれば問題はありませんが、友達同士の問題に悩む高校生も少なくありません。また思春期の多感な時期なので、友達同士に加え異性をめぐる問題も出てきます。
親からすると友達同士の問題は小さなことに感じるかもしれませんが、子供からすると不登校になるほど深く傷ついていることも多いです。友達同士の些細な喧嘩からいじめに発展する事例もあり、それがきっかけで不登校になることもあります。
近年はSNSが普及したことで、ネットを利用した陰湿な嫌がらせやいじめも増えています。ネットに書き込まれた投稿は「デジタルタトゥー」といわれ、一度掲載されると完全に削除するのは困難です。このような嫌がらせやいじめは、学校に通わなくなる原因になってしまいます。
自分の将来に漠然とした不安がある
高校2年生になると、文系か理系のどちらかを選択してクラス分けが行われることも多いでしょう。まだ自分の将来に対して真剣に向き合えず、周りの友達に合わせて文系か理系か選んでしまう子も少なくありません。ただ勉強が進むにつれて「自分はこの選択で良かったのだろうか……」といった不安な気持ちが生まれます。
なかには自分の得意分野とは異なる選択をしてしまい、周りの友達から勉強で取り残される子もいるようです。この時点で自分の将来と真剣に向き合えれば良いですが、先のことはあまり深く考えずに自分の進路を選択してしまう子も多くいるでしょう。
周りとの温度差に苦痛を感じ、学校から逃げる形で不登校になってしまう高校生もいます。自分の将来に対して自暴自棄になっている子供には、親が一番の理解者であることを伝えてあげましょう。親の対応が求められる場面なので、子供の気持ちを理解して接してあげることが大切です。
大人や社会に嫌気がさしている
身体的には大人と変わらない高校2年生ですが、中身はまだまだ子供のままであることも少なくありません。また思春期で多感な時期ということもあり、理由もなく大人や社会に対して無性に腹が立ち反抗的な態度になる高校生も多いです。
親に対してはもちろんですが、学校では先生に対してイライラをぶつける子もいます。ただ学校には校則があり、それに応じて高校生活を送らなければいけません。例えば外見や身だしなみ、所持品、放課後や休日の行動制限などです。
校則は高校生からすると自由を奪われているようで、いちいち反抗したくなる子も多いでしょう。「息苦しい学校にいるくらいなら行かないほうが良い」といった考えに至り、最終的に不登校になってしまいます。家庭でも親に対する反抗がひどく、うまくコミュニケーションを取れない事例も多いです。
高校3年生で不登校になる原因
高校3年生になると、子供は嫌でも自分の将来と向き合わなければいけません。進路選択において、多くのストレス抱える高校生も多くなります。実は学年別で見ると高校3年生がもっとも不登校者数が多くなるのが現状です。高校3年生で不登校になる原因には、次のようなものがあります。
- ・進路が決まらず虚しさを感じている
- ・受験のプレッシャーを感じている
それぞれの原因を詳しく見ていきましょう。
進路が決まらず虚しさを感じている
高校2年生までは勉強をがんばりつつ友達と楽しい高校生活を送れていても、高校3年生になると急に自分の将来と向き合わなければいけなくなります。「自分は将来何をしたいのか」「大学に進学するのか」などいろいろ考えなければいけない重要な時期なのです。
将来の目標や夢が明確にある子であれば、悩むことなく自分の進路を決められるでしょう。ただ将来の目標や夢が明確にない場合は、自分がどのような選択をすればいいのかわからず、ただただ不安な気持ちにさいなまれる子も多いです。
ときには「自分はダメな人間だ……」と自分自身を責めて落ち込むこともあるでしょう。このような場合は学校に行くたびに敗北感を感じるため、徐々に学校に行かなくなる子も少なくありません。
受験のプレッシャーを感じている
進路で専門学校や短大、大学への進学を選択した場合、受験に対して大きなプレッシャーを抱えることになります。特に大学受験のプレッシャーは極めて大きいでしょう。「ここで失敗すると学歴で就職に悪い影響を与えてしまい、自分の人生は終わる」といった偏った考え方をする子も少なくありません。
そのため模試の結果で一喜一憂したり健康を害して情緒不安定になったりなど、心身ともに不安定になる高校生もいます。努力して勉強しても良い結果を残せないと、「どうせ勉強しても落ちる」「もう勉強したくない」などと自暴自棄になる子も多いです。
勉強から離れたい気持ちから学校に行くのも嫌になり、不登校になってしまいます。この時期は無理に勉強することを押し付けず、蓄積されたストレスを発散できるような対応が必要でしょう。親の対応次第ではまた勉強の意欲を取り戻し、将来に向けて進んでくれるはずです。
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不登校になった高校生への適切な対応
高校生は思春期で多感な時期で、不登校になる子も多くいます。ただし子供が不登校になった原因を明らかにしてそれに応じた適切な対応をすれば、不登校が少しずつ改善されることもあります。不登校になった高校生への適切な対応は、以下のとおりです。
- ・無理やり学校に行かせない
- ・不登校の理由を詮索しない
- ・親の態度や行動に一貫性を持たせる
- ・子供の気持ちを尊重する
- ・子供に家庭教師を提案する
無理やり学校に行かせない
子供が高校に行きたくない様子があるなら、無理やり登校させるのは逆効果かもしれません。むしろ学校を休んでも良いことを伝えましょう。不登校になる子供は、学校を休むのは良くないと頭では理解しつつも、精神的にはつらいと感じています。
このような場面で親から休んでも良いといわれると、子供は気持ちが一気に楽になるものです。また親は自分の味方をしてくれると思えるので、学校の悩みを打ち明けてくれることもあるでしょう。親子の会話のなかから、不登校の問題を改善するヒントを得られるかもしれません。
不登校の理由を詮索しない
子供が学校に行かない理由を話したくないときには、親は待つことも必要です。無理やり聞き出そうとすれば、余計に反発されて冷静な話し合いができないこともあるでしょう。
子供の不登校を親が心配するのは当然のこと。子供が相談したいと思えば、自分から不登校の原因を話してくるはずです。気持ちが切り替わるまで時間は必要かもしれませんが、子供自身が話をしたいと思えるまで待ってあげましょう。子供が話をしてきたときは、じっくり話を聞いてあげてください。
親の態度や行動に一貫性を持たせる
親の態度や行動が変わると、子供は親の変化に振り回されてしまい不登校から抜け出せなくことがあります。また態度や行動が変わる相手のことを信頼できず、子供は親に相談しなくなります。その結果、不登校改善が遅れてしまうことも多いようです。
まずは子供に接するときには、親の態度や行動に一貫性を持たせることを意識しましょう。態度や行動に一貫性を持たせれば、親への信頼が増し自分から不登校の悩みを打ち明けてくれる可能性があります。
子供の気持ちを尊重する
不登校になったあとは、部屋に閉じこもって1日中ゲームをしたり漫画を読んだりする子も多いです。そのような子供の様子を見ていると「毎日何やってるの?」と行動を否定したくなるでしょう。
子供によっては、ゲームや漫画でストレスを解消している可能性があります。子供の気持ちを尊重して、しばらくの間はやりたいことを思う存分やらせてあげることが大切です。気持ちが落ち着いてから、話し合いの時間を設けてみるのが良いでしょう。
子供に家庭教師を提案する
学校の成績や大学受験に対する不安で不登校になっているのであれば、子供に家庭教師を提案してみましょう。家庭教師から教わることで勉強への理解を深められ、成績が上がる可能性もあります。
近年はオンラインで指導してくれるサービスもあり、パソコンやタブレットのビデオ電話機能で利用できます。近くに人がいると緊張する子供には、オンライン家庭教師を提案してみましょう。
他校への転校も有力な選択肢のひとつ
不登校の改善策として、他校に転校することも有力な選択肢のひとつです。学校が変われば人間関係や学習環境が変わるため、転校をきっかけに学校に通い始めることもあります。
転校先には全日制高校をはじめ、定時制高校や通信制高校などがあります。高校も選択できる時代に変化しており、子供の生活スタイルに応じて最適な高校を選べるようになりました。それぞれの特徴を理解して、子供に適した高校を選択しましょう。
『自分に合う通信制高校がわからない』『おすすめの学校を提案してほしい!』
そんな声にお応えして、【通信制高校診断】をご用意しました。60秒で診断完了できます!
高校生が不登校になる原因は学年によって異なる
高校生は思春期の多感な時期です。複雑な感情が絡み合っており、不登校の生徒数も多くなる傾向があります。また学年によって不登校になる原因がそれぞれ異なるため、改善するには子供の気持ちをきちんと理解してあげることが大切です。
時間はかかるかもしれませんが、正しく対応できれば子供の不登校は改善されるでしょう。ただ悩みが深い場合は、他校への転校も有力な選択肢です。子供の様子をみて冷静に話せる状況であれば、転校の選択肢があることを提案してあげましょう。