通信制高校のデメリットは?アンケート結果から生徒の本音も紹介!
公開日:2018年02月13日 更新日:2025年07月10日
通信制高校へ通うことを考えているものの、全日制高校との違いなどに不安を感じている人もいるのではないでしょうか。 この記事では、通信制高校のデメリットや、どんな人に向いているのかを解説します。また、アンケート結果をもとに、通信制高校へ通う生徒の本音も紹介します。
通信制高校の5つのデメリット
通信制高校に通う際には、下記のデメリットがあります。
- クラスメイトや先生と会う機会が少ない
- 大学進学率が低い
- 自己管理が求められる
- 追加の学費が必要なケースがある
- 生活リズムが乱れやすい
クラスメイトや先生と会う機会が少ない
通信制高校によっては、対面での授業が少なく、クラスメイトや先生とのコミュニケーションが限られてしまう点がデメリットです。
特にネット型の学習コースでは、クラス分けはされておらず、登校頻度も少ないので、全日制高校や定時制高校と比較しても人と関わる機会が少ない傾向にあります。
しかし、学校によっては部活動やサークル活動、イベントなどが多く行われるケースもあります。そのため、サークル活動やイベントに参加して友人を作ることは十分に可能です。
また通信制高校には、仕事をしていたり、好きなことを追い求めていたりと、さまざまな人がいます。クラスメイトと接する中で、良い刺激を受けることもあるでしょう。
どうしても学校での交流が少ない場合には、アルバイト先や趣味の活動を通じて人間関係を広げる方法もあります。
大学進学率が低い
通信制高校から大学への進学は、一般的に難しいと言われます。文部科学省「学校基本調査」によると、全日制高校の大学進学率が61.6%なのに対し、通信制高校では24.1%です。
通信制高校からの大学進学率が低い背景には、下記の要素が挙げられます。
- 授業内容が大学受験に対応した内容ではない
- 課題は簡単なレポート作成である
- 登校日が少なく、学習面での不明点がすぐに解決しにくい
通信制高校からの大学進学を目指す場合には、学習に関する個別指導や進路指導が受けられる学校を選択するのがおすすめです。
通信制高校からの大学進学について詳しく知りたい人は、こちらの記事「通信制高校から大学進学は不利?おすすめの通信制高校5選も紹介」を参考にしてください。
自己管理が求められる
ネット型コースの場合、通信制高校は基本的に自宅学習となるので、自分自身で学習ペースを管理して勉強を進めていく必要があります。
そのため、自己管理が苦手な人にとっては学習ペースがつかめず、苦痛に感じる人もいるかもしれません。ペースをつかむには、自宅学習に適した環境づくりや家族のサポートが必要不可欠です。
どうしても集中できない、孤独を感じて継続できない人はまず下記を試してみましょう。
- 勉強専用の机と椅子を用意する
- 学習スペースには学習に必要なものだけを置く
- 家族が進捗を確認する
集中して学習するためには、自分専用の、整理整頓された学習スペースを作ることが重要です。その上で、学習の進捗を家族が確認し、アドバイスや激励をしてあげると、モチベーションを保ちながら学習に励めるでしょう。
追加の学費が必要なケースがある
通信制高校に通う場合、「サポート校」の費用が追加で必要になるケースがあります。
サポート校は、通信制高校に通う生徒の、学習支援や精神面のケアを行うための教育機関です。通信制高校のカリキュラムや志望校に合わせて学習プランを提案してくれるため、自分のペースで学習ができ、効率的に受験勉強を進められます。
サポート校の初年度納入金は50万~100万円とされます。
サポート校を利用する場合は、サポート校と通信制高校の費用を合算した金額を確認しておくことが重要です。
また私立の通信制高校では、通学コースを選択したり、オプション講座を設定したりすると、追加で費用が必要になります。
生活リズムが乱れやすい
通信制高校は毎日登校する必要がないので、生活リズムが乱れやすい傾向にあります。
規則正しく生活するためには、毎日決まった時間に起きて、勉強やその他の活動時間をあらかじめ決めておくことが大切です。
また、通信制高校でも通学コースを選択して登校日数を増やすことで、規則正しい生活を保ちやすくするという方法もあります。
通学が苦手な場合は、スクーリングが少ない学校を選択した上で、学習塾やアルバイト、習い事など、学校以外の定期的な予定を積極的に作りましょう。予定を入れることで、生活リズムを崩さず生活が維持できるようになります。
通信制高校の6つのメリット
ここまで通信制高校のデメリットを解説しましたが、もちろんメリットも数多くあります。下記の6つのメリットを紹介します。
- 全日制と比べて学費が安い
- 毎日通う必要がない
- 学校の選択肢が多い
- 専門的なことを学べる
- 働きながら学べる
- 単位制のため留年の心配がない
全日制と比べて学費が安い
通信制高校は、全日制高校と比べて学費が安い傾向にあります。
通信制高校の学費は、下記の通りです。
| 費用の種類 | 公立 | 私立 |
| 入学金 | 500円 | 10,000~50,000円 |
| 授業料 | 年間1万~2万円程度 ※1単位300~500円 |
年間18万円~ ※1単位5,000~ 12,000円 |
| 授業料以外にかかる費用(教科書代や施設費など) | 年間20,000~30,000円程度 | オンラインコース:年間30,000円~通学コース:年間10万円~ |
| 年間合計 | 30,000~60,000円程度 | 15万~30万円程度 |
学校や通う地域によっても異なりますが、一般的には公立の通信制高校の方が私立の通信制高校よりも費用は安く済みます。
一方で、私立の通信制高校は学校独自のコースや学習システム、施設設備が充実しているため、学費が高くなる傾向があります。
通信制高校でも、全日制高校や定時制高校と同様に「高等学校就学支援金」を活用できます。世帯収入が910万円未満であれば、人によっては授業料が実質無料となります。詳しくは、こちらの記事「通信制高校の学費を無償化!利用できる公的制度を徹底解説!」を参考にしてください。
毎日通う必要がない
通信制高校の登校パターンは、自由に選択できるケースが多く、毎日通う必要がありません。
自由登校、週3日登校、全日制と同じ週5日登校など、さまざまな登校パターンを選べます。そのため、日々の自分の体調や精神的状態にあわせて無理のない学習が可能です。
学校によっては、年に1~2度、3日~1週間程度の「合宿型スクーリング」を実施しているケースもあります。合宿型スクーリングは自然豊かなところで実施される場合もあるため、地元の人の協力も得ながら、普段の授業では経験できないユニークな授業が行われます。
「充実したスクールライフを送りたい」「できるだけ人と関わる機会を少なくしたい」など自分の希望を考え、楽しく通える登校パターンを選びましょう。
学校の選択肢が多い
通信制高校は、全国どこに住んでいても学べる環境が整っています。また、学習サポートやメンタルサポート体制が整っている学校もあり、校則や校風も多種多様です。
そのため、学校選びの選択肢が広がり、自分にあった学校に出会いやすい傾向にあります。
学校によっては、私服で登校できたり、髪の毛を染められる通信制高校もあるので、自由度の高いスクールライフを送りたい人にはぴったりでしょう。
通信制高校の選び方については、こちらの記事「通信制高校の選び方をポイント別に解説|手順や気をつけることも紹介」も参考にしてください。
専門的なことを学べる
通信制高校では、学校によって下記のようなさまざまな分野の専門授業が受けられます。
- ダンス
- 歌
- 美術・デザイン
- ファッション
- マンガ
- プログラミング
- スポーツ
- 調理
主要教科の授業とは別に専門的に学べる体制が整っているので、高校卒業と同時に専門スキルの習得が可能です。全日制高校を卒業後にそれぞれの専門学校に通うよりも、お金も時間もかけずに済む点は大きなメリットです。
実際に、専門分野に特化して学んだ先輩の事例について知りたい人は下記の記事を参考にしてみてください。
・美容系に興味がある人はこちら
・音楽系に興味がある人はこちら
・eスポーツに興味がある人はこちら
働きながら学べる
通信制高校は登校頻度が少ないため、時間の融通が利きます。そのため、アルバイトやパートと両立して、自分の学費を稼ぐこともできます。
また、プロスポーツ選手やタレントになるためのトレーニングやレッスンとの両立も可能です。
働きながら高校卒業資格を取りたい人だけでなく、夢や目標と並行して学習できるため、時間を有効に活用できるでしょう。
アルバイトと勉強を両立しながら、スクールライフを楽しむ先輩の事例を知りたい人は、こちらの先輩紹介インタビューを参考にしてみてください。
単位制のため留年の心配がない
通信制高校は単位制を採用しており、留年がありません。1年間で取るべき単位数が定められていないため、学年にしばられずに自分のペースで単位を修得できます。
また、通信制高校は卒業期間が定められていないので、必ずしも3年で卒業しなければならないというわけではありません。
過去に不登校や精神的不調などの経験がある人は、自分の心身のバランスを考えながら学習を進められるので、時間がかかっても高校卒業資格が欲しい人にはぴったりです。
生徒にアンケート!実際に通ってみて感じたメリットとは
現在通信制高校に通っている生徒に、「通信制高校に入ってよかったと思うことや、メリットだと感じることはありますか?」と質問してみました。
■通信制高校に入ってよかったと思うことや、メリットだと感じることはありますか?
95%もの人が「通信制高校に入ってよかった」「通信制高校に通うメリットがあると感じている」という結果になりました。いったい、どのような点が魅力であると感じているのでしょうか。
■通信制高校に入ってみて、どのような点がメリットだと感じますか?
上位5つは以下の通りです。
- 1位:校則が厳しくない(49.4%)
- 1位:アルバイト・仕事と両立できる(49.4%)
- 3位:好きな場所・時間を選んで勉強できる(45.9%)
- 4位:自分で通学日数を決められる(38.8%)
- 5位:趣味や習い事に打ち込める(31.8%)
「校則が厳しくない」「アルバイト・仕事と両立できる」と答えた人が約半数にのぼり、同率1位となりました。全日制高校では厳しい校則があったり、アルバイト禁止などの制限があったりします。しかし通信制高校の多くは、最低限の礼儀やマナーに関する校則はあるものの、頭髪や服装、アルバイトについては自由です。
「好きな場所・時間を選んで勉強できる」「自分で通学日数を決められる」「趣味や習い事に打ち込める」という回答が多いのも、通信制高校の特性をよく表している結果と言えます。通学日数や学習スタイル、学習カリキュラムを自由に決められるのは、通信制高校ならではのメリットです。
通信制高校はどんな人に向いている?
通信制高校は、一人ひとりの事情やペースに合わせて学習できる柔軟性が大きな特徴です。そのため、以下のような人に特に向いていると言えます。
- 自己管理が得意な人
- マイペースに学びたい人
- 通学ペースを調整したい人
- 体調面で通学が難しい人
自己管理が得意な人
通信制高校は、授業が自宅学習やオンラインでの学習になることが多く、スケジュール管理や学習計画を自分で立てて進める必要があります。
したがって、自己管理能力が高く、自発的に勉強に取り組める人に向いています。逆に、誰かに強制されないと動きにくい人は苦労することもあるため注意が必要です。
将来の目標が決まっている人
通信制高校は専門分野の科目が用意されているため、将来の目標が決まっている人に向いています。アスリートや芸能活動と両立したいという理由で通っている人も多いです。
また学習すべき科目が絞られているため、特定の科目を集中して勉強したい人にも向いています。
マイペースに学びたい人
通信制高校は通学の頻度や時間が自由なことが多く、周囲のペースに合わせる必要がありません。
そのため、自分のペースでゆっくり学びたい人や、部活動や趣味、仕事などと両立したい人にも適しています。集団生活に疲れやすい人にとっても安心して学べる環境です。
通学ペースを調整したい人
病気やケガ、家庭の事情などで毎日通学が難しい場合も、通信制高校であれば無理なく学習を継続できます。
また、遠方に住んでいる場合や、学校に通うことそのものにストレスを感じる人にとっても大きなメリットになります。
体調面で通学が難しい人
体調不良により不登校だった人や、持病や障がいが理由で通学が難しい人も、通信制高校なら自分に合ったペースで学習が可能です。
心理的な負担が軽減され、無理なく学業を続けられるため、再スタートに適した選択肢となります。
まとめ
通信制高校には、人と関わる機会が少ない、自己管理が求められるというデメリットがある一方で、学費が安く済んだり、専門性に特化した学習ができるなどのメリットもあります。
自分にあった学校選びをするためには、メリット・デメリットの両方をしっかり把握した上で検討することが重要です。
自分にあった学校選びに迷っている人は、こちらの診断ツールも利用してみてください。簡単な5つの質問に回答するだけで、自分に合う通信制高校のタイプとおすすめの学校を知ることができるため、通信制高校の情報収集には最適です。
■アンケート調査概要
- 調査方法:アンケート用紙を郵送配布・郵送回収
- 調査対象:ヒューマンキャンパス高等学校の在校生
- 回答期間:2019年2月1日~2月28日
- 回答件数:85件
- 有効回答数:85件

