学校に行きたくない高校生に親はどう対応すべき?対処法を詳しく解説

学校に行きたくないと悩む高校生をもつ保護者の中には「このまま不登校になってしまうのではないか」「将来に影響するのではないか」と不安を抱える人もいるでしょう。 高校生が学校に行きたくないと思う背景には、学業の悩みや人間関係の不安などさまざまな理由があります。そのため、子どもの意思を尊重して慎重に解決策を見つけることが大切です。 この記事では、高校生が学校に行きたくないと感じる理由やその対処法、避けるべき行動などを解説しているので、ぜひ参考にしてください。

高校生が学校に行きたくないと感じる5つの理由

文部科学省の令和5年度の調査によると、高校生の不登校生徒数は68,770人にのぼり、前年度に比べて8,195人増加しています。

また、高校生の主な不登校理由は下表の通りでした。

高校生の主な不登校理由 割合
いじめ 1.0%
いじめを除く友人関係 12.0%
教員との関係 1.8%
学業不振 16.1%
生活リズムの悩み 26.5%
学校のきまり 2.2%
転入、編入、進級などの新しい環境への適応 6.5%
家庭環境の変化や親子関係 12.1%
その他 21.8%

出典:文部科学省「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」をもとに作成

ここでは、高校生が学校に行きたくないと感じる、以下の理由について解説します。

  • 授業についていけない
  • 人間関係に悩みを抱えている
  • 学校の雰囲気になじめない
  • 健康面に悩みがある
  • 家族関係に悩みを抱えている

授業についていけない

授業の内容が難しく、ついていけないことから、学校に行く意欲を失っているケースがあります。勉強への苦手意識が強いと、学校生活全般に対して消極的になってしまう場合もあります。子どもの能力と通っている学校のレベルが合っていないことで、起こりやすい事例です。

授業についていけないと、ほかの生徒との差を感じて精神的負担が大きくなり、学校に行きたくないという思考に至ると考えられます。

人間関係に悩みを抱えている

いじめや孤立のように、友達との関係が構築できていないと、学校に行くことがストレスになってしまうでしょう。

また、友人だけでなく、担任や教科担当の先生との信頼関係も重要です。担任との相性が悪かったり、教員に対して恐怖心を抱いていたりすると、学校生活におけるさまざまな面で影響を受ける可能性があります。

さらに、教員との信頼関係が構築できていないと、友達との関係で悩みを抱えていても、相談できる相手がいなくなってしまいます。

学校の雰囲気になじめない

高校に進学し、ルールの厳しさに適応できなかったり、学習のレベルが合わなかったりすると、学校へ行くことにストレスを感じてしまうでしょう。

第一志望ではない学校に入学した場合、その学校のことがどうしても好きになれないケースも考えられます。

健康面に悩みがある

体調不良が続くと登校が難しくなり、欠席が続くとそのまま休みがちになってしまうケースもあります。

また、無理して登校を続けると、心身の疲労が限界に達して学校に行きたくなくなってしまう可能性もあります。

体調不良が続く場合は、病院を受診することも検討しましょう。

家族関係に悩みを抱えている

離婚・再婚による家族構成の変化や、親の失業・転職による家庭環境の変化に悩みを抱える高校生もいます。家庭環境が不安定な状態だと、学業や学校生活に集中できない場合もあるでしょう。

親同士だけの問題だと捉えず、子どもの精神状態も気にかけてあげることが大切です。

高校生が学校を休む4つのデメリット

高校生が学校を休んでしまうと、次のようなデメリットがあります。

  • 学習に遅れがでる
  • 出席日数が進級に影響する
  • 社会性を養う機会が減る
  • 生活習慣が乱れる

学習に遅れがでる

学校を休むと、その分だけ学習に遅れがでます。数日休んだ後に再び学校に通い始めたとしても、授業の内容がわからなくなると、また学校に行きたくなくなる可能性もあるでしょう。

また、学習についていけていない状態だと、テストの成績が悪くなる可能性があります。テストで赤点を採ると、留年する場合もあるため、注意が必要です。

ただし、高校生が学校を休んでしまうのにはさまざまな理由があり、仕方のないことです。休んだ際はその分の学習内容を先生や友人に聞くようにし、取り戻す工夫をするとよいでしょう。

出席日数が進級に影響する

学校を休む日が続き、出席日数が不足すると留年する可能性があります。全日制高校で単位を修得するには、年間授業数の「3分の2程度」の出席日数が必要です。

文部科学省「令和5年度公立高等学校における教育課程の編成・実施状況調査の結果について」によると、年間の総授業日数は190~199日の高校がもっとも多いです。その3分の2であれば、最低でも125~131日程度の出席日数が必要なことがわかります。

最低限必要な出席日数は学校によって多少違いがあるものの、おおよそ60~70日欠席すると、留年のリスクが高くなることを把握しておきましょう。

社会性を養う機会が減る

高校生が学校を休むことは社会性にも影響を及ぼします。学校を休めば会話をする相手は家族だけになってしまう子どもも多く、コミュニケーション能力が低下することもあるでしょう。

社会では報告・連絡・相談を行うなど、コミュニケーション能力が求められる仕事が多くあります。

コミュニケーション能力が低いと、進学や就職の障壁となり、うまく社会と関われなくなるリスクもあるでしょう。学校を休みたくなる原因が対人関係でなければ、友達と連絡を取るようにするなど、関係性を継続させておくのがおすすめです。

生活習慣が乱れる

本来であれば朝起きて登校して夕方まで学校で過ごし、夜に就寝するというサイクルで生活します。

しかし、学校を休み始めると、生活が不規則になりやすいです。夜中から朝までゲームをして昼に起きるというような、昼夜逆転の生活になる可能性もあります。

生活リズムが崩れると、免疫機能が低下して病気にかかりやすくなったり、倦怠感でやる気が出にくくなったりするデメリットがあります。生活習慣の乱れは心身ともに健康に支障をきたすことがあるため、学校を休んでも早寝早起きをするよう、心がけるといいでしょう。

学校に行きたがらないとき親が避けるべき4つの行動

高校生が学校に行きたがらない場合は、対応方法に注意が必要です。親が避けるべき行動について解説します。

  • 学校に行きたくない理由を無理に聞き出す
  • 原因が解決していないのに学校へ登校させる
  • 自分の価値観を子どもに押しつける
  • 必要以上に自分を責める

学校に行きたくない理由を無理に聞き出す

「学校に行きたくないのはなぜ?」と思い、理由を知りたくなると思いますが、無理に聞き出すのは禁物です。

学校に行きたくない理由を話したがらないのは、次のような理由が考えられます。

  • 理由を親に話したくない
  • 学校のことを考えるだけでつらい
  • 自分でも理由がよくわからない

学校に行きたくない理由についてしつこく聞かれると、責められていると感じてしまいます。また、結論を急ぐと気持ちがまとまらず、子ども自身が混乱してしまう可能性もあるでしょう。

話したくなったら自分から話してくれると信じて、そっとして見守ってあげるのも手段の1つです。子どもの様子を見て、今後のことも含めた前向きな話をしてみると良いでしょう。

原因が解決していないのに学校へ登校させる

原因を解決しないまま登校させるのは避けましょう。高校生が学校に行きたくないと思う理由はさまざまです。場合によっては時間が解決してくれることもありますが、原因不明で解決していない状態で登校させても、本人が苦痛なだけで余計に負担をかけてしまいます。

一方、ただ甘やかすのも得策ではありません。例えば、勉強をせずにゲームばかりすることを許容してしまうと「学校に行かなければ好きなことだけできる」と勘違いしてしまう場合もあります。

学校に通っているときと同じ接し方をしながら、不登校の原因や、どうすれば解決できるかを一緒に考えるようにしましょう。

自分の価値観を子どもに押しつける

自分の価値観を子どもに押しつけるのも禁物です。一般的な価値観を押しつけてしまうと、子どもをさらに追い込むことになりかねません。

例えば「登校日数が足りなくて留年したらどうするの?」「高校を卒業したほうが将来の就職や進学などに有利だよ」などと言いたくなることもあるでしょう。しかし、それらの現実は子ども自身がよく理解しています

かえって焦ってしまい、精神的な負担が大きくなってしまうケースもあります。価値観を押しつけるのではなく、子どもの気持ちに寄り添ってあげることが大切です。

必要以上に自分を責める

親が自分自身を責めて思い悩んでも、問題解決にはつながりません。子どもが学校に行きたくない理由が家庭問題だった場合は、ショックで自己嫌悪に陥ることもあるでしょう。

家庭の問題で子どもにストレスをかけてしまったのは事実かもしれませんが、自身を責めたところで状況は解決しません。子どもが抱える「学校へ行きたくない気持ち」と向き合い、問題を解決できるように行動する必要があります。

親がとるべき5つの対処法

高校生の子どもが学校に行きたくないと言った場合に、親がとるべき対処法は以下の通りです。

  • 子どもの現状を受け入れる
  • 学校と連携する
  • 専門機関や医療機関に相談する
  • 別室登校に切り替える
  • 転校を検討する

子どもの現状を受け入れる

まずは子どもの現状を受け入れましょう。学校に行きたくない理由が、大人にとっては些細な問題だったとしても、高校生の子どもにとっては重要な問題であることがあります。頭ごなしに否定するのではなく、子どもに寄り添うことが大切です。

否定せずにありのままを受け入れることが、子どもの精神状態の安定につながります。子どもが学校に行きたがらないのであれば、気持ちが回復するまで休ませてあげましょう。

また、学校に行かなくなった場合、子どもが頼れるのは親しかいません。だからこそ、急かさず、子どものペースに寄り添うことを心がけましょう。徐々に前向きな気持ちになり、解決策を考えられるようになるでしょう。

学校と連携する

学校と連携することで、高校生が学校に行きたくない原因がわかり、解決につながることがあります。

例えば、人間関係が原因の場合、子どもが理由を話しづらい場合があります。学校と連携しておくことで、学校での様子を調べてもらうなどの協力を得られるでしょう。

また、授業についていけていないことが原因だった場合も、家庭内だけで解決するのは難しいと考えられます。担任教師に相談することで、学習方法の改善など、具体的な解決策を検討することができるでしょう。

専門機関や医療機関に相談する

高校生が学校に行かなくなった原因や子どもの様子に応じて、専門機関や医療機関に相談することも検討しましょう。発達障害や精神的な病気が原因で、高校に登校できない場合もあるためです。

例えば、立ち上がる時にめまいや動悸が起きる場合は、重症化するケースもあります。

また、発達障害は生まれつきの特性により、学習やコミュニケーションに支障が出る障害です。症状が軽度で気づかなかったものの、高校入学やクラス替えなどの環境の変化によって病状が発覚することもあります。

こういった症状がある場合は、不登校を家族だけで解決するのは難しいです。学校や、高校生の不登校に詳しい下記のような専門機関に相談してみましょう。

  • 児童相談所
  • 教育センター
  • ひきこもり支援センター
  • 発達障害者センター

別室登校に切り替える

別室登校とは、教室以外の場所に登校することです。登校する場所は保健室や相談室、空き教室などがあります。

教室に行って友達と一緒に授業を受ける環境がつらくても、別室で先生と1対1で学習指導を受けるだけなら学校に通える場合もあります。また、別室であれば数時間だけ登校して帰る、昼食だけ食べて帰るといった対応もしやすいでしょう。

不登校の予防や教室復帰へのステップアップとしての効果が期待できますが、別室登校で良いと思ってしまい教室復帰が遅くなるリスクもあります。徐々に教室復帰ができるように、学校と相談しながら進めていくことが大切です。

転校を検討する

現在の学校で解決が困難な場合は、ほかの学校への転校も検討してみましょう。

転校先の選択肢と特徴は、以下の通りです。

  • 全日制高校:一般的な高校生活のリズムを維持したまま、人間関係をリセットできる
  • 定時制高校:朝の登校が苦手な生徒でも通いやすく、生徒の事情に配慮した指導が受けられることが多い
  • 通信制高校:登校日数が少なく、自分のペースで学習できる。不登校の生徒向けのカウンセリングや個別指導など手厚いサポートを受けられる学校がある

全日制高校は、前の学校と似た環境のため同じ問題が発生する可能性があります。また、定時制高校は1日の授業時間が少なく生徒の負担を軽減できますが、全日制と同じく毎日登校する必要があります。

通信制高校は、自身の状況に合わせたカリキュラムを編成できるため、進路や目的に合わせて学習を進められます。また、自宅学習がメインなので、登校日数が少なく子どもの負担を減らせます

通信制高校で徐々に学校生活に慣れることで、「普通に学校に通えるようになる」という効果も期待できるでしょう。

ズバット通信制高校比較では、5つの簡単な質問に答えるだけで、タイプに合わせた通信制高校の資料を無料で一括請求できます。転校を検討する場合は、利用してみてください。

なお、学校に行きたくないときの対処法については、学校に行きたくないときの対処法とは?NG行動や相談先も紹介でも解説しています。参考にしてください。

通信制高校が全日制と比べておすすめな4つの理由

転校を考える場合、通信制高校も選択肢に入ります。特に、「学校に行きたくない」と考えていたり、すでに不登校であったりする子どもには、通信制高校もおすすめです。

通信制高校が全日制高校よりもおすすめな理由は、以下の通りです。

  • 自分のペースで学習できる
  • 毎日登校しなくても卒業できる
  • サポート体制が充実している
  • 前の学校の単位を引き継げる

自分のペースで学習できる

通信制高校では決まった時間に授業を受ける必要がないため、自分の生活スタイルに合わせて学習を進められます。身体的・精神的な健康問題を抱えている高校生も、体調に合わせて勉強できるのは大きなメリットになるでしょう。

自由な時間が増えるため、アルバイトを始めたり、好きな趣味をしたりして、有意義に過ごせるようになる点もメリットです。

大学進学を目指しているのであれば、大学受験の勉強をしたり、苦手科目の克服に時間を使ったりもできます。

なお、通信制高校からの大学進学については、通信制高校から大学進学は不利?おすすめの通信制高校5選も紹介も参考にしてください。

毎日登校しなくても卒業できる

通信制高校は、自宅学習が基本のため、登校日数を少なくすることができます。早起きが苦手な子や、人付き合いが苦手な子にとっては、大きなメリットになるでしょう。

また、週5日通学型の通信制高校であっても、毎日登校を強いるものではなく、学校によっては柔軟に対応してもらえる場合もあります。

さらに、先生から面接指導を受ける「スクーリング」を除き、出席日数が足りなくて留年する心配がありません

登校頻度が少ないことによって生活リズムが崩れてしまうリスクを避けたい場合は、登校日数を増やしたり、アルバイトをしたりすると良いでしょう。

なお、スクーリングについては、通信制高校のスクーリングとは?スクーリングが少ない学校3選も紹介で解説しているので参考にしてください。

サポート体制が充実している

学校に行きたくないという子どもにとっては、相談に乗ってくれるカウンセラーがいたり、学習面での個別指導が受けられたりといったサポート体制が充実している点はメリットになるでしょう。

また、通信制高校は全日制高校に比べて人数が少なく、1クラス10人前後の学校もあります。少人数制によって担任の教師が生徒一人ひとりと深く向き合うことが可能で、学校によっては個別指導を行っているケースもあります。

前の学校の単位を引き継げる

通信制高校への転入では、学校によって、前に在籍していた高校で修得した単位を引き継げる場合があります。

例えば、高2の途中で転入した場合は、高1で取得した単位を引き継ぐことができます。ただし、高2で履修中の単位は引き継げないため、転入先で再度履修し直す必要があります。

つまり、進級の直前で転入してしまうと当該年次の単位が引き継げないため、次の学年に進級してから転入したほうが良いでしょう。

転入先を検討する際は、ズバット通信制高校比較の通信制高校診断をご活用ください。子どもの現状や目的に合わせておすすめの学校タイプや通学スタイルを提案します。

よくある質問

最後に、学校に行きたくない高校生に関するよくある質問を紹介します。

Q.高校をどのくらい休むと留年になる?

A.学校によって異なりますが、概ね3分の1以上の欠席で留年になる可能性があります。

進級するためには、成績と出席日数の基準を満たす必要があります。

  • 成績:各科目の定期テストで基準点を下回らないこと
  • 出席日数:3分の1以上の出席日数

必要な出席日数は学校によって異なります。留年の可能性がある場合は、最低ラインの日数と現状を学校に確認しておくといいでしょう。

Q.不登校で留年しそうになったときの救済措置はある?

A.留年しそうになった場合は、補習・追試・レポートの提出などの救済措置を設けている学校もあります。また、夏期休暇や冬期休暇、放課後の時間を活用して補習を行い、出席日数を補うケースもあります。

まとめ

高校生が学校に行きたくない理由はさまざまであり、その子に合った対応が重要になります。無理に理由を聞き出したり、不登校の原因が解決していない状態で登校させたりするのは避けましょう。

子どもの現状を受け入れて、気持ちの回復を待ちましょう。落ち着いた段階で子どもと話し合い、学校と連携したり、第三者に相談したりといった行動をとるようにしましょう。

現在通っている学校での解決が難しそうであれば、通信制高校への転入も視野に入れてみてください。通信制高校であれば、自分のペースで学習でき、毎日登校する必要がないといったメリットがあります。

ズバット通信制高校比較の通信制高校診断では、子どもに合わせた学校の資料を無料で一括請求できます。学校選びに迷っている場合は、ぜひ利用してみてください。