不登校で昼夜逆転してしまう5つの原因と親がいまできること

不登校の子どもを持つ保護者の多くが、子どもの「昼夜逆転」の悩みに直面しています。夜眠れず、朝起きられない…。そんな日々が続くと、「このままで大丈夫なのだろうか」と不安を感じるのは当然です。 この記事では、不登校と昼夜逆転の関係、主な原因、親としてできる具体的な対応策をまとめました。

不登校と昼夜逆転の関係

学校に行っていれば、朝起きて登校し、勉強や運動などしっかり活動して帰宅するという一定のリズムで毎日を過ごします。ところが不登校になると生活リズムが乱れ始め、長期にわたると生活全体が昼夜逆転することも珍しくありません。

不登校と昼夜逆転の関係は、多くの調査で明らかになっています。

出典:文部科学省「令和2年度 不登校児童生徒の実態調査

文部科学省が、不登校となった子どもの保護者に、「昼夜逆転など、生活が大きく乱れていた」かどうかについて調査しました。その結果、小学生では「よくあった」は20.4%、「ときどきあった」は19.8%、中学生では「よくあった」は30.9%、「ときどきあった」は25.4%と回答しました。

不登校の子が昼夜逆転になる5つの原因

昼夜逆転にはさまざまな要因が絡み合っています。ここでは特に注意したい5つの原因について解説します。

ストレスによる生活リズムの乱れ

不登校の子どもは、学校や人間関係、学業へのプレッシャーなどから強いストレスを感じています。

ストレスが続くと自律神経が乱れ、夜に眠くならなかったり、寝てもすぐ目が覚めたりします。その結果、昼夜が逆転しやすくなります。

時間に縛られない生活

学校に通わなくなると、起床や就寝の時間が自由になりがちです。

最初は「少し遅くまで起きていよう」程度だった習慣が、次第に「朝寝て夕方起きる」といった真逆の生活リズムになりやすくなります。

スマホやゲームへの依存

夜遅くまでスマートフォンやパソコンを使用することで、意識せず夜更かしにつながることもあります。

不登校によりリアル社会と隔絶感を覚えやすい中、ゲームの世界に没頭することで孤独や不安を紛らわせているケースも多いです。

不登校中のゲーム依存に関する悩みは、こちらの記事『不登校中にゲームばかり。取り上げてはいけない理由とは』も参考にしてください。

運動不足で夜眠くなりにくい

不登校になると家から出る機会・人と関わる機会が大幅に減り、運動不足に陥りがちです。

身体を使う機会が少なければ、自然と体内リズムも鈍くなり、夜になってもエネルギーが余って眠れなくなる原因となります。

心や体の病気の可能性も

睡眠障害(起立性調節障害など)やうつ病、発達障害などがある場合も、昼夜逆転する場合があります。

単なる生活リズムの乱れに見えても、背景に体調や心の病が隠れていることがあるため、注意が必要です。

昼夜逆転を改善するために保護者ができること

昼夜逆転した子どもの生活を整えるための第一歩は、親の対応です。不登校の子どもを責めず、いま保護者ができることを考えてみましょう。

否定せずにまず受け入れる

「早く寝なさい!」「なんで起きないの?」と頭ごなしに否定してしまうと、子どもはより心を閉ざしてしまうでしょう。

まずは、「今はつらい状況だよね」と、本人の状態を受け入れてあげることが最優先です。

子どもの思いを丁寧に聞く

日常の会話やちょっとした時間を利用して、「眠れない理由」や「いま感じていること」を少しずつ聞き出しましょう。

子どものペースに合わせて、共感しながら耳を傾けることが信頼関係を育てます。

生活リズムを整える

昼夜逆転した生活を正常に戻すには、まずは「毎日決まった時間に起きる」「朝日を浴びる」「朝食をとる」など、小さな習慣から始めてみましょう。また、夜のテレビやゲームの時間を決めることも効果的です。

保護者と一緒に生活リズム表を作成し、できたことをチェックしていく方法もおすすめです。

焦って学校復帰を急がせない

「生活リズムさえ整えば学校に行けるはず」と考えがちですが、復帰には時間がかかることもあります。

焦りはプレッシャーとなり、子どもを追い詰める原因になるため、気長に見守る姿勢も大切です。

専門家や支援機関に相談する

心や体の病の可能性、親子だけでは改善が難しい場合などは、医療機関(小児科、精神科、心療内科)やスクールカウンセラー、不登校の子ども支援団体など、専門家に相談しましょう。

第三者の助けを借りることで、新たな解決方法が見つかることもあります。

よくある質問

不登校の子どもの昼夜逆転に関して、よくある質問と回答を紹介します。

Q. 子どもの昼夜逆転を放っておくとどうなる?

A.生活が長期間不規則だと心身の健康に悪影響を及ぼし、学校復帰がさらに難しくなることがあります。

睡眠障害や体調不良、うつ状態などにつながるケースもあるため、早めの対応をおすすめします。

Q. 昼夜逆転はいつまで続く?

A.昼夜逆転には個人差があり、数週間から数ヵ月で改善する場合もあれば、数年にわたり続くケースもあります。

根本的な原因や子どもの状況によって変わるため、焦らず根気よくサポートしましょう。

Q. 昼夜逆転が治ったら学校へ行ける?

A.生活リズムの改善と学校復帰は必ずしも同時ではありません。リズムが整っても、心の準備や環境面の不安が解消されるまで時間がかかる場合もあります。

無理に登校を勧めるのではなく、子どもの気持ちを尊重しましょう。

まとめ

不登校による昼夜逆転は、多くの子どもとその家庭が経験する課題です。しかし「すぐに治さなければ」と焦る必要はありません。まずは子どもを受け入れ、心に寄り添うことから始めましょう。

生活リズムの改善や専門機関の利用など、できることを少しずつ実践するなかで、子ども自身が自分のペースで前に進めるよう見守ってあげてください。