不登校の原因はどのようなものがある?原因がわからない時の対応は?

子どもが不登校になった場合、親をはじめとした周囲の人たちは、できるだけすぐに原因を明らかにして問題解決をし、少しでも早く学校に行けるようになって欲しいと願います。しかし、不登校になった原因が常に明らかになるとは限らず、複数の原因が絡み合って不登校を引き起こしていることもあれば、本人も原因がわからないこともあります。ここでは、不登校の原因にはどのようなものがあるのか、原因がわからないときにはどのようにすればよいのかについて、詳しくご紹介します。

不登校の原因について

まず、不登校の原因にはどのようなものがあるかについてご紹介します。

文部科学省の「令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」によると、学年による割合の差はありますが、無気力・不安、いじめを除く学校での人間関係の問題親子の関わり方などといった要因が、不登校の原因として多いという結果になっています。
出典:「令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」文部科学省

これらの要因や他の原因を「学校」「家庭」「心身」の3つに大別し、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

原因が学校にある場合

不登校の原因が学校にあるものとして、おもに次のようなものがあげられます。

■不登校の原因が「学校」にある場合

  • 友達との関係(いじめも含む)
  • 教師との関係
  • 勉強の遅れ

ニュースや新聞などで、いじめが不登校の原因であると目にしたり耳にしたりすることが多いですが、いじめが不登校の直接の原因だと断定されている割合は、実はそれほど多くはないという結果になっています。

むしろ、いじめとまでは言えないような、友達との関係性の悪化ちょっとしたいさかいが原因になって、不登校になっている方が多いです。

また、学年が上になるほど、学校の授業についていけない勉強がわからないといった要因も、学校における不登校の原因として増えています。

原因が家庭にある場合

不登校の原因が家庭にある場合、おもな要因は次の通りです。

■不登校の原因が「家庭」にある場合

  • 家庭の経済状況
  • 親との別離不安
  • 家庭内の不和
  • 生活習慣

不登校の直接の原因として捉えられにくいですが、離婚やリストラなどによって生活が困窮したといったような家庭環境も影響を与える場合があります。

親が生活の疲れや夫婦の争いによるストレスで子どもに八つ当たりをしてしまい、家庭での子どもの居場所がなくなってしまうと、子どもが外泊や夜遊びなどといった非行に走り、不登校の原因になるのです。

また、子どもが親に依存し過ぎていたり、親が子どもの依存を容認していたりするような場合、親との別離不安から不登校になる場合もあります。

原因が心身にある場合

不登校の原因が子どもの心身にある場合、主な要因は次の通りです。

■不登校の原因が「心身」にある場合

  • 病気
  • 体質(低血圧など)
  • 発達障害

見落とされがちですが、子どもの心身問題が不登校の原因になっている場合もあります。

例えば、知的能力には問題がないにもかかわらず、話を聞いたり文字を書いたりすることが困難な学習障害(LD)や、じっと静かにしていることが難しい注意欠陥多動症(ADHD)などの発達障害や不安などの情緒混乱を引き起こす神経症うつ病などです。

また、ひどい低血圧などで、朝、起きられないなどといった場合も、不登校の原因になることがあります。

年齢別、不登校の原因

ここでは、年齢別の不登校の原因として多いものや傾向についてご説明していきます。

小学生に多い不登校の原因

小学生の不登校の原因は、他の学年に比べて、家庭によるものが多い傾向があります。

特に、低学年の場合、家庭の問題が子どもに影響していたり、親と離れられないといった不安感が不登校を引き起こしていたりすることが多いです。

高学年になると、仲がよい友達とのトラブル勉強についていけないといった原因も増えてきます。

中学生に多い不登校の原因

中学生になると、小学生よりも、学校での友人関係勉強が不登校の原因になる割合が増えます。

特に、クラスだけでなく部活動などの人間関係も増え、先輩・後輩といった上下関係にうまく対応できないといったケースが出てくるのも特徴です。

思春期や反抗期なども重なるため、不登校をしつつ、家庭内で親や家族に反発するといった矛盾を抱えることもあり、原因がわからない場合も多くなります。

高校生に多い不登校の原因

高校生の不登校の原因は、将来の不安理想と現実との乖離など、小・中学生よりも漠然とした抽象的なものが多くなります。

中学生の場合は、高校進学という先がありますが、高校生は、卒業後の進路を自分で決定しないといけないため、そのプレッシャーから逃げたい気持ちが不登校を引き起こしている場合もあります。

不登校の原因がわからない時の対処法

なぜ、不登校になったのか、原因が明確になる場合ばかりではありません。

また、学校に行くことができない原因が何なのか、不登校の本人もわからないこともありえます。

ここでは、不登校の原因がわからない時の対処法について、紹介していきます。

原因がわからない時にやってはいけないことは?

不登校の原因がわからない場合、周囲がやってはいけないことは以下のようなことです。

■不登校の原因がわからない場合、やってはいけないこと

  • 無理やり行かせようとする
  • 不登校が悪いことのように扱う

不登校の子どもを無理やり学校に行かせようとすることは、百害あって一利なしです。

学校に行きたくないという子どもの気持ちを無視して行かせようとすることは、子どもを尊重していない行動になります。無理に行かせようとすることで、不登校の問題だけでなく、子どもとの関係を悪化させることになりかねません

また、不登校が悪いことのように扱うことも、子どもが罪悪感を持つことになってしまい、不登校を悪化させる恐れがあるので注意が必要です。

原因がわからない時にやるべきことは?

不登校の原因がわからない場合にやるべきことは、以下のような対応です。

■不登校の原因がわからない場合、やるべきこと

  • 無理やり原因を追究しない
  • 子どもの気持ちを尊重する
  • 原因がわからないからといって放置しない
  • 子どもが安心できる居場所を作る

それぞれについて詳しくみていきましょう。

無理やり原因を追究しない

なぜ学校に行かないのか、不登校の理由や原因を探したくなりますが、原因がわからない時は、無理に追求しないことが大切です。

子どもが不登校になると、親をはじめとした周囲の大人の方があせってしまい、原因を聞き出そうと子どもを追い詰めてしまうことがあります。

しかし、そのような行動は状況を悪化させてしまうだけなので、子どもを追い詰めるような対応はするべきではありません。

子どもの気持ちを尊重する

「学校に行きたくない」という、子どもの気持ちをまず尊重するようにしましょう。

無理やり学校に行かせようとするのは、子どもの気持ちを尊重していないどころか、無視していることにほかなりません。

原因がわからないからといって放置しない

不登校の原因を子どもに聞いてもわからないからといって、子どもをそのまま放置したりあきらめたりしてはいけません。

原因がわからなくても、常に子どもに寄り添い、見守っているといった姿勢を示していくことが大切です。

子どもが安心できる居場所を作る

不登校になったことで、一番混乱し、不安になっているのは、周囲の大人ではなく子ども自身です。

特に、本人にも不登校になった原因がわからないような場合、まず安心して落ち着ける場所を用意してあげることが大切です。

家の中だと子どもが安心できないような場合は、家や学校以外の居場所を作ってあげるようにしましょう。

不登校の相談先について

不登校の原因がわかっている、いないにかかわらず、不登校の悩みを解決するには、しっかりと話を聞いてくれて、適切なアドバイスをしてくれる先があると安心です。

不登校についての相談をしたりサポートを受けたりできる団体を紹介します。

■一般社団法人 不登校支援センター

全国に7つの支部があり、小中高別の対応策を相談することができる。初回の相談は無料。

■NPO法人フリースクール全国ネットワーク

全国フリースクールをつなぐ活動をしている。フリースクールの利用相談先として活用できる。

■各自治体の教育支援センター(適応指導教室)

都道府県や市区町村の教育委員会が運営していることが多く、不登校に関する相談活動や不登校児童生徒に対する通所指導を行っている。高校生には対応していない所が多い。

まとめ

不登校になった原因を明らかにして解決することも大切ですが、それ以上に、学校に行きたくないという子どもの気持ちをまず尊重し、どうするかを一緒に考えていくという姿勢を大切にしていきましょう。

また、「不登校で悩む生徒をバックアップする通信制高校・サポート校」では、不登校改善に力を入れている通信制高校を紹介しています。不登校で悩む生徒の選択肢のひとつとして、ぜひ参考にしてみてください。