不登校を克服するには?不登校のきっかけや親や周囲にできること

子供が学校に行かない、または行けなくなった場合、ほとんどの家族や周囲の大人は一日も早く不登校を克服してほしいと願うのではないでしょうか。また、子供が不登校を克服するためには、どうすればよいのだろうと悩む方も多いことでしょう。 不登校になった原因がさまざまであるように、不登校を克服するきっかけも多様です。また、この原因にはこの方法が効果的といった正解もありません。しかし、どのようなきっかけで不登校を克服できたのか、これまでの事例を知ることで解決の糸口が見つかる可能性もあります。 この記事では、子供が不登校を克服するきっかけとなった例や、親や周囲が不登校克服のためにできることなどについて詳しく解説します。不登校克服のきっかけが見つからなくて困っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

不登校は克服できる

子供が不登校になるきっかけは、重大な事件が起きたことが原因になっている場合から、日常のちょっとした出来事が原因になっている場合まで実にさまざまです。同様に、不登校を克服するきっかけもさまざまで、些細なきっかけで克服できた事例も多数あります。

しかし、ここで大切なことは、多くの人が「不登校の克服=登校できるようになる」と捉えがちですが、決してそうとも限らないということです。学校に通えるようになったことが不登校の克服であると考えているうちは、不登校の状態から抜け出せないこともあります。

今、不登校で苦しんだり悩んだりしている子供が、どのような状態になれば「不登校を克服した」と言えるようになるかを見極めることが大切です。学校に通えるようになることを目指すだけでなく、子供に合った不登校の克服の方法や目標を見つけることを目指しましょう。

小学生の不登校の原因と克服方法

子供の年齢によって、不登校の原因や克服方法は違ってきます。ここでは、学校種別に不登校になる主な原因と、それを克服するために効果的だと考えられる方法についてみていきましょう。

まず、小学生の不登校を引き起こす原因の傾向と、その克服方法として考えられるものを説明します。

小学生の不登校の原因

小学生の不登校の場合、学校だけではなく家庭が原因になっている割合が中学生や高校生よりも高いという特徴があります。特に小学校低学年の場合、家や親と離れることの不安環境の変化についていけないといった原因が見受けられることが特徴的です。

また、学校で失敗する、先生に叱られるといったちょっとした出来事が、不登校を引き起こす原因になっている場合も多く見受けられます。

小学校中学年から高学年については、心身の発達度合にもよりますが、子供によっては思春期に入ることで精神的に不安定になったりすることや、友達や先生との人間関係が原因になったりすることも関係してくるといえるでしょう。

小学生の不登校の克服方法

学校だけでなく家庭が不登校の原因になっていることも多い小学生の不登校は、学年に応じた克服方法が求められます。また、ほかの学校種別よりも「学校に行けるようになること」が克服の目標になる割合が高いです。

学校と家庭、どちらかだけに偏るのではなく、両者が連携をして不登校を引き起こした原因を見極めていくことが大切だといえるでしょう。また、高学年の場合は、中学校入学という環境の変化を利用するのも1つの手です。

中学生の不登校の原因と克服方法

次に、中学生の不登校を引き起こす原因の傾向と、それを克服するために効果的だと考えられる方法についてみていきましょう。

中学生の不登校の原因

文部科学省の「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、不登校の子供の人数は小学6年生が約1万6千人であるのに対し、中学1年生になると約3万4千人と倍以上に増えています。

このように中学校に入った途端、不登校が増えるのは、進学したという環境の変化だけでなく、勉強スタイルやクラスや部活動における友人関係などの変化が大きな影響を与えていると考えられます。特に、定期テストやクラブ活動においてほかの生徒と比較されることが多くなるため、自尊感情が低くなりがちなことも一因だといえるでしょう。

さらに、思春期が重なることで他人の目が気になったり自意識が過剰になったりすることで、必要以上に周囲の反応に対して敏感になることも原因として挙げられます。いずれにしても、生活と心身ともに変化の大きい時期であることの影響が大きいことが特徴だと考えられます。

中学生の不登校の克服方法

体も心も大人への入り口に差し掛かる中学生は、さまざまなことが急激に変化するため戸惑いがちになる時期です。そのため、中学生の不登校は、なぜ学校に行けないのかといった原因を本人もわかっていないことがあります。そのような中学生の不登校の克服方法としては、無理に原因究明をしたり登校を強いたりしないようにし、まず本人の自己尊重意識を高めることが大切です。

また、周囲の大人として勉強の遅れや卒業後の進路が心配になりますが、子供自身も口に出さずとも気にしている場合があります。勉強が遅れないような工夫をしたり、不登校でも中学校を卒業して高校入学は可能であることを伝えたりすることで、安心を与えてあげるとよいでしょう。

高校生・大学生の不登校の原因と克服方法

小学校や中学校と違って高校や大学は義務教育ではないため、行かなければならないといった強制力が低くなりがちです。同時に、学校に行かないまま卒業することも難しくなります。

さらに、不登校改善のための学校の積極的な協力が得にくくなる場合もあるため、どうしたらよいのかわからなくなる家族の方も増える傾向にあります。一方で、義務教育でないことから、学校に通う以外の克服方法が見つけやすいともいえるでしょう。

ここでは、高校生と大学生の不登校の主な原因と、それを克服するために効果的な方法についてみていきます。

高校生の不登校の原因

高校生の不登校は、入学してみたものの思ったような学校でなかったり、学校内での人間関係がうまくいかなかったりといった原因が多いのが特徴です。また、将来のことについて考える機会も多くなるため、理想と現実とのギャップに悩むことも増える傾向にあります。

さらに、今の自分から具体的な将来のビジョンが描けないなど、将来に対する不安が強くなることが不登校を引き起こしている場合もあります。いずれにしても、自分自身や将来の自分に対して自信が持てない状態になっていることが多いといえるでしょう。

高校生の不登校の克服方法

高校の不登校の克服方法としては、無理に今の学校に通い続けるのではなく学校を変えてみるのも1つの手です。特にオンライン学習がメインの通信制高校であれば、いつでも転入学できる学校があり、登校する日数も少ないのでおすすめです。

また、勉強以外に好きなことや興味関心を持てるものがあれば、その方面に向かっていくことも克服方法だといえます。高校が義務教育ではないからこそ、選べる方法に目を向けさせてみることで、道が開けることもあるでしょう。

大学生の不登校の原因

大学生の不登校の原因として多いのは、良くも悪くも学校における縛りが少なくなったことによるものが多く見受けられます。勉強面でも人間関係においても、時間割やクラス割といった強制的な枠組みがなくなるため、自分で勉強することや友人を選んでいかなければなりません。

これまで受け身でこなしてきた場合、そのような自主性が必要とされる環境に馴染めず、授業でも学内でも孤立しがちになると考えられます。

また、大学生の不登校の場合、自宅から通っているか下宿しているかによって原因が違ってきます。下宿の場合、生活の乱れや心身の不調が不登校の原因になっていることも多いです。

大学生の不登校の克服方法

大学生の不登校を克服するに方法は、これまで以上に「何をやりたいか」や「将来、どのような仕事に就きたいか」といったことを考えることが必要になります。

やりたいことを実現するために大学での学びが必要であれば、何とかして通えるようにすることを目指しますが、そうでない場合は、専門学校への再入学や就職などの道を検討してみてもよいでしょう。

下宿で生活の乱れから不登校になっている場合は、まず生活習慣の改善が必要です。一人暮らしが難しいと判断された場合は、実家に戻ったり寮などの集団生活ができる場所に転居したりすることを考慮してみてもよいでしょう。

不登校克服のきっかけ

ここでは、不登校克服のきっかけとなった事例を紹介します。ただし、これらの不登校克服方法やきっかけが正解というわけではありません。

あくまでも、このようなきっかけで不登校を克服できた一例として、参考にしてみてください。

昔の友達と交流した

不登校になる以前の友達との交流が、再び学校に通えるきっかけになる場合があります。今の自分がそのまま受け入れられていた場所を再確認することで、改めて自分自身に自信を持つことができるようになるのだと考えられるでしょう。

また、楽しかった時期の思い出にふれることで、その頃に得た自信や肯定感を再び取り戻せる場合もあります。

家族以外に話せる人を見つけた

家族以外に相談できる人やおしゃべりできる人を見つけたことによって、不登校を克服できたケースもあります。

家族以外の人の例として挙げられるのは、日常生活で接する機会を作りやすい、よく行くお店の店員さんや美容師さんなどです。特に、お客様として大切に扱ってもらうことと相まって、自信回復につながる可能性が高くなると考えられます。

習い事など、学校以外の居場所を見つけた

スポーツや楽器などの習い事やボランティア活動など、学校以外で居場所を見つけることができ、不登校を克服したというケースもあります。好きなことや得意なことに熱中し、学校以外での活躍の場を持つことは、自尊感情を高めるために効果的です。

これまで、特に習い事やボランティア活動などをしていなかった場合は、新たに始めてみてもよいでしょう。その場合は、活動内容だけではなく、参加しているメンバーにどのような年代の人がいるか、活動が子供の負担にならないかなども確認しておきましょう。

好きな芸能人やアニメから元気をもらった

好きなアニメや芸能人などの言葉や歌などで励まされたり、同じアニメや芸能人を応援している人とつながったりすることで元気をもらい、不登校の克服につながることもあります。非現実世界が逃げ場になることもありますが、同時に生きがいにつながることもあるのです。

ライブやイベントなどに直接参加することができなくても、好きなものを応援していたり共感できる仲間と連絡を取り合ったりすることが活力につながることがあります。

同じような不登校の経験者と交流した

不登校経験者との交流によって、不登校克服のヒントや励ましをもらえることもあります。また、不登校の経験や克服した体験を聞けるだけではなく、自分だけが不登校で悩んでいるわけではないと気付くことで、安心したり自己肯定感につながったりすることもあるといえるでしょう。

不登校の会などの集まりもありますが、オンラインで話したりメールでやり取りしたりすることによる意見交流も可能です。交流するのが難しい場合は、体験記などを読んでみるのもよいでしょう。

>【スクールライフ体験談】不登校を経験し、通信制高校へ入学した生徒やその保護者のリアルな声を掲載中!

短期留学をした

短期留学をして日本を離れてみたことが、不登校克服のきっかけになったというケースもあります。一人きりで、家や親、学校などから離れて海外で暮らすという経験によって、視野が広がり自信がつくからかもしれません。

また、世界の広さや人間の多様性に気付き、自分自身や生活環境を客観的に眺められることが不登校の克服につながるとも考えられるでしょう。海外に行くのが難しい場合は、国内の島留学田舎ホームステイなどもあります。

>【もっと詳しく】不登校からの留学は可能?メリットや注意点を正しく理解しよう!

病院やカウンセリングなどで治療を受けた

不登校そのものは病気ではありませんが、まれに不登校の影に病気やトラブルなどが潜んでいる場合もあります。例えば、朝起きられない起立性調整障害やうつ病、学習障害などです。

そのような場合は、適切なカウンセリングや通院によって改善、回復し、不登校だけでなく生活そのものが楽になるケースもあり得ます。可能性があると考えられる場合は、一度受診してみてもよいかもしれません。

不登校克服のために周囲ができること

最後に、子供が不登校を克服するために周囲がやってはいけないことやできることなどについて説明します。

不登校を克服するためにやるべきでないこと

「不登校を克服する」という名目で、子供に何かを強制したり押し付けたりするべきではありません。周囲の大人としてはアドバイスのつもりであっても、不登校の子供にとって強制や押し付けは、今の自分を否定されているように感じられるからです。

同様に「決めつけ」もやるべきではないといえるでしょう。子供が不登校になった原因や、「この方法なら学校に行ける」といった決めつけは、不登校をしている子供を追い詰めることになってしまいます。心配する気持ちから「押し付け」や「決めつけ」といった態度を引き起こさないように注意が必要です。

不登校を克服するためにできること

子供が不登校を克服するために周囲の大人ができるのは、まず子供の「克服したい」という気持ちを大切にすることです。子供自身が、まだ不登校を「克服したい」と思っていない場合は、焦らせずに見守りながら待つようにしましょう。

周囲としては、不登校の状態を一日でも早く改善してあげたいという気持ちになるので、どうしても焦ってしまいがちです。しかし、不登校を早く克服できることが必ずしも正しいわけではありません。

不登校は「子供と一緒に克服する」ことが大切

不登校になる原因がさまざまなように、不登校を克服する方法やきっかけもさまざまです。そのため、何がきっかけで克服できるのか、わからないことが多いでしょう。毎日、学校に行けない子供を見続けているのが辛く、一日でも早く不登校を克服させてあげたいと願うのは当然だといえます。

しかし、最終的に克服するのは不登校をしている子供自身です。その前提をはき違えてしまうと、元も子もありません。子供を心配するあまり、親や周囲の大人は即効性と確実性のある克服方法を求めがちですが、まず、子供と一緒に克服していこうとする姿勢が大切だといえます。

不登校の克服は、学校に再び行けるようになるだけとは限りません。不登校で苦しんでいる子供の気持ちをまず尊重し、何を目標にするのかを共に考え、寄り添いながら不登校克服のきっかけを一緒に見つけていきましょう。