学校に行きたくないときはどうすればいい?中高生の不登校への向き合い方と対処法

学校に行きたくない、と言って登校をしぶる子どもは年々増える傾向にあります。どの子どもも、いつ学校に行きたくないと言ってもおかしくはありません。このとき理解のしかたや対処法を誤ると、子どもの心に傷を残してしまうかもしれないため、正しい向き合い方をしたいものです。 この記事では、学校に行きたくないと思う子どもやその親へ向けて、学校に行きたくない理由と向き合い方、さらに学校へ行きたくないときの具体的な対処法を解説します。参考にしてください。

学校に行きたくない理由と向き合い方

学校に行きたくない理由は、子どもによってさまざまです。しかし、それぞれの理由はいくつかの傾向に分類することができます。

とりわけ中高生に多い理由には、以下のようなものがあります。

  • 人間関係のストレス
  • 校風に馴染めない
  • 学習面でついていけない
  • 家庭環境の変化

それぞれについて詳細に解説します。

人間関係のストレス

学校で人間関係のストレスを抱え、学校に行きたくないと感じてしまう子どもはたくさんいます。同級生の輪になじめない、先輩後輩と何らかのトラブルがある、あるいは先生との信頼関係がうまく築けないというケースも考えられるでしょう。

人間関係のトラブルは先生に理解を求めるなどで解決してあげられれば一番良いですが、中高生ともなれば先生が介入しても解決しないことがあります。また、子ども自身に何があったか話してもらおうとしても、素直に話すとは限りません。

家庭としては先生と連絡を取りつつ、子どもに対しては常に味方であるという姿勢を崩さないでいたいものです。学校を休む場合も責めるのではなく、共に寄り添い、本人の力を信じて、気持ちの回復を待つと良いでしょう。子どもが何かを話してくるようであれば、ゆっくりと聞いてあげる時間を取るのが理想的です。

校風に馴染めない

具体的なトラブルや、人間関係の問題を抱えていなかったとしても、学校の雰囲気や教育方針がストレスになってしまうこともあります。

極端な例ですが、自由に振る舞いたい子どもがルールを重んじる学校に入学してしまったり、反対に何ごとも品行方正に、静かにこなしたいのに、賑やかで自由な校風だったりすれば、学校に自分の居場所がないと感じるのも無理はないでしょう。

少しでも学校を休むことで、子どもが「人生のなかで数年のこと」と納得しまた学校に戻れるようであれば問題はありませんが、状況に応じて転校を検討することも必要になるかもしれません。あるいは、通信教育などで学力を補い、進学のタイミングを待つという手段もあります。大切なのは子どもの意志です。さまざまな道を示しながら、子ども自身が納得できる道を選びましょう。

学習面でついていけない

学校に行きたくないのは、学習面でついていけていないためかもしれません。成績不振は、子ども本人に大きなストレスを与えます。

学校は友達と会える楽しい場所と思われがちですが、学校で過ごす時間のほとんどは授業時間です。ここで先生の言っていることがわからなければ、授業時間はとても長く感じ、子どもはつらい気持ちで過ごさなくてはなりません。

周囲との学力差も、子どもにとってはストレスです。周囲がわかることを自分はわからないとなると、劣等感にもさいなまれます。そして、こうした感情は友人たちとの間に溝をつくったり、心を閉ざしたりといった、人間関係のトラブルに発展することもあるのです。

成績が振るわないタイプの子どもであれば、学習面をていねいにサポートすることで再び登校できることがあります。個別塾などの利用も検討してみましょう。

家庭環境の変化

家庭内の不和や両親の離婚など、家庭環境の変化が心の傷や負担になることがあります。家のなかの空気が緊張していると、本来リラックスするべき家での時間においても、子どもの精神にストレスがかかってしまうのです。

学校は他人と交流する場所ですから、行けば疲れます。その疲れを癒やす場所であるはずの家でもストレスがかかると、学校へ行くための気力が振り絞れなくなることもあり、学校に行きたくないという気持ちにつながってしまいます。

この場合は、子どもが家でリラックスできるよう、家庭環境を整えていくことが大切です。「学校に行きたくない」と話している子どもが、家にも居場所がないと感じていることもあります。個別の事情や解決の方法は家庭それぞれに違いますが、大人の不機嫌を子どもにぶつけることのないよう留意し、子どもにとって居心地の良い家庭環境づくりを目指してください。

隠れ不登校は10人に1人

隠れ不登校とは、学校には行けるが辛い、本当は行きたくない、教室に入りたくない……という状態を言います。中学生を対象にした2018年の調査によれば、中学生の10人に1人が隠れ不登校にあたることがわかりました。

この調査がおこなわれた時点で、「不登校」すなわち年間30日以上にわたって欠席している中学生は、全国におよそ10万人、全体の3.1%です。これに対して、不登校には該当しないけれども「不登校傾向にあると思われる」とされる、いわゆる「隠れ不登校」の中学生は約33万人、全体の10.2%との結果が報告されています。

学校に行きたくないと感じるのは、悪いことや、珍しいことではありません。学校によって、さまざまな環境が用意されていますが、その環境が自分に合わない場合もあり、また合わないと感じている人もたくさんいるということです。子どもに無理をさせることなく、柔軟な対応を考える必要があります。

参考:学校になじめない推計33万人の「隠れ不登校」中学生。彼らの声から見える「学校」の在り方とは?

学校に行かないとどうなる?

学校に行きたくないと感じるけれど、学校に行かないと悪いことが起こるのではないかと不安に思っている人も多いでしょう。学校に行かないことで、将来的に起こる可能性があることとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 進学・就職で苦労する
  • 不安や劣等感を引きずる

このようなケースもありますが、適切な対応を取れば、自分の興味や特技を活かした未来を手に入れることも可能です。

それぞれについて詳しく解説します。

参考:「あなたは不登校を克服しましたか」不登校経験者36名の回答

進学・就職で苦労する

不登校の場合、進学や就職では苦労をすることがあります。授業を受けていないため学力が低下していたり、履修単位が不足したりで、進級進学できない、あるいは遅れる場合などがあります。

就きたい職業によっては、ある程度の学歴や学力が必要です。今はいいと思っても、数年後になりたいものが見つかったとき、挽回が難しく職業選択の幅が狭まってしまうこともあるでしょう。

中学校は不登校でも卒業資格を得られますが、自主的に動かなければ高校進学が危ぶまれます。高校生の場合は不登校のために高校の卒業資格が得られないこともあり、やはり対策が必要です。

しかし通信制高校への転校、大検を取得しての大学進学、専門学校に通うなど、挽回するチャンスもあります。もし今、なりたい職業が漠然とでも思い描けているならば、必要な学歴を調べてみるのもおすすめです。

不安や劣等感を引きずる

不登校は、子ども本人にとって不安や劣等感といったダメージを感じさせる出来事です。このダメージを将来まで引きずってしまい、社会に出ていくことが怖くなるケースは珍しくありません。学力や学歴とは関係なく就職ができず、そのまま引きこもってしまう場合もあるのです。

実際に不登校になってしまったとして、その過去を引きずらずに社会生活を送るためには、不登校を経験した自分に自信を持てるようになるのが一番です。

不登校そのものは、同じように不登校や、人となじめないことなど、さまざまな悩みを持つ人に共感できる強みとなります。本当は、不登校であった自分を「プラスの経験をした」と受け入れることができれば理想的でしょう。

他にも、学校や勉強とは全く関係がなくとも、何らかのスキルを身に付ければ、それが自信へと変わっていくことが多いものです。支援団体などに協力をあおぎ、一歩ずつ焦らずに、自分にできることを見つけていく時間が必要になります。

学校に行きたくないときの対処法

学校に行きたくないときは、まず、なぜ行きたくないのかを考えてみましょう。このとき、親が原因を考えてみるのであれば、親の勝手な判断ではなく子ども自身がどう思っているのかを聞き取らなければなりません。あくまで子どもの意志を尊重することが第一です。

子どもの気持ちや事情を考えたうえで、個々に合った解決方法を模索しましょう。

学校に行きたくないときの対処法としては、以下のようなものがあります。

  • 周囲に相談する
  • 一時的に休む
  • 通信制高校へ通うなど環境を変える
  • 診察を受ける

それぞれについて解説します。

周囲に相談する

まずは学校に行きたくないという気持ちを、親・友達・教師・学校のカウンセラーなどに相談してみてください。とはいえ周囲に信頼できる人がいないケースもあるはずです。そんなときは、不登校の子どもを支援してくれる無料の相談先もあるので、利用してみましょう。

例えば、厚生労働省では民間と提携して「チャイルドライン」を設置しています。18歳までの人が、16~21時に相談できる窓口で、電話のほかにチャットでも対応してもらえます。まずはホームページを参照してみましょう。

参考:チャイルドライン

民間のカウンセリング施設やフリースクールも、不登校の相談を受け付けているところがたくさんあります。県などの自治体でも、フリースクールと提携して不登校相談会を開催しています。地域のフリースクールや自治体ホームページで案内がありますので探してみましょう。

一時的に休む

学校に行きたくないときは、一時的に学校を休むという方法もあります。例えば行事に参加したくない等、学校に行きたくない原因が短期間で過ぎ去り、解決できる見込みがあるケースで有効です。

しかし一時的に学校を休んでしまうと、そのあとクラスメイトの視線などが気になって、学校に通いづらくなることもあります。そのままずるずると長期にわたって不登校になってしまう可能性も捨てきれません。

それでも、スムーズに復学するには、やはり無理をしないことが一番です。定期テストなど、負担の大きい時期の復学は避けましょう。いきなり学校で一日過ごすのは辛いかもしれません。体調が悪くなったら保健室で過ごすことをあらかじめ先生に話しておくのがおすすめです。

また、復学時に大きな学力の遅れが出ないよう、家庭学習をおこなっておくことも大切です。通信教育や、市販のドリルなども活用しましょう。

通信制高校へ通うなど環境を変える

学校に行きたくない原因が、部活内など限られた範囲にあるのならば、まずは退部するなど環境を変えてみましょう。ただ部活ではなく、学校やクラス自体が原因であり、今の学校に通うことが困難な場合は、学校を変えるという方法もあります。

通学自体が難しいのであれば、通信制高校という選択肢もあります。通信制高校は週何回、年に何回など、決められた時だけ登校します。他はレポートの提出や、定められたテストを受けることで単位を取得し、高校の卒業資格が得られるのです。

一見して通信制高校ではクラスメイトとの交流があまりないように思われがちですが、そうではなく、むしろお互いに不登校などの悩みや辛さを共有できる良き友達となることもあります。

転校は、子どもにとっても大きな選択です。子どもが学校についてどう考えているのか意志を尊重しつつ、将来的な進学や就職も視野に入れながら、柔軟な対応を取りましょう。

診察を受ける

集団生活が苦手である、学校というシステムにどうしても馴染めない、という場合は、何らかの疾患が隠れている可能性があります。

たとえば、起立性調節障害は自律神経が失調をきたし、循環器系の調節がスムーズにおこなえなくなる病気です。起床時に低血圧、心拍数の異常などがあらわれ、特に朝起きられない、立ちくらみ、疲れやすい、という形で表出しやすくなります。

発達障害については近年広く知られるようになってきました。集団生活を送りにくい症状が出ますが、発達障害にも複数の種類があり、医師による診断を受けなければ判別はできません。

いずれの場合も、体の病気のひとつであり、本人の頑張りや気力で解決できる種類のものではありません。一方、投薬で好転する部分もあります。生活のしにくさが医療によって改善する場合があるということを念頭に置き、必要に応じて診察を受けるようにしてください。

まとめ

理由はさまざまでも、学校に行きたくないと感じている子どもはたくさんいます。今は違っても、いつ、どの子が不登校になってもおかしくない時代に、私たちは生きているのです。不登校の解決方法は、従来どおり学校に通うことだけではありません。別の学校に通う、将来を見越して資格の取れる進路を探るなど、さまざまな方法があります。親、友達、先生、支援団体などを頼りながら、子ども自身が自分を尊重できる、柔軟な選択をおこないましょう。