不登校への対応はどうする?まずやるべきこと5つとNG行動

不登校の子どもは年々増加しています。子どもが不登校になった際、保護者はどのように対応すべきでしょうか。 この記事では、不登校の子どもへの具体的な対応5つと避けるべき行動について解説します。

不登校になったらまずは5つの対応を

不登校の子どもを持つ保護者にとって、最初の対応がとても重要です。

ここでは、初期段階で取るべき5つの対応方法を説明します。

対応1:学校を休ませる

まずは学校を休ませ、心身ともにリラックスさせることが大切です。

無理に学校に通わせることで状況が悪化してしまうことがあります。

保護者としては「休むと勉強が遅れるのでは?」「復帰するのが大変になるのでは?」と不安になるかもしれません。

しかし、休むことをマイナスではなく、前向きなステップと捉えることが重要です。子どもが元気を取り戻したと感じるまで、焦らずに待つ姿勢が必要です。

対応2:子どもの話を聞く

学校を休ませたら、子どもの話を聞きましょう。ただし、学校に行きたくない理由を問いただすのではなく、子どもの気持ちに寄り添ってください。

例えば、夕食の時間やリラックスしているときに、「今日は何をしたの?」と日常的な質問から始めると良いです。

子どもが感じていることや考えていることを否定せず、受け入れてあげることが大切です。

話を聞くことで、子どもが安心して気持ちを表現する場を提供できます。

また、どんな小さなことでも「それは大変だったね」「がんばったね」と共感し、理解を示すことで信頼関係が深まり、心の負担が軽減されます。

対応3:子どもの気持ちに寄り添う

不登校の子どもに対応する際、重要なのは子どもの気持ちに寄り添うことです。

子どもがどんな感情を抱いているのかを理解し、共感する姿勢を持つことが必要です。

例えば、子どもが「学校が怖い」と感じている場合、その怖さを否定せずに理解しようと努めることが求められます。「怖かったね」や「その気持ち、わかるよ」といった言葉で共感を示すことで、子どもは安心感を得られます。

対応4:生活リズムを整える

不登校の子どもにとって、規則正しい生活リズムを維持することは重要です。

学校を休んでいる間も、起床時間や食事の時間を一定に保つことで、生活習慣が乱れないように努めましょう。

また、適度な運動や家事手伝いなど、日中の活動を取り入れることで、体力を維持し気分転換にもなります。一日の終わりには、リラックスできる時間を設けることも大切です。

テレビやゲームなどの利用時間はルールを決め、適切な睡眠時間を確保するように心がけましょう。これによって体内時計が整い、心身のリズムが安定します。安定した生活習慣が、再び学校生活に戻るための基盤を作ります。

対応5:学校に相談する

子どもが不登校になった場合、学校と連携することが重要です。担任の先生やカウンセラーに相談し、現状を共有することで、適切なサポートが受けられるようになります。

まず、学校に連絡を取り、子どもの状況を詳しく説明しましょう。学校側も子どものサポートに積極的に関わることで、より良い支援策を考えることができます。

また、必要に応じて教育支援センターなどの外部機関と連携して対応を考えることも有効です。

定期的な面談を通じて、子どもの進捗を確認し、必要な支援を調整します。保護者と学校の間で密なコミュニケーションを保つことで、子どもが安心して学校に通える環境づくりが進みます。

やってはいけない5つのNG対応

ここでは不登校の子どもに対して、やってはいけない5つの対応を紹介します。

無理やり登校させる

不登校の子どもを無理やり登校させることは避けるべきです。

子どもが不登校になる背景には、学校に対する恐怖やストレスが存在することが多く、無理やり登校させることは恐怖やストレスを増幅させるだけです。

無理やり登校させる行為は、子どもの心理的負担を増加させ、精神的なトラウマを引き起こしたりする恐れがあります。

子どもを責める・怒る

不登校の子どもを責めたり怒ったりすることは、避けるべきです。

このような行動は子どもに対する感情的なプレッシャーを増加させ、ますます学校に対する抵抗感を強める可能性があります。

不登校の子どもはすでに心理的な負担を抱えていることが多いため、責められることでさらに精神的に追い詰められてしまいます。

また、価値観を押し付けたり、否定したりするような言動も避けましょう。

例えば、「学校に行かないと将来困ることになる」「不登校は甘えだ」というような言葉は、子どもに対してプレッシャーを与えるだけでなく、自己肯定感を低下させる原因となります。子どもが感じている悩みや不安を軽視せず、寄り添う姿勢が必要です。

理由を問い詰める

不登校の理由を問い詰めると、子どもの心にさらにプレッシャーを与えることになります。

理由を探ることは重要ですが、問い詰めるのではなく、自分から話してくれるのを待つ姿勢が肝心です。

子どもは心理的なストレスを受けていることが多く、問い詰めることで逆に心を閉ざしてしまうことがあります。

子どもが不登校になった背景にはさまざまな理由が考えられますが、まずはその理由を話してくれるような信頼関係を築きましょう。日常生活の中での何気ない会話や、リラックスできる環境で話を聞く努力が必要です。

他人と比較する

不登校の子どもを他人と比較することは大変危険です。

他人と比較されることは子どもにとって自己否定感を強める原因となり、さらにストレスを感じさせることになります。

例えば、「○○ちゃんはちゃんと学校に行っているのに」や「他の子は学校で勉強しているよ」というような言葉は、子どもにとって心に深い傷を残します。

こうした言葉は、子どもの自尊心や自己肯定感を傷つけ、より深刻な不登校状態を招くことがあります。

特別扱いする

特別にやさしく接したり、甘やかしたりするなど、特別扱いすることも不登校の子どもにとってはNG対応です。

子どもにとっては、いつも通りの対応が安心感を与えます

例えば、特別にやさしくするという行為は、逆に子どもに対して「自分は特別で異常だ」と感じさせる可能性があります。同様に、特別に甘くすることで、問題解決の意欲を失わせることになりかねません。

子どもが普通に学校に戻れるようにするためには、通常通りの対応を心がけ、安心感を育むことが重要です。

【年代別】不登校への対応のポイント

ここでは、年代ごとに不登校の対応方法のポイントについて解説します。

中学生

文部科学省の調査によると、不登校の生徒数は中学生で最も多くなっています。これは、小学校から中学校への環境の変化や、新しい友人関係、科目や先生、テスト、部活動など様々な適応が必要となることが影響しています。さらに、人間関係の悩みや成績、進路の不安も関係しています。

中学生は思春期・反抗期も重なり、保護者が子どもの変化に戸惑うこともあるでしょう。小学校よりも子どもの様子が見えにくくなり、不安を感じる親も多いです。

この時期は、自立が進み自分の考えを持ち始めるため、保護者が過度に干渉すると逆効果となる場合もあります。本人の意見を尊重し、寄り添う姿勢が大切です。

子どもが「学校に行きたくない」と訴えたときは、休ませる選択も含めて気持ちを受けとめ、一緒に考えて支えていきましょう。

進路への影響を考えて出席日数に不安を覚える場合もありますが、フル出席にこだわらず、途中からの登校や保健室・別室登校、教育支援センターやフリースクールの利用など、多様な方法で学びの機会を確保することも選択肢です。

高校生

高校は義務教育ではないため、不登校が長引くと進級や卒業が困難になります。

私立か公立かで出席日数の扱いは異なりますが、欠席が多いと単位を落とすこともあり、早めの対応が重要です。ただし、無理に復学を目指さず、学校生活が負担であれば、他の道も検討しましょう。

学校復帰だけでなく、通信制高校への転校や高卒認定の取得など、多様な選択肢があります。今の学校に復帰する以外にも道があることを子どもに伝え、一緒に進路について話し合ってください。

また、高校生は進路や将来に不安を感じやすい時期です。子どもがやりたいことや目標に向けて何が必要か、一緒に考えてサポートすることも大切です。

小学生

低学年では、保護者と離れることへの不安から不登校になる子どもが多く見られます。

この場合、子どもが「ひとりでも大丈夫」「家族が味方」と安心できるよう日々のコミュニケーションを大切にしましょう。

また、集団生活に慣れずに疲れたり、自分の気持ちを言葉にできないこともあるので、気持ちを言語化するサポートも大切です。

中学年になると、学習や友だちとの違いが気になり始め、不安を感じやすい時期になります。子どもの成長に合わせた関わりを心がけてください。

高学年になると思春期に入り、人間関係や勉強の不安が増えます。不登校の理由はさまざまですが、親や学校のサポートで改善を目指せます。焦らず、子どもの安心感を積み重ねていくことが大切です。

【原因別】不登校への対応のポイント

不登校の原因はさまざまです。原因に応じた対応が求められます。

学校生活

学校生活での不登校の原因として、人間関係、学校のルール、勉強などが挙げられます。

これらの問題は単独で発生することもありますが、複雑に絡み合うことも多いため、状況に応じて丁寧に対応する必要があります。

例えば、人間関係に悩んでいる場合は、子どもの友人関係やクラスの雰囲気について理解し、適切な支援を提供することが重要です。

また、学校のルールや授業の進行について子どもがストレスを感じている場合は、学校と連携して柔軟な対応を考えることが求められます。

さらに、勉強に対する不安やプレッシャーが原因で不登校になることもあります。この場合、学校のカウンセラーや教師と協力し、無理のないペースで学習を進める方法を検討し、子どもの心の負担を軽減させることが大切です。

無気力・情緒不安定

不登校の原因には無気力や情緒不安定が含まれることがあります。

これらの状況では、原因がはっきりしないことが多く、親としては子どもをしっかり支える必要があります。

まず、子どもの気持ちに寄り添い、理解することが重要です。無気力や情緒不安定の背後には、さまざまな悩みやストレスが隠れているかもしれません。

子どもが感じている不安や不満を共有することで、心理的な負担を軽減する手助けになります。

また、専門家の助けを借りることも検討しましょう。カウンセラーや心理療法士は、子どもの内面を探り、適切なアプローチを提供することができます。

家庭内でも、親は冷静を保ち、子どもにとって安心できる環境を整えることが大切です。

遊びや非行

不登校の原因として遊びや非行が挙げられることがあります。この場合、子どもが学校や家庭で居場所がないと感じている可能性があります。

まず、子どもが何を感じているのかを理解することが重要です。無理に押さえつけようとすると、子どもは反発し、状況が悪化する可能性があります。

子どもが安心して話せる環境を作り、彼らの気持ちを尊重しながらコミュニケーションを図ることが大切です。

また、専門機関との協力が不可欠です。例えば、学校のカウンセラーやソーシャルワーカー、地域の教育支援センターなどの専門家と連携し、子どもに適切なサポートを提供することで、問題解決への道が見えてくることもあります。

さらに、親としては子どもに対して期待をもって接することが大切です。子どもが自分の存在を認められ、価値があると感じることで、学校に戻る意思を強めることが可能です。

意図的な登校拒否

意図的な登校拒否の原因として、子ども自身がやりたいことを持っている、または学校の授業が無駄に感じていることなどが挙げられます。

こういった場合、まずは子どもをひとりの大人として尊重し、考えをじっくりと聞くことが大切です。

子どもの意図的な登校拒否に対しては、強制的に指示するのではなく、対話を重視する姿勢が必要です。例えば、子どもがなぜ学校に行きたくないのか、その理由や感じていることを理解しようと努めることで、適切な対応策を見出す手助けになります。

また、子どもの興味や希望を尊重し、学校外での学びや活動を支援することも一つの方法です。学校での学びがずべてではありません。家庭や地域の施設を活用し、子どもの能力を伸ばすことも可能です。

不登校の相談先

不登校は家庭だけで対応するのは難しい場合が多いです。家庭と学校が協力しても解決の糸口が見えないときは、外部の相談窓口を利用することが有効です。

公的機関や民間団体など、さまざまな相談窓口がありますが、まずは、自治体が運営している教育支援センターに相談してみましょう。

教育相談員や心理・福祉の相談員、言語聴覚士・作業療法士といった専門療法士、医師などの専門家によるカウンセリングを受けられます。

幅広い対応が可能なので、初期段階の相談窓口としては最適でしょう。

基本的に費用はかからないため、無料で利用できます。また、電話やメールでの問い合わせも可能です。

不登校の相談先については、こちらの記事「学校に行きたくないときの対処法とは?NG行動や相談先も紹介」も参考にしてください。

まとめ

不登校への対応は、とてもデリケートな問題です。

不登校の子どもを支援するためには、まず子どもの気持ちに寄り添い、無理なく安心できる環境を作ることが重要です。

学校と連携しつつ、専門家の力も借りて、子どもがより良い未来を築けるよう、継続的な支援を心掛けましょう。