不登校はわがままではない!わがままと感じるシーンや適切な対応を解説
公開日:2021年08月12日 更新日:2021年08月12日
子供が不登校になると、学校に行かないのはわがままだと感じる親もいるかもしれません。しかし、子供は不登校によってわがままになるわけではありません。不登校は、子供が自分自身を守るための手段なのです。 わがままに見える行動の理由を知ることで、親として適切な対応ができるようになります。今回はわがままだと捉えられるシーンを紹介し、不登校の子供に必要な対応を解説します。
親は子供の不登校をわがままと捉えがち
不登校の子供の行動は、親から見れば「わがままばかりだ」と感じやすいものです。不登校になり自室にこもるようになると昼夜逆転し、ゲームやインターネットなどに没頭する子供も多いでしょう。
親から見れば、子供は学校に行っていないうえに好き勝手をしていると感じる場合もあります。しかし子供は何らかの原因があって不登校となるケースがほとんど。
不登校となる原因は人それぞれで、自身の努力だけでは乗り越えられず、その結果として不登校になっている可能性が高いのです。親が子供の表面的な行動ばかりを見てしまうと、すべてがわがままと感じてしまい、それを指摘したり批判したりすればより学校への復帰が遠のくでしょう。
不登校の子供をわがままと感じるシーン
前述のとおり、不登校の子供が起こす行動は、親から見るとわがままと捉えてしまいがちです。そこで今回は、具体的な3つのシーンについて紹介します。
ゲームなどに熱中する
1つ目は「ゲームなどに熱中する」ことです。不登校になると自室にこもり、ゲームやインターネットなどに没頭する子供は多いでしょう。
この状態が毎日続くと、親はやめるように忠告したり、場合によっては叱りつけたりしがちです。しかし子供は、自身が楽しむためにゲームをし続けているわけではありません。
不登校になった子供は「自分は学校にも行けない何もできない人間だ」といったマイナス思考に陥りがちです。自分への自信や物事へのやる気を失い、そのつらい状況から逃れるために、ゲームやインターネットなどに没頭している可能性が高いと言えます。
ゲームばかりするのは、子供が自分自身を守るための手段であると親は認識するべきでしょう。
規則正しい生活を送らない
わがままと感じる2つ目のシーンは「規則正しい生活を送らない」ことです。不登校になると昼夜逆転したり、朝起きられなくなったりと生活リズムも乱れやすくなります。
乱れた生活を過ごす子供を見て、わがままだと感じる親も多いでしょう。ただしこの場合も、子供は好きで乱れた生活をしているわけではありません。
乱れた生活を立て直そうと考えてはいるものの、解決できず悩んでいるかもしれません。また、朝起きられない自分に「同級生は朝起きて学校に行くのになぜ自分はできないんだ」といった劣等感を持っているとも考えられます。
その気持ちを考えずに批判すれば、さらに子供はやる気を失い、悪循環に陥る場合もあるでしょう。
約束したことを守らない
子供が「約束したことを守らない」と、親はわがままだと感じてしまうかもしれません。子供は言うことがコロコロ変わったり、時には噓をついたりすることがあります。
親は子供の言葉を信じている分、子供が言ったことを守れないとわがままだと思いがちです。不登校の子供はさまざまな願望はあるものの、行動する力を持っていない状態であり、どうしてもあと一歩の行動に踏み出せません。
例えば「明日は学校に行く」と子供が言ったとしても、当日になるとどうしても体が動かない場合もあります。子供自身もそれをどう解決したらよいのかがわからず、結果として言ったことを守れないという状況になるのです。
子供が不登校になりやすい親の5つの特徴
不登校になるのは子供だけに原因があるのではなく、一番身近な親に原因がある場合もあります。ここでは子供が不登校になりやすい親の5つの特徴についてみていきましょう。
1.叱るべきときに叱らない
1つ目の特徴は「叱るべきときに叱らない」ことです。子供が何をしても叱らない親によって育てられた子供は、プライドが高くなる傾向にあります。
プライドが高いと学校で受けた批判や指摘によって傷つき、それが原因となって不登校に陥りやすいのです。親は、子供が悪いことをしたときには愛を持って叱らなければなりません。叱ることは悪いことではなく、子供の健全な成長のために必要な行為なのです。
2.子供に対して過干渉
2つ目の特徴は「子供に対して過干渉」であることです。子供が困難に出会ったときに先に解決してしまう親がこれにあたります。
親が手を差し伸べすぎると、子供は困難に立ち向かうための考える力を失います。その結果問題を抱えたときに一人で抱え込んでしまい、不登校につながることがあるのです。
親は子供に何でもしてあげるのではなく、自分で考える力を身につけられるように見守る姿勢を持ちましょう。困難に立ち向かえる子供は、自立し、たくましく育ちます。
3.感情的に怒る
3つ目の特徴は「感情的に怒る」ことです。子供に対し、自分の感情のままに怒ってしまう親もいるでしょう。
親から感情のままに怒られ続けた子供は「なんで自分はこんなにダメなんだ」と自己肯定感を持てなくなってしまい、自分自身を認められなくなるのです。自己肯定感が低い子供は学校でも自分のやることに自信が持てず、不登校につながる可能性があります。
子供の自己肯定感を上げるには、親が褒める回数を意識的に増やさなければなりません。どんなに小さなことでも、子供は親から褒められることで自分に自信を持てるようになります。
4.ルールを設けすぎる
4つ目の特徴は「ルールを設けすぎる」ことです。どんなことに対してもルールを設ける親は「宿題をやったらゲームができる」「テストで100点を取れたら漫画を買ってあげる」といった条件をつけます。
このルールを多用すると子供はルールのないことにやる気を持てなくなり、勉強などへの意欲が下がって不登校になる場合があるのです。ときにルールも必要ですが、多用するのは控えましょう。
子供が自らモチベーションを保てるような、ここぞというときに限ったルールや条件提示は有効です。
5.そもそも子供に興味がない
5つ目の特徴は「そもそも子供に興味がない」ことです。子供の様子に関心が薄い親に育てられた子供は、親からの愛情を感じられず「自分なんかどうでもいいんだ」と、自己肯定感を持てなくなってしまいます。
先ほどと同様に、自分に自信を持てなくなれば、不登校にもつながりかねません。親は意識的に子供とコミュニケーションをとり「あなたと話したい」というメッセージを伝えることが大切です。
このように、子供が不登校に陥りやすい親には特徴があります。紹介した特徴に自分が当てはまるときは、子供との接し方を見直してみると良いでしょう。
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不登校の子供に対する親の適切な対応
子供が不登校になったとき、親には適切な対応が求められます。親は子供を無理やり変えようとするのではなく、自身の行動をまずは見直しましょう。
親の行動が変われば、子供もそれを察知して行動を変化させる可能性があります。ここでは親の適切な対応における6つのポイントを紹介します。
1.子供の言動を積極的に褒める
1つ目は、子供の言動を積極的に褒めることです。子供の適切な行動に対して、具体的にどこが良かったのか褒めるようにします。
先ほど述べたように、不登校の子供は自己肯定感を持てなくなっている可能性が高いです。自己肯定感の低さによって失った自信を取り戻すためも、親が小さなことでも褒める必要があります。
例えば、いつもより早く起きられたときには「今日は早起きできて偉いね」と声をかけてみてください。できる限り具体的な行動に焦点を当てて褒めることで「これができた自分は偉いんだ」と子供は自信を持てます。
またどのような行動が正しいのか、自分自身で判断できるようにもなるでしょう。悩みを自分から親に相談できるようになるかもしれません。
子供が何に悩み、どんなことを考えているかを知るにはコミュニケーションが不可欠です。そのためにも子供に対してまずは親から積極的に子供に関わるようにしましょう。
2.正しい親子関係を保つ
2つ目の対応は正しい親子関係を保つことです。親としての立場を守りながらも、子供と適切な関係を築く必要があります。
親の立場が弱く、子供のいいなりになってしまうと、子供はすべてが自分の思い通りになると考えてしまいます。
そのような環境で育った子供は、学校で嫌なことがあったり、自分の思い通りにいかないことがあったりすると納得ができず、不登校につながる場合もあるのです。子供がわがままにならないようにするためにも、親子の立場は逆転させず、正しい関係性を保つようにしましょう。
3.改善を焦らない
3つ目の対応は改善を焦らないことです。親は子供に対して過度な期待をしたり、結果を焦ったりしてはいけません。親から見れば、不登校の子供は自分の好きなことばかりしているようにも見えます。
その子供の様子から「これだけ好きに遊んでいるのなら、学校にも行けてしまうのではないか」と勝手な期待をしてしまいがちです。また子供が学校に行けない状況が続けば、期待を裏切られたと感じ、親は勝手に失望してしまうこともあります。
不登校からの回復や生活習慣の改善には、長い時間がかかります。子どものペースを見守るためにも、勝手な期待や焦りは持たないように意識しましょう。
4.家庭を子供にとって安心できる場にする
4つ目の適切な対応は家庭を子供にとって安心できる場にすることです。子供にとって家庭が安心できない場所だと、親に対して悩みなどを相談できません。
家庭が自身の安心できる場となれば、つらい体験や苦しい状況があったとしても、親との会話を通じて自身で立ち直ることができます。不登校からの回復において、家庭が果たす役割は大きいです。
自分の悩みや想いを吐き出せる場所として、子供の安心できる環境づくりを意識してみてください。
5.親自身の生活を充実させる
5つ目の対応は親自身の生活を充実させることです。子供が安心して過ごすには、まずは親が日常を楽しんでいなければなりません。
子供が不登校になると親は子供の様子がいつも気になり、つきっきりになることがあります。また、子供の行動ばかりに目がいくと、心配からいつも気が張り詰めた状態にもなりかねません。その状態が子供にも伝わり、家庭内を緊張した雰囲気にしてしまうのです。
親自身の心や生活が充実すれば自然と気持ちに余裕が生まれます。また、子供に対してもおおらかに見守ることができるでしょう。
親が生活を楽しんでいると、それを見た子供は「自分も親のように楽しく過ごしたい」と感じ、自身の目標としてくれるかもしれません。親の生活の充実は子供の回復に直結することを認識しておきましょう。
6.第三者の支援を活用する
6つ目の対応は第三者の支援を活用することです。親は自分一人で何とかしようとせず、第三者である専門家の力を活用するべきでしょう。
不登校からの回復には時間がかかり、簡単には解決しない問題です。しかし第三者である専門家の的確なアドバイスによって、親だけでは思いつかなかったようなアイデアが出ることもあり、解決の糸口につながるかもしれません。
不登校についての相談先には、次のようなものがあります。
■不登校についての相談先
- 学校
- 自治体の相談窓口
- 支援団体(民間)
- フリースクール
- 児童精神科
- スクールカウンセラー
このように、親が子供に対して適切な対応をすると、不登校から回復することができたり、不登校の予防になったりします。まずは親ができることから取り入れていくとよいでしょう。
不登校を「わがまま」で片付けてはいけない
不登校の子供にみられる行動は、親からすれば望まないものではないかもしれません。しかしその行動を「わがまま」と決めつけてしまえば、解決への道は遠のくばかりです。子供自身も「これからどうしていけばいいのか」「こんな自分は嫌だけど、変われない」と悩んでいます。
まずは親が子供の行動の理由を深く理解し、支えてあげてください。そして子供が失敗したとしても「一緒に進んでいく」という姿勢を親が見せることで、安心して回復に向けて進めるようになるのです。親の支えが子供が自ら一歩進むための大きな力となるでしょう。
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