不登校の子供の母親は仕事を辞めるべき?辞めないメリットと方法

子供が不登校になると、保護者は心配のあまり日常生活に支障をきたすことがあります。お腹を痛めた母親ならそれはなおのこと、仕事が手につかず「子供のそばにいてあげたい」と思いながらも、生活がかかっているので簡単に辞めるわけにはいきません。 不登校の子供の母親は、仕事を辞めるべきなのでしょうか。この記事は、こんなとき母親が仕事を辞めないメリットと方法について解説します。

不登校は仕事を辞めると必ず改善できる?

悩む母親

母親が仕事を辞める最も大きな理由はおそらく「子供に寄り添い、不登校を改善したい」ことでしょう。しかし、母親がずっとそばにいることは本当に改善につながるのでしょうか。まずは不登校とは、不登校の改善とは何かということから考えてみましょう。

不登校の理由は人それぞれ

子供が不登校になるには理由があります。しかし、子供はそれを大人にうまく説明できずに悩み、結果として引きこもったり黙り込んだりしてしまいがちです。理由や悩みの程度は一人ひとり異なり、どうして欲しいという子供の気持ちもそれぞれまったく違います。

「母親に全部話を聞いてほしい」と思っているかもしれませんが、「ひとりにしておいてほしい」と思っているかもしれません。母親が仕事を辞めいつも子供のそばにいることが、必ず不登校の改善につながるとはいえないのです。

仕事を辞めることがベストとは限らない

また、たとえ言葉で伝えていなくても、自分が不登校になった後で母親が仕事を辞めたと知ったら、子供が「自分のせいだ」と思う可能性に配慮することも重要です。そう思ってしまえば、母親が仕事を辞めることが子供の悩みが1つ増えることにつながり、改善から遠ざかってしまう可能性があります。

よかれと思って仕事を辞めたことが、かえって子供の悩みを深くしてしまうこともあるのです。

まずは子供のことを知ることから始めよう

この場合、母親が仕事を辞めようと思うそもそもの理由は、子供の不登校を改善したい、不安や悩みを軽くしたいという気持ちです。そのためにまずは、子供の今の状態や気持ち、悩みや不安の原因を知ろうと思うことから始めてみましょう。

はじめはなかなかうまくコミュニケーションが取れないかもしれません。それでも、子供を不安にさせたり悩ませたりしないよう配慮し、適度に時間を空けて話しかければ、少なくとも「放っておかれている」とは感じないはずです。

「仕事先の〇〇さんの犬が子供を産んだ」「〇〇というお店のパンがおいしいらしい」といった他愛もない話題で構いません。いつも通りのお母さんであることを確認できれば、それだけ気持ちも軽く、明るくなるでしょう。

母親が仕事を辞めるとどうなる?

悩む母親

では母親が仕事を辞めることを、少し深く考えてみましょう。おそらく真っ先に家計への経済的影響が思い浮かぶでしょうが、実は子供との関わり方に影響する可能性もあります。

家計が経済的に苦しくなる

たとえフルタイムではなくても、母親が仕事を辞めれば間違いなく世帯全体の収入は下がります。経済的な余裕があるのなら仕事を辞めることも選択肢の1つですが、多くの場合経済的に苦しくなり、子供の将来の学費だけでなく生活様式そのものに影響が及ぶはずです。

生活できなくなれば、子供の命にも関わります。もし仕事を辞めるのなら、現実的に生活できることを厳しめに見て確認しておきましょう。

母親自身の社会的交流が減る

母親が仕事を持っているということは、仕事を通して家庭とは別の社会に属しているということです。上司や顧客から責められたり、厳しい目標や時間に追われたりするのは大変ですが、そこに「属している」こと、人間関係における「支え合っている」ことは、母親自身の大切なアイデンティティーのひとつといえます。

仕事をやめれば当たり前だった同僚とのとりとめのない世間話や子供の話といった、ストレス発散の手段や貴重な情報源を失うことになるはずです。このような社会的交流を失うことは、ごく一部かもしれませんが間違いなく生活に影響します。

母親自身の気持ちの余裕がなくなることも

これまで仕事を頑張ってきた母親ほど、母親自身のアイデンティティーの大きな部分を仕事が占めているでしょう。仕事を辞めれば、確かにこれまで割いてきた仕事の時間を子供と過ごすことに使うことができますが、それによって失われた自身のアイデンティティーと経済的な厳しさを補う必要があります。

もしうまく補えなければ、母親が自身の心のバランスを失い、子供にうまく寄り添う気持ちの余裕をなくし、子供をかえって不安にさせてしまうかもしれません。子供は母親の気持ちの変化には特に敏感で、不登校の改善には欠かせない要素です。

もし仕事を辞めることが自身を追い詰めてしまうことになるなら、子供だけでなく家庭全体においてもおすすめできない方法だといえるでしょう。

母親が仕事を辞めると子供はどう感じる?

子供

母親が仕事を辞めることは、子供の気持ちにも少なからず影響するはずです。不登校の改善には、子供の不安や悩みの解消が欠かせません。もし辞めるとすれば、その影響についてもしっかり考慮する必要があるでしょう。

「申し訳ない」気持ちから悩みが増える

不登校の子供の経験談には、母親が仕事を辞めたときに感じたこととしては確かに「自分のことを思ってくれている」「1人でいると寂しいから家にいるのはうれしい」といったポジティブな気持ちもあります。しかし、一方で「自分のせいで無理をさせている」「お母さんらしくなくしてしまった」といったネガティブな気持ちもあるようです。

これはうれしい反面、申し訳ないという罪悪感が入り混じった複雑な状態です。そもそも不登校の原因が漠然としており、学校に行きたくない気持ちも抑えられず、さらにこのような複雑な気持ちが加われば、悩みも焦りも増えてしまいかねません。

「信用されていない」と感じることも

仕事を辞めると、「子供を家にひとりにさせたくない」という母親の気持ちを子供が、「自分は家にひとりで置いておけないと思われている」と曲解し、「信用されていない」と不信感を抱かれることがあります。

こういった事態は主に「子供とのコミュニケーションが取れていない」ことが原因です。不登校を改善するためと考えるなら、母親は仕事を辞める前に子供としっかり話し合う必要があります。

母親が仕事を辞めないで済む方法を探す

母親

では、母親が仕事を辞めないで不登校を改善するには、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、母親の仕事に関する方法と、子供の不登校を改善するための方法について考えてみましょう。

勤務時間の変更がしやすい部署に異動する

もし今の仕事がフルタイムであれば、より勤務時間が短い部署に異動するのは有効です。あわせて収入が下がる可能性があるかもしれませんが、辞めてゼロになるよりずっと安心できます。新しい部署での人間関係作りや業務の習得は大変ですが、ある程度収入と子供への気持ちのバランスは取りやすくなるでしょう。

また子供が急に「〇〇に行ってみたい」と急にやる気を出したとき、一緒に行動できるよう勤務時間の融通が利きやすい仕事に就くのもよい方法です。最近話題になっている在宅ワークなら、子供に仕事中の母親の姿を見せるいい機会にもなるでしょう。

子供の第三の居場所を見つける

子供が家と学校以外の、第三の居場所を見つけて行くことになれば、母親は以前より安心して仕事に打ち込めるようになるはずです。最近は大学や公的機関が運営するフリースクールや適応指導教室が増え、一緒に食事したり趣味の話をしたり子供が安心できる居場所もたくさんあります。

もちろん実際に行くのは子供ですから、子供が自分で「行きたい」と思える居場所であることが前提です。とはいえそんな第三の居場所を見つけることができれば、母親は今まで通り仕事をしても、子供への心配は少なくなるでしょう。

不登校でも母親が仕事を辞めない方法とは

家族

子供が不登校になれば、保護者は仕事が手につかなくなるのも仕方ありません。何か子供にできることはないかと感じ、特に母親は仕事を辞めてでも子供のそばにいてあげたいという気持ちは強いでしょう。

しかし、それが必ずしも不登校の改善につながるわけではないことは、きちんと理解しておく必要があります。 母親が仕事を辞めることが、かえって子供にプレッシャーを与えてしまったり、母親自身の気持ちに余裕がなくなったりすれば、不登校だけでなく親子関係が悪化してしまう可能性さえあります。

大切なのは、根気よく子供とコミュニケーションを取り、お互いに協力して改善に近づくことです。 仕事を勤務時間の都合がつきやすい部署や職種に変えたり、新しい子供の居場所を見つけたりすれば、母親も仕事を続けることはできます。親子で互いに思いやりながら、子供の進みたい道を焦らずじっくり探していきましょう。