不登校の中学生には何をさせる?時期別の過ごし方や家以外の選択肢
公開日:2021年09月13日 更新日:2025年07月01日
中学生の子どもが不登校になったとき、「家で何をさせる?」「自宅以外で何をしている?」と気になる人もいるのではないでしょうか。 文部科学省の調査によると、「インターネット・ゲーム・動画視聴など」が8割以上にのぼりました。 この記事では、不登校中の中学生の適切な家での過ごし方や、自宅以外の選択肢について紹介します。
不登校の中学生は何をしている?
不登校の中学生は、日中どのように過ごしているのでしょうか。
文部科学省の調査によると、「学校を休んでいる間の過ごし方」として、自宅・自宅外問わず「学習をよくしていた」と回答した人は10%未満でした。
一方、「インターネット・ゲーム・動画視聴などをよくしていた」と回答した子どもは67.4%にのぼりました。
出典:文部科学省「不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書」を元に作成
不登校の中学生は、勉強をしなくなり、インターネットやゲームなどをして過ごすことが多いという傾向があるようです。
不登校の中学生が気をつけたほうがよいこと
同調査では、保護者から見た「欠席時の子どもの状況」についても調査しています。その結果、特に多かったものは以下の通りです。同調査では、保護者から
- 極度に落ち込んだり悩んだりしていた:5%
- 原因がはっきりしない腹痛、頭痛、発熱などがあった:9%
- インターネットやゲームを一日中していた:2%
- 昼夜逆転など生活リズムが大きく乱れた:3%
- 家から出なかったり他人との関わりを避けたりしていた:3%
(※数値は「よくあった」「ときどきあった」の合計)
不登校の状況は人によって異なるため一概には言えませんが、不登校になると、体調を崩したり、精神的に不安定になったりする傾向があるようです。
また、生活リズムが乱れたり、他人とのコミュニケーションを避けたりする傾向も見られます。
不登校の場合、心身の回復に努めるのが最優先ですが、「やることがない」「やる気がない」からと言って、ゲームやインターネットばかりやっている状況は好ましくありません。
規則正しい生活を送り、生活習慣・コミュニケーション・学習の土台をしっかりと作っておくほうがよいでしょう。
生活習慣(睡眠・食事・運動)
生活習慣の乱れは、精神的な不安を増長し、健康を害するリスクが高まります。不登校中であっても、規則正しい生活リズムを保つことは重要です。
まず、毎日同じ時間に起床し、一定のリズムを持った生活を心がけましょう。
食事の時間も一定にし、野菜、タンパク質、炭水化物をバランスよく摂ることを意識します。
さらに、適度な運動も取り入れることが大切です。ストレッチやウォーキングなど、簡単にできる運動を習慣にすることで、体力を維持し、心身ともに健康を保つことができます。
コミュニケーション
不登校の中学生にとって、家族や友人とのコミュニケーションは心の安定に欠かせない要素です。
特に家族との会話は重要です。日常的に子どもの話をしっかり聞く姿勢を持ちましょう。子どもが話しやすい環境を整えることが大切です。
子どもが他人と会いたくない場合、無理に友人と接する機会を作る必要はありませんが、メッセージや電話などを利用して、気が向いたときに友人と連絡を取れるようにしておくと良いでしょう。
学習
前述の調査によると、不登校の中学生の多くが、ほとんど学習をしていないことがわかりました。
しかし、学習が遅れてしまうと、ますます学校に復帰しずらいと感じてしまうかもしれません。
一度失った学習習慣を取り戻すのは大変です。短時間でもよいので、毎日少しずつ学習する習慣をつけておくようにしましょう。
不登校中の学習方法については、「不登校中の勉強法は?子どもが勉強しない理由や対応を解説」を参考にしてください。
【時期別】不登校の中学生の過ごし方
時期ごとの不登校中学生の適切な過ごし方を紹介します。
初期:不登校が始まった時期
不登校が始まった初期段階では、子どもの心身のケアが最も重要です。
無理に学校へ行かせるのではなく、しっかりと休ませてあげてください。
この時期には、学校でのストレスを取り除くために休憩を与え、リラックスできる環境を整えることが大切です。
また、家庭内でのコミュニケーションを大切にし、子どもが自分の気持ちを話せるような場を作ることが求められます。
趣味や興味のある活動を通じて、少しずつ自信を取り戻せるようにサポートするのも効果的です。
生活リズムを乱さないよう、規則正しい生活を心がけてください。
中期:少し元気になってきた時期
不登校中期には、子どもが徐々に活動的になることが期待されます。
この時期には、学習や運動をする習慣を取り戻すようにしましょう。
学習面では、得意な教科や興味のある分野から始めることで、学習意欲を引き出しやすくなります。
運動面では、ストレッチや散歩など軽い運動から始め、体を動かす習慣をつけると良いでしょう。
また、家事の手伝いをしてもらうのも有効です。家の中で役割があることで、子どもが自信を取り戻すきっかけになります。
後期:元気を取り戻した時期
子どもが元気を取り戻して来たら、学校復帰に向けた準備を進めていくことになります。
学校と連携を取りながら、別室登校なども含めて慎重に話し合いを進めていきましょう。
ただし、必ずしも学校復帰が正解ではありません。
本人や取り巻く状況によっては、転校や支援機関の利用なども選択肢になります。
フリースクールや教育支援センターなどの支援機関に行くことで、「出席扱い」となる場合もあります。
学校や支援機関と相談しながら、子どもにとって最適な方法を選びましょう。
別室登校やフリースクールについては、こちらの記事も参考にしてください。
支援機関の利用実態と満足度
フリースクールや教育支援センターといった支援機関は、不登校の子どもをサポートする施設です。カウンセリングや教科指導なども行ってくれるだけでなく、同じように不登校の子どもたちとの交流も可能です。
子どもが不登校の場合、このような施設を利用することは、社会復帰に向けて有効な手段と言えます。
こうした支援機関は、実際にどのくらい利用されているのでしょうか。
■支援機関等の利用の有無
文部科学省の調査によると、「教育支援センター(適応指導教室)等の公的な支援機関」を「利用した」人は36.4%でした。「フリースクール等の民間施設」を「利用した」人は11.0%です。
こうした支援機関は全国各地にあるにもかかわらず、利用する人は少数派のようです。
一方、支援機関等の評価については以下の通りでした。
■支援機関等への対応の評価
教育支援センターもフリースクールも、「よかった」「どちらかといえばよかった」が8割を超える結果でした。
利用実態は少ないものの、利用した人の満足度は高いことが伺えます。
不登校の中学生に対する親の対応は?
中学生の子どもが不登校になった際、親としてはどのような対応を取ればよいのでしょうか。
「将来どうなってしまうのだろう」「勉強が遅れたらどうしよう」と不安になるかもしれませんが、まず、現実を受け止め、子どもに寄り添うことが重要です。
具体的には、以下のように対応するようにしてください。
- 学校を休んでよいと伝える
- 子どもが相談しやすい環境をつくる
- 子どものがんばりを認める
- 学習のサポートをする
また、子どもが不登校になった際、以下のような行動は避けるべきです。
- 学校に行かない理由を問い詰める
- 無理やり学校に行かせる
- 不登校になったことを否定する
- 親の不安を子どもにぶつける
- ほかの子と比較する
こうした行動は、子どもの心理状態を悪化させる可能性があります。
不登校の中学生に対する親の対応について、「中学生が不登校になる原因は?親の対応方法やNG行動を徹底解説」を参考にしてください。
よくある質問
不登校の中学生の保護者が抱えている、よくある質問に回答します。
Q.不登校中の家以外での過ごし方は?
A.フリースクール、教育支援センター、ボランティア、習い事、図書館、塾など、選択肢はさまざまです。
フリースクールや教育支援センターは、不登校生の居場所として有力な候補になりますが、ボランティアや習い事に参加して過ごすのもおすすめです。
学校以外のコミュニティでは、年齢もタイプも異なる人々に多く触れることになります。その中で「学校以外の広い世界」を感じたり、出会ったことのないような人の話を聞いたりといった今までにない刺激を受けることもあるはずです。
Q.中学で不登校だと学歴はどうなる?
A.中学で不登校になっても、留年することはありません。出席日数が少なくても卒業できるため、最終学歴は「中卒」になります。
その後、高校や大学に進学して卒業すれば、学歴は「高卒」「大卒」となります。中学で不登校だからといって、将来の選択肢が狭まることはありません。
まとめ
不登校の中学生の多くはインターネットやゲームをやっていることがわかりました。一方、不登校になると勉強をしないという傾向もあるようです。
しかし、不登校中でも、生活習慣やコミュニケーション、学習の土台はしっかりと作っておく必要があるでしょう。
教育支援機関なども利用しながら、子どもにとって適切な過ごし方を検討しましょう。
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