小学生で不登校になる原因は?親のNG対応や解決方法を解説!

小学生の不登校は、かつてないほど増加傾向にあります。文部科学省の令和5年度調査では、小・中学生あわせて34万6,482人が不登校に該当しており、過去最多となりました。とくに小学生の不登校割合は2.1%にのぼり、例えば学年に3クラスある学校なら学年に1人以上が不登校という計算になります。この記事では、不登校の現状や原因、親が注意すべき対応について解説します。

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不登校になった小学生の割合は?

文部科学省が2023年度(令和5年度)に実施した調査によると、小学生の不登校児童は合計13万370人で、全体の2.1%に当たります。この数字は、約47人に1人の割合となり、決して珍しい状況ではありません。

中学生にも目を向けると、不登校率は6.7%とさらに高く、クラスに2~3人の不登校児童がいるという現状です。

小学生と中学生における不登校の違い

中学生の不登校は、思春期の心の揺れや進路への不安など複合的要因によることが多いです。

一方で、小学生の場合は「学校の勉強についていけないこと」や「友人関係の未成熟さ」、さらには「生活リズムの乱れ」「発達障害の可能性」など、もっと直接的・基礎的な問題が影響している傾向が強いです。

特に低学年では、親から離れることへの不安(分離不安)も大きな要因となります。

小学生が不登校になる5つの原因

小学生の不登校の原因は、勉強の遅れ、いじめ、分離不安、生活の乱れ、発達障害や病気などが挙げられます。

学校の勉強についていけない

授業内容が理解できないと、「どうせできない」という、あきらめの気持ちが強くなり、登校自体が苦痛になります。

特に算数や国語などの基礎科目は、一度つまずくと次の単元にも影響が及びやすく、負のスパイラルに陥りやすい教科です。

また、授業スピードが早く感じたり、板書や計算の処理に時間がかかるタイプの子どもは、周囲との差を実感しやすく、自尊心の低下につながります。

こうした状況が続くと、授業中に教師に当てられるのを恐れて登校を拒否することもあります。

いじめや人間関係の悩み

友達どうしのちょっとしたトラブルや、からかいが、本人にとっては大きなストレスになることがあります。

特に小学生は交友関係が狭いため、1人でも苦手な子がいると、その影響が学校生活全体に及びやすい傾向があります。

いじめのような明確な加害行為がなくても、「仲間外れにされる」「遊びに誘われない」「陰口を言われる」などの経験が積み重なると、学校へ行きたくない気持ちが強まります。

友達関係のトラブルは家庭では気づきにくく、本人も話しづらい場合が多いのが特徴です。

親から離れることへの不安

低学年に多い「分離不安」は、学校という環境そのものよりも、「親と離れること」への強い不安が原因です。

新学期や進級など環境の変化時に起こりやすく、特に母親や父親と過ごす時間が長かった子や、家庭内で不安感を抱えやすい環境にある子に見られます。

朝の別れ際に泣き出す、登校前にお腹や頭が痛くなるなど、身体症状として現れることも少なくありません。

こうした場合、まずは安心感を与えつつ、短時間登校や付き添い登校から段階的に慣らす支援が必要です。

生活の乱れ・昼夜逆転

自宅での過ごし方が不登校につながることもあります。

夜遅くまでテレビや動画を観たり、ゲームをしたりしていると、生活リズムが崩れて朝起きられなくなります。その結果、遅刻や欠席が増え、登校しづらい状況になってしまいます。

生活リズムの乱れは、体調不良や集中力低下だけでなく、精神的な落ち込みにもつながります。

特に休みが続いた長期休暇明けや、風邪などで数日休んだあとにリズムを戻せず、そのまま不登校につながるケースもあります。

発達障害など病気の可能性

発達障害(ADHD、ASD、LDなど)や学習障害、不安障害、抑うつ状態などが背景にあることもあります。

例えばADHDの子は授業中にじっとしているのが難しかったり、ASDの子は人間関係のやりとりにストレスを感じやすかったりする傾向があります。

また、身体的な慢性疾患や感覚過敏がある場合も、学校生活に馴染みにくくなります。

こうしたケースは、本人や家庭だけでの対応が難しく、スクールカウンセラーや医療機関との連携が欠かせません。

不登校の小学生に対する親のNG対応

ここからは、不登校の子どもに対して絶対にしてはいけない親の対応を紹介します。知らず知らずのうちに行っていることもあるので、該当する項目がないか確認してみましょう。

無理やり学校に行かせる

不登校が長期化すると子どもの将来が不安になり、無理やり学校に行かせようとする親も少なくありません。子どものことを思っての行動ですが、実際は逆効果になることがほとんどです。

親に自分の悩みを打ち明けられていないだけで、子どもが不登校になる原因は必ずあります。まずはその原因を解明することが大切です。

不登校の子どもを責める

学校に行きたがらない子どもに対して、決して責めてはいけません。

特に小学生の時期は親から受ける影響が大きく、学校に行けない状況を強く責められると自己肯定感が低くなり余計に学校に行けなくなってしまいます。

不登校になった焦りや不安から感情的になる親も多いですが、子どもの気持ちに寄り添った対応が求められます。

子どもを避けて距離を置く

不登校になった子どもにどう接していいかわからず、距離を置く親も少なくありません。

不登校になると子どもの居場所は自宅となり、家中心の生活になるので、親から距離を置かれると自分の存在を無視されている気分になり、余計に殻に閉じこもってしまう子もいます。

不登校の問題に直面して困惑するのは仕方ありませんが、子どもと距離を置いても問題が解決することはありません。親子の信頼関係が崩れる原因にもなるため、距離を置くのはやめましょう。

今の学校への通学にこだわる

今通う学校への通学にこだわっていませんか? 子どもの中には、学校の先生や同級生との人間関係に悩んでいる子もいます。そんな状況で今の学校への通学を後押ししても不登校が改善されることはありません。

不登校を改善させるには、転校で環境を変えるなどさまざまな方法があります。今の学校への通学にこだわらずに、ほかの選択肢も検討してみましょう。

【学年別】小学生の不登校を解決する方法

学年ごとに異なる不登校の原因や解決方法について解説します。

低学年(1~2年生)

低学年の不登校は、「親と離れる不安」や「環境の変化に慣れないこと」が原因になることが多く、まずは安心感を与えることが最優先です。

短時間登校(1時間だけ教室に行く、給食だけ食べに行く)や保健室登校など、子どもが無理なく学校と関われる方法から始めます。

また、親が学校まで送り、下校時も迎えに行くなど安心を感じられる環境を整えると効果的です。

この時期は、学習よりも「学校は安全な場所」という感覚を取り戻すことが重要です。無理に授業に参加させるよりも、遊びや図書室など楽しい時間を優先するほうが改善は早い傾向にあります。

中学年(3~4年生)

中学年では、学習面や友人関係のトラブルが原因になりやすくなります。

授業についていけない場合は、家庭学習を通じて「できる」経験を積ませ、自己肯定感を回復させることが大切です。

また、友達関係の修復には、休み時間だけ一緒に遊ぶ、クラブ活動に参加するなど、負担の少ない接点作りから始めます。

親は「がんばれ」というよりも、「今日はここまでできたね!」と達成感を一緒に喜ぶ姿勢を持つことがポイントです。

さらに、担任やスクールカウンセラーと密に連携し、登校のハードルを少しずつ下げる計画を立てることが改善につながります。

高学年(5~6年生)

高学年では、中学進学や思春期の始まりなど、将来に関する不安や人間関係の複雑さが原因となることが多いです。

この時期は、子どもの意見を尊重しながら、学習面の遅れや進路への不安を一緒に整理していくことが必要です。

中学校での生活をイメージできるよう、学校見学や部活動体験、先輩との交流などを取り入れると効果的です。

また、長期欠席で学習が遅れている場合は、家庭教師やオンライン学習、フリースクールを利用して中学に備えることも選択肢となります。

高学年は「自主性」がカギになるため、親が一方的に方針を決めるのではなく、本人と一緒に復帰計画を立てることが信頼関係を保つポイントです。

まとめ

小学生の不登校原因は多面的で、学習、対人関係、生活習慣など複数の要因が絡んでいます。

親としては、無理やり学校に行かせたり、責めたりするのではなく、原因に寄り添い、安心できる環境作りと適切な支援を通じて、子どもの学校復帰を少しずつ促していくことが大切です。

学年ごとに適切なアプローチを行い、子どもが自信を取り戻すサポートを続けていきましょう。