不登校は転校によって解決する?メリット、デメリットについて解説
公開日:2021年07月15日 更新日:2021年07月15日
令和元年度の不登校生徒数は小中学生で約18万人、高校生で約5万人に達すると文部科学省は発表しています。このように、不登校は決して珍しいことではありません。 不登校の解決方法にはさまざまありますが、転校による解決は図れるのでしょうか。本記事では、不登校の解決方法として転校する注意点やメリット、デメリットについて紹介します。 現在子供が不登校で悩んでいる方は参考にしていただき、不登校を解決するきっかけになれば幸いです。
- 不登校を解消するには転校も選択肢の1つ
- 子供に転校をすすめる前に確認すべき4つのポイント
- 不登校の子供が転校する3つのメリット
- 不登校の子供が転校するデメリット
- 転校までに準備すべき3つのこと
- 実際に転校する際に必要な手続き
- 不登校を原因とする転校は周囲に相談しよう
不登校を解消するには転校も選択肢の1つ
不登校の解消を目的に転校することも選択肢の1つです。いじめや先生との相性などが不登校の原因になっている場合、その環境を変えることで不登校が解消できる可能性があります。
ただし不登校の原因が明確になっていない場合は、転校をしても不登校を解決できない可能性があります。そのため、不登校の原因がどこにあるのかしっかりと把握しておくことが大切です。
子供に転校をすすめる前に確認すべき4つのポイント
転校を子供にすすめる前には、本人の意思や不登校の原因など確認すべきポイントがあります。この項目では確認ポイントを4つ紹介します。
転校についての本人の意思を確認
不登校の原因が学校にあると親が勝手に思い込み、本人の意思を確認しないまま転校をさせることは決してしてはいけません。例えば集団行動が苦手で不登校になっている場合、転校しても根本的な解決にはならないからです。
また、周囲の期待に答えようと必要以上に負担をかけてしまう可能性もあります。不登校の原因は人それぞれ違うため、まずは本人の意思を確認することが先決です。すぐに答えを出せない場合は、急かさずに結論が出るまで待ってあげましょう。
転校が不登校の直接的な解決策になるか
前述のとおり、不登校の原因が学校とは異なる場合、転校は不登校の直接的な解決策にはなりません。不登校の原因がどこにあるのか本人と話し合い、しっかりと見極めることが大切です。
仮に本人が学校が原因だと断言している場合でも、自分では気付いていない別の原因が隠れているかもしれません。
転校以外の解決策はあるか
集団行動が苦手な場合、教室に行かずとも勉強をできる環境を整えることで、不登校を解消できる場合があります。1人で登校するのが怖いという場合、一緒に学校まで付き添うことのも有効です。
このように、転校以外の解決策はないかを検討することも重要です。最近ではフリースクールなども増えており、学校以外で学習できる環境も整っています。転校に限定せず、本人と向き合いながら最善の道を一緒に探すことが大切です。
転校しても学校に復帰できない可能性も
転校直後は環境の変化に対応できず、毎日は登校できない場合があります。環境の変化は必要以上に心身に負担をかけるものです。
本人のペースで登校させてあげることが、復帰への近道となります。ただし転校すれば必ずしも学校に復帰できるわけではないことも理解しておきましょう。
不登校の子供が転校する3つのメリット
不登校の子供が転校することでどのようなメリットを得られるのでしょうか。この項目では転校するメリットを3つ紹介します。
新たな気持ちで学校生活を再開できる
いじめが原因で不登校となった場合、転校をきっかけとして新たな気持ちで学校生活を再開できます。長期間にわたって不登校が続いていた場合、本人が学校復帰にためらっている場合もあるでしょう。このような場合は、子供が新しい環境で頑張りたいという意思がある場合には有効に働きます。
新たな出会いや学びが前向きな心を育む
転校すると新たな出会いがあるため、自分と相性の良い友達に出会える可能性があります。違う環境に飛び込んでみることで、新たな学びを得られるだけでなく、前向きな心を育むきっかけとなるでしょう。また、転校が人間性を成長させる1つのきっかけとなることもあります。
人間関係などの原因を切り離すことが可能
転校する最大のメリットは人間関係をリセットできる点です。不登校の原因が嫌がらせやいじめであった場合、転校によってそれらから強制的に切り離すことができます。
本人に登校したいという意思がある場合は、転校による人間関係のリセットが学校の復帰につながるでしょう。
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不登校の子供が転校するデメリット
不登校の子供が転校することのデメリットは、これまで仲良くしていた友達と離れてしまうことです。また転校先の勉強についていけないなども考えられます。
転校による環境変化に対応できず、かえって負担となるケースも少なくありません。このように不登校の子供が転校するにあたっては、メリットばかりではなくデメリットもあります。
特に環境の変化が苦手なタイプであると、上述の理由から転校しても不登校が解決できない可能性もあるでしょう。不登校の原因や子供の性格なども踏まえ、しっかりと検討するようにしてください。
転校までに準備すべき3つのこと
本人が自分の意思で転校したいと言った場合は具体的にどのような準備が必要なのでしょうか。この項目では転校までに準備すべきことを3つに分けて紹介します。転校までの準備がわからない方はぜひ参考にしてください。
転校先候補となる学校のリサーチ
転校によって改善を図ることが決まれば、転校先候補となる学校をピックアップしなければなりません。そしていくつかの候補がまとまれば、1校ずつどのような学校なのかをリサーチしましょう。
リサーチする点は次の通りです。
■転校先となる学校のリサーチ内容の例
- 学校の雰囲気
- 受け入れの姿勢
- 学校近隣の環境
上記はあくまで一例ですが「学校へは通える距離か」「同学年の生徒は何人くらいいるのか」など可能な範囲でリサーチしてください。また現在の自宅から通う場合は、通学ルートやアクセス方法も事前に確認しましょう。
転校後の生活に関するルールを決めておく
転校後の生活に備えて、さまざまなルールを決めておくことも大切です。決めるべきルールには次のようなものがあります。
■転校後の生活に関するルールの例
- 勉強に不安があれば授業についていけるよう自主学習を行う
- 不規則な生活であれば規則正しい生活に戻す
- 慣れるまでは親が一緒に登校する
これも一例ですが転校後に無理なく学校生活を送れるように、ルールを設けて少しずつ慣らしておきましょう。なかでも、規則正しい生活を送ることはとても重要です。転校前から普段の生活について課題がある場合は特に注意してください。
引越しに関する条件なども確認
転校の準備が一通り完了すれば、次は現在在籍している学校に転校の相談をします。転校に関する条件や手続きなども現在の学校にしっかりと確認することが大切です。
特に公立の小中学校の場合は学区の問題があります。学区外の学校に転校する場合、その学校の学区内に引越ししなければならないなどの制限があるからです。
ただし最近では、不登校が原因となる転校の場合、引越しをせずとも学区外に転校できる地域も増えています。地域によって条件が異なるため注意が必要です。また転校するタイミングについては、本人と何度も話し合うようにしましょう。
実際に転校する際に必要な手続き
実際に転校する際はどのような手続きが必要なのでしょうか。手続きの内容は学校や学年によってそれぞれ異なります。ここでは中学校と高校生のそれぞれについて見ていきましょう。
中学生が転校する場合
中学生が転校する場合の手続きは大きく分けて次の3種類です。
■中学生の転校手続きの種類
- 公立中学校から公立中学校への転校
- 私立中学校から公立中学校への転校
- 公立・私立中学校から私立中学校への転校
公立中学校から公立中学校への転校
公立中学校から公立中学校へ転校する場合は指定校変更の手続きを行います。他の市町村の学校へ転校する際には転校先の市町村の窓口での手続きが必要です。
地区によっては、保護者と本人が教育委員会の担当者と面談を要する場合もあるので覚えておきましょう。
私立中学校から公立中学校への転校
私立中学校から公立中学校へ転校する場合は現在在籍する私立中学で在学証明書を発行し、居住している市町村の学事課などで手続きを行います。
公立・私立中学校から私立中学校への転校
公立・私立中学校から私立中学校へ転校する場合は転入生の募集を行なっているかを確認します。募集があれば学校の転入試験を受け、合格する必要があるのです。
その際に願書や在学証明書、成績証明書などが必要となります。試験内容や面接の有無は学校によって異なるので事前に確認しましょう。
高校生が転校する場合
高校生が転校する場合は、転入試験を行う必要があります。手続き方法は私立中学へ転校する場合と基本的に同じです。
ただし不合格だった場合はもちろん転校はできません。現在在籍している高校によっては除籍扱いされる場合もあるためしっかりと確認してください。
また高校の場合は時期によって応募できる枠が限られている場合もあります。転校を希望する場合は確認しましょう。
不登校を原因とする転校は周囲に相談しよう
ここまで不登校の解決策として転校をするメリットやデメリット、確認すべきポイント、必要な手続きなどについて紹介しました。学校が不登校の原因である場合、転校によって解決する可能性は十分にあります。
しかし転校したからといって、確実に不登校が解消するとは限りません。よって登校できないことを責めたり、親の気持ちを押し付けたりしないことが大切です。
もし不登校が原因で転校を検討している場合は、家庭内で抱え込まず、学校や親戚、知り合いといった周囲の人に相談するようにしましょう。相談することで気持ちが軽くなり、新たなアイデアが生まれてくるかもしれません。
本記事の内容が少しでも役に立ち、お子さんの不登校が改善されることを願っております。