中学で不登校でも高校進学を諦めない!通信制高校という選択肢のメリットは?
公開日:2019年03月27日 更新日:2025年03月24日

不登校の中学生を持つ親にとって、「不登校だと高校進学ができないのではないか」という不安は大きいでしょう。しかし、中学校で不登校だからと言って高校に行けないということはありません。 中でも通信制高校は、全日制高校とは異なる学びの形態を提供しており、不登校経験がある生徒にとって学習しやすい環境が整っています。 この記事では、通信制高校の卒業要件や入学試験、メリットやおすすめの人について解説します。
- 不登校の中学生の進学先
- 不登校なら通信制高校という選択肢も
- 通信制高校の卒業要件
- 通信制高校の入学試験
- 通信制高校とサポート校の違い
- 通信制高校のメリット
- 通信制高校がおすすめの人
- 先輩たちが通信制高校への進学を決めた体験談
- よくある質問
- まとめ
不登校の中学生の進学先
「中学生で不登校だと高校に行けない」「高校進学できないかもしれない」という不安を抱えている人もいるかもしれませんが、不登校だからといって、進学先の選択肢が狭まるわけではありません。主に「全日制」「定時制」「通信制」の高校がありますが、条件を満たせばどの高校に進学することも可能です。
- 全日制高校:一般的な通学スタイルで、多くの生徒が通います。
- 定時制高校:昼や夜の授業が選べるため、自分の生活スタイルに合わせて学べる利点があります。特に働きながら学びたい生徒に適しています。
- 通信制高校:オンライン学習が中心で、出席日数の制約が少なく、自分のペースで学習が進められるため、不登校の生徒にも多く選ばれています。
いずれの選択肢も、サポート体制や学習方法が異なるため、生徒個人の状況に合わせて最適な進学先を選ぶことが重要です。
それぞれの進学先について、詳しくは『不登校の中学生の進路は?進学しやすい高校や進路を選ぶ際の注意点』を参考にしてください。
不登校なら通信制高校という選択肢も
数ある選択肢の中で、昨今、通信制高校を選ぶ人も増えています。
文部科学省の「令和6年度学校基本調査」によると、全国の通信制高校の数は303校にのぼり、年々増加傾向にあります。2025年4月には、新たに29校が開校します。新規開校数としては過去最高で、通信制高校の注目度の高さが伺えます。
また、生徒数も年々増加傾向にあります。2024年度の生徒数は29万87人で過去最高数を更新し、公立校では3年連続、私立校では28年連続で生徒数増となっています。
通信制高校は、学び方が柔軟で、オンラインで授業を受けることもできれば、登校して授業を受けることもできます。自分にあったスタイルで学習できるため、精神的なストレスを減らすことができるでしょう。
通信制高校に進学することで、不登校の経験があっても、新たな気持ちで、無理なく高校生活を送ることができるでしょう。
通信制高校の卒業要件
通信制高校を卒業することで、高卒資格を取得することができます。卒業に必要な要件は、以下の通りです。
- 3年間以上の在籍
- 74単位以上の取得
- 30単位時間以上の特別活動への参加
単位取得方法
通信制高校で単位を取得するためには、主に以下の3つが必要になります。
- レポートの提出
- スクーリングへの参加
- 単位認定試験での合格
まず、レポートの提出が必要です。科目ごとに定期的にレポートを提出し、評価を受けることになります。
次に、スクーリング(面談指導)を受ける必要があります。決められた日に、学校や指定の場所で教師から面接指導を受けます。スクーリングの日数や頻度は学校によって異なります。
さらに、テストを受けて合格することで、単位を取得することができます。単位認定試験の回数は学校によって異なりますが、一般的に年に1~2回程度実施されます。
通信制高校の卒業要件や単位取得について、詳しくは『通信制高校の卒業まで何年かかる?卒業要件と進路も詳しく解説!』も参考にしてください。
通信制高校の入学試験
通信制高校も、全日制高校と同様に入学試験が実施されます。しかし、通信制高校の入学試験は、生徒に勉強する意思があるかどうかを見るために行う場合がほとんどです。
通信制高校の入学試験は面接や作文が中心で、学科試験が実施されることはまれです。実施されたとしても、難易度は低く、生徒の現在の学力を見るために実施される場合がほとんどです。
通信制高校の入試について、詳しくは『通信制高校にも受験はあるのか?受験内容や難易度について解説』も参考にしてください。
通信制高校とサポート校の違い
サポート校は正式な高校ではなく、通信制高校に通う生徒を支援する教育機関です。
サポート校では、通信制高校のカリキュラムに沿った学習支援や、勉強の進捗管理、メンタルサポートなどを提供しています。
サポート校に通うことで通信制高校だけでは得られないサポートを受けることができるため、不登校の経験がある生徒が高校生活を送る上で、安心感が高まるでしょう。
ただし、学校ではないため、サポート校だけでは高卒資格を取得することはできません。
サポート校について、詳しくは『サポート校とは?通信制高校との違いや利用の判断基準』も参考にしてください。
通信制高校のメリット
自分の学習スタイルや生活リズムに合わせて学べる通信制高校は、個々のニーズに柔軟に対応できる選択肢と言えます。
不登校の経験がある生徒にとっては、次の3点は特にメリットと感じられるでしょう。
- 登校・通学形態を選べる
- 自分のペースで学べる
- 人間関係のストレスが少ない
登校・通学形態を選べる
通信制高校の大きな魅力のひとつに、登校や通学の形態を自由に選べる点があります。全日制高校のように毎日通学しなければならないわけではなく、多くの場合、自宅での学習が中心となります。
自宅からオンラインで授業を受けるか、登校して直接授業を受けるかを選ぶことができ、個々の性格に合わせた学習が可能です。通信制高校では、スクーリングを除けば、登校なしでも単位を取得することができるため、登校することに抵抗のある生徒にとって大きな安心材料となります。
自分のペースで学べる
自分のペースで学習を進められるのも大きな利点です。自宅学習が中心のため、体調が優れない日や気分が乗らない日にも、無理をせずに自分のペースで学習を進められます。
また、学習内容を自分の理解度に合わせて進めることができるため、得意な科目は前に進め、苦手な科目はゆっくり学習することが可能です。こうした柔軟性は、不登校経験があり、授業についていけるか心配という生徒にとってメリットとなるでしょう。
人間関係のストレスが少ない
学校内での人間関係のストレスが少ないことも、不登校経験者にとっては重要なポイントです。
通信制高校では、通学の機会が少なく、クラスメイトや先生との交流が必要な頻度が少ないため、対人関係のストレスを抱えにくいです。
人間関係が原因で不登校になったことがある生徒にとっては、大きなメリットと言えるでしょう。
なお、当サイトが、通信制高校に通う子どもの親を対象に実施したアンケートによると、「通信制高校が全日制と比べて魅力的だと感じた点」については、以下のような結果となりました。
出典:株式会社ウェブクルー「親の学校体験と通信制高校選択に関する実態調査」(以下同)
「自分のペースで学習できる」(53.7%)が最も多く、「通学日数を抑えられる(通学負担が少ない)」(39.7%)、「部活動・趣味・習い事・アルバイトなど、学業以外の活動と両立しやすい」(26.0%)と続きました。
また、「通信制高校への進学によって、子どもに生じた変化」については、以下のような結果でした。

「ストレスが軽減され、精神的に安定した」(32.8%)が最も多く、「学校に行けるようになった」(26.8%)、「気の合う友達ができた」(17.8%)と続きました。
通信制高校がおすすめの人
通信制高校は、自分のペースで学びたい人や、人間関係の悩みを持っている人に特に向いています。また、特定の分野に集中して学びたい生徒にもおすすめです。
人間関係に悩みを抱えている人
人間関係の悩みは不登校の原因のひとつとしてよく挙げられます。通信制高校は、このような悩みを抱える生徒にとって安心して学べる環境を提供しています。
全日制高校と比べて登校頻度が少ないため、人との交流の機会が少なくなり、人間関係のストレスを抱えにくくなります。
人間関係のストレスを軽減することで、学習に集中しやすくなり、自身のペースで学びを深めることが可能です。
学校に通うのに不安がある人
学校に通うことに不安がある人にとって、通信制高校は安心できる選択肢です。スクーリングを除けば、自宅学習が基本となります。
そのため、無理して登校する必要はなく、体調や精神状態に合わせて、自分のペースで学習を進めることができます。
特定の分野を集中して学びたい人
通信制高校は、専門コースを用意している学校も多いです。
学校によって、芸能、スポーツ、ゲーム、アニメ、ファッション、美容、調理、保育、プログラミングなど、さまざまな分野の専門コースがあります。
実践的なカリキュラムを提供している学校もあり、「自分の好きなことを学びたい」「将来なりたい職業がある」という人にとって、魅力的な選択肢となります。
先輩たちが通信制高校への進学を決めた体験談
ここでは、不登校から通信制高校への進学や転校を決めた先輩たちの体験談を紹介します。
きっちさん(N高等学校・S高等学校)
5年間不登校だったため全日制に通える自信がなく、通信制を検討。説明会で学習カリキュラムやサポート体制に安心感を持ったため入学したところ、学習・趣味・部活に積極的になりました。今では大学進学も視野に入れるほどモチベーションが高まり、自分らしい高校生活を送れています。
ろしらいさん(おおぞら高校)
中学時代からの引きこもりを改善するために通信制を選び、毎日通学できるように。事前に通学日数やコースなどを納得いくまで相談できたおかげで、本人と学校側とのミスマッチがなく、基礎学習もしっかり進めることができています。
めんたいこさん(第一学院高等学校)
全日制の進学校では朝から夕方までぎっしり課題に追われる日々。体調を崩して登校できなくなったことから、通信制高校への転入を決意。通信制高校のイメージは昔と違い、通学してグループワークをしたり行事がたくさんあったりと、体調とバランスを取りながらも全日制高校のように友達と高校生活を送ることが出来ると知りました。
よくある質問
通信制高校について、保護者や生徒からよく寄せられる質問に回答します。
Q.通信制高校から大学に行ける?
A.通信制高校でも高校卒業資格を得ることができるため、大学への進学が可能です。
中には、大学進学を想定したカリキュラムを用意している学校や、難関大学の合格実績がある学校もあります。
詳しくは、『通信制高校から大学進学は不利?おすすめの通信制高校5選も紹介』も参考にしてください。
Q.通信制高校だと就職に影響ある?
A.通信制高校だからといって就職で不利になることはありません。
通信制高校は、学習面や生活面の管理を自分で行う必要があります。そのため、通信制高校で学び、卒業したという経験は、自己管理能力や自立性のアピールにつながります。
また、通信制高校の専門コースの場合、実践的なカリキュラムで学ぶことができるため、就職に有利に働く可能性もあります。
詳しくは、『通信制高校は就職に不利?現在の就職事情と就職におすすめの通信制高校5選』も参考にしてください。
Q.通信制高校で友達はできる?
A.通信制高校でも友達を作ることは可能です。
通信制高校では、登校日やスクーリング、クラブ活動などで他の生徒と交流する機会があります。
これらの活動を通じて、共通の趣味や興味を持つ友人を見つけることができるため、新しい人間関係を築くことができます。
Q.通信制高校は登校しなくてもいい?
A.通信制高校では、登校しなくても単位取得が可能です。だたし、スクーリング(面接指導)は必ず出席が必要となります。
スクーリングの頻度は学校によって異なるため、スクーリングの少ない学校を選べば、ほとんど登校することなく高校を卒業することも可能です。
まとめ
不登校からの高校進学において、通信制高校は有力な選択肢です。
通信制高校では登校する頻度を選択でき、自分のペースで学べるため、精神的な負担が少なく、人間関係のストレスを軽減できます。
また、学習面だけでなく生活面のサポートも充実しているため、不登校経験があっても、安心して高校生活を送ることができるでしょう。
なお、下の記事では、不登校のサポートが手厚い通信制高校について紹介しています。参考にしてください。
■アンケート調査概要
- 親の学校体験と通信制高校選択に関する実態調査
- 調査実施会社:株式会社ウェブクルー
- 調査期間:2025年2月6日(木)~2025年2月12日(水)
- 調査方法:インターネット調査
- 調査人数:1,027人