中学生が学校に行きたくない5つの理由や親がとるべき対処法まで解説

学校に行きたくないと悩む中学生をもつ保護者の中には「このまま不登校になってしまうのではないか」「将来に影響するのではないか」と不安を抱える人もいるでしょう。 しかし、中学生が学校に行きたくないと思う背景には、学業の悩みや人間関係の不安などさまざまな理由があります。そのため、子どもの意思を尊重して慎重に解決策を見つけることが大切です。 この記事では、中学生が学校に行きたくないと感じる理由やその対処法、避けるべき行動まで解説しているので、ぜひ参考にしてください。

中学生が学校に行きたくない5つの理由

学校に行きたくないと考える中学生は、年々増えています。文部科学省「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、中学生の不登校児童生徒数は、21万6,112人です。

また、中学生の不登校者は平成26年から10年連続で増加しており、令和5年では過去最多の人数となっています。

同調査によると、中学生が不登校になる主な理由は下表の通りでした。

中学生の主な不登校理由 割合
いじめ 1.0%
いじめを除く友人関係 14.4%
教員との関係 2.1%
学業不振 15.5%
生活リズムの悩み 22.1%
学校のきまり 2.0%
転編入学、進級などの新しい環境への適応 4.5%
家庭環境の変化 5.9%
親子の関わり 9.6%
その他 22.9%

出典:文部科学省「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」をもとに作成

ここでは、中学生が学校に行きたくないと感じる、以下の理由について解説します。

  • 人間関係に悩みがある
  • 授業についていけない
  • 生活リズムが整えられない
  • 学校の環境に適応できない
  • 家庭環境に悩みがある

人間関係に悩みがある

友達との関係が構築できていないと、学校に行くことがストレスになってしまうでしょう。

また、友人だけでなく、担任や教科担当の先生との信頼関係も重要です。担任との相性が悪かったり、教員に対して恐怖心を抱いていたりすると、学校生活におけるさまざまな面で影響を受ける可能性があります。

さらに、教員との信頼関係が構築できていないと、友達との関係で悩みを抱えていても、相談できる相手がいなくなってしまいます。

人間関係の悩みは学校生活全般に影響を及ぼす可能性があり、学校に行きたくないと感じる理由となるでしょう。

授業についていけない

中学生になると、小学生の頃より学習内容が難しくなります。そのため、授業についていけなくなってしまう場合もあるでしょう。

授業についていけないと、ほかの生徒との差を感じて精神的負担が大きくなり、学校に行きたくないという思考に至る可能性があります。

また、中学校になると定期テストが行われるようになります。順位が公表されて学力の差が明確になる学校もあります。がんばって勉強しているのに、点数が下がったり、思うような結果が出なかったりした場合は、学習意欲が低下してしまうこともあるでしょう。

生活リズムが整えられない

中学生になると、勉強や部活動など、小学生と比べてやることが増えてきます。人によってはゲームなどに夢中になり夜更かしをしてしまい、朝起きられなくなるということもあるでしょう。

特に長期休み中は生活が不規則になりやすく、学校が始まっても生活リズム戻らず、学校に行くのが億劫になってしまう場合もあります。

子どもが自分自身で生活リズムを整えられない場合は、家族のサポートも重要です。

学校の環境に適応できない

学校の環境に適応できず、学校に行きたくなってしまう中学生もいます。小学校よりもルールが厳しくなったり、学習のレベルが上がったりすることが要因として挙げられます。

また、中学生になると部活動が始まり、先輩後輩の上下関係を気にする場面を出てきます。そういった新しい環境に適応できないと、学校へ行くことにストレスを感じてしまうでしょう。

家庭環境に悩みがある

離婚・再婚による家族構成の変化や、親の失業・転職による家庭環境の変化に悩みを抱えてしまう中学生もいます。

家庭環境が変わった際は、子どもの精神状態も気にかけてあげることが大切です。

学校に行きたがらないときに親が避けるべき4つの行動

中学生が学校に行きたがらない場合は、対応方法に注意が必要です。親が避けるべき行動について解説します。

  • 無理に学校に行かせようとする
  • 学校に行きたくない理由を問い詰める
  • 親の価値観を押しつける
  • 感情的に接する

無理に学校に行かせようとする

学校に行きたくない子どもを無理に学校に行かせようとするのは禁物です。無理やり学校に行かせようとすると、子どもにさらなる負担をかけてしまい、かえって学校に行きたくなくなる可能性があります。

子どもの様子を見ながら、徐々に原因を探り、解決方法を一緒に考えていきましょう。

学校に行きたくない理由を問い詰める

子どもが学校に行かなことで、親が不安を感じるのは当然です。しかし、無理に理由を聞き出そうとして問い詰めてしまうと、子どもは心を閉ざしてしまう可能性があります。

学校に行きたくない理由を話したがらないのは、次のような理由が考えられます。

  • 理由を親に話したくない
  • 学校のことを考えるだけでつらい
  • 自分でも理由がよくわからない

学校に行きたくない理由についてしつこく聞かれると、責められていると感じてしまいます。また、結論を急ぐと気持ちがまとまらず、子ども自身が混乱してしまう可能性もあるでしょう。

話したくなったら自分から話してくれると信じて、そっとして見守ってあげるのも手段の1つです。原因の究明を急ぐよりも、ゆっくり休んで気持ちを整理するほうがよいケースもあります。

親の価値観を押しつける

自分の価値観を子どもに押しつけるのも禁物です。一般的な価値観を押しつけてしまうと、子どもをさらに追い込むことになりかねません。

例えば「勉強についていけなくなったらどうするの?」「高校受験できなくなったらどうするの?」などと言いたくなることもあるでしょう。しかし、現実を押しつけても、逆効果になる可能性があります。

価値観を押しつけるのではなく、子どもの気持ちに寄り添ってあげることが大切です。

感情的に接する

学校に行きたくない中学生の子どもに対して感情的に接してしまうと、不信感を与えてかえって追い詰めることになりかねません。

例えば、子どもが登校しない原因をイライラした口調で聞き出そうとすると、子どもは焦ってしまい本当のことを伝えづらくなってしまいます。

冷静に普段通りの対応を心がけ、子どもにストレスをかけないようにしましょう。

親がとるべき3つの対処法

中学生の子どもが学校に行きたくないと言った場合に、親がとるべき対処法は以下の通りです。

  • 子どもに寄り添う
  • 生活リズムを整えるサポートを行う
  • 学校と連携する
  • 学校や専門機関や医療機関に相談する

子どもに寄り添う

まずは子どもに寄り添い、学校に行きたくないという気持ちを受け入れましょう。学校に行きたくないのは心身ともに元気をなくしている可能性が高いため、数日間ゆっくり休ませて様子を見ることも大切です。

学校に行きたくない理由を無理に聞き出すのではなく、話し始めたときにじっくり耳を傾けるようにしてください。休息が十分にとれた後であれば、行動をおこす気力や体力が戻り、少しずつ話をしてくれる可能性があります。

子どもに寄り添うことで徐々に前向きな気持ちになり、学校に行きたくない原因の解決をしていけるようになるでしょう。

生活リズムを整えるサポートを行う

決まった時間に起床・就寝できるように声をかけたり、食事の時間を固定したりするなど生活リズムを崩さないようサポートをしましょう。生活リズムが乱れると、体調を崩したり、精神的に衰弱したりする要因になりかねません。

学校に行かなくなった場合でも規則正しい生活を送るために、以下のようなルールを決めておくとよいでしょう。

  • テレビやゲームの時間を決める
  • 勉強する時間を決める

日頃から生活リズムを整えておくことで、学校に行きたくなった際にも、スムーズに学校生活に戻りやすくなるでしょう。

学校と連携する

学校と連携することで、学校に行きたくない原因がわかり、解決につながることがあります。

例えば、人間関係が原因の場合、子どもが理由を話しづらい場合があります。学校と連携しておくことで、学校での様子を調べてもらうなどの協力を得られるでしょう。

また、授業についていけていないことが原因だった場合も、家庭内だけで解決するのは難しいと考えられます。担任教師に相談することで、学習方法の改善など、具体的な解決策を検討することができるでしょう。

専門機関、医療機関に相談する

中学生が学校に行かなくなった原因や子どもの様子に応じて、専門機関や医療機関に相談することも検討しましょう。発達障害や精神的な病気が原因で、登校できない場合もあるためです。

例えば、立ち上がるときにめまいや動悸が起きる場合は、重症化するケースもあります。

また、発達障害は生まれつきの特性により、学習やコミュニケーションに支障が出る障害です。症状が軽度で気づかなかったものの、中学入学やクラス替えなどの環境の変化によって病状が発覚することもあります。

こういった症状がある場合は、不登校を家族だけで解決しようとするのは難しいです。不登校に詳しい下記のような専門機関に相談してみましょう。

  • 児童相談所
  • 教育センター
  • ひきこもり支援センター
  • 発達障害者センター

学校に行かなくても勉強できる方法

中学生の子どもが学校に行きたくない場合、学校以外で勉強できる主な方法は以下の通りです。

  • フリースクール
  • オンライン教育サービス
  • 通信制高校の中等部

一定の要件を満たせば、フリースクールや通信制高校の中等部に通うことで、通っている中学校の出席日数としてカウントされるケースもあります。

フリースクール

フリースクールとは、学校に行けなくなった中学生を対象に学習支援・生活指導・心のケアなどを行っている教育施設です。生徒一人ひとりに合った個別指導を行い、ニーズに合った教育を提供してくれます。

フリースクールには以下のような種類があります。

  • 公立フリースクール:自治体が運営しており、無償で対応してくれる。一般的には個別指導が中心
  • 私立フリースクール:民間団体が運営しており、公立フリースクールに比べて教科学習に特化したカリキュラムが特徴
  • オンラインフリースクール:オンラインで授業を受けられるフリースクール。通学が困難な生徒に向いている
  • 放課後フリースクール:学習塾が不登校の中学生向けに開講しているフリースクール。授業の時間帯が放課後や週末のケースが多い

オンライン教育サービス

オンライン教育サービスとは、インターネットを通じてリモートで教育を受けられるサービスです。

オンライン教育サービスを利用すれば、学校へ行かなくても自宅で学習を続けることが可能になります。

また、サービスによってはゲームやメタバース空間などを活用した教育を行っている場合もあります。楽しく勉強ができれば、学習意欲が高まり、学校へ行く意欲にもつながる可能性があるでしょう。

通信制高校の中等部

通信制高校の中には、中学生からでも通える「中等部」をもつ学校があります。

通信制高校の中等部では、学習以外にも専属のカウンセラーに悩みを相談したり、全日制高校への進学相談をしたりといったサポートも受けられたりします。また、通信制高校への内部進学を保証しているケースもあります。

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不登校の中学生が通信制高校を目指す3つのメリット

学校に行きたくない子どもや、不登校になった中学生の進学先として通信制高校があります。

不登校の中学生が通信制高校を目指すメリットは、主に以下の3つです。

  • 登校する頻度が少ない
  • 人間関係のストレスが少ない
  • サポート体制が充実している

登校する頻度が少ない

通信制高校は、自宅学習が基本のため、登校数を少なくすることができます。早起きが苦手な子や、人付き合いが苦手な子にとっては、大きなメリットになるでしょう。

また、先生から面接指導を受ける「スクーリング」を除き、出席日数が足りなくて留年する心配がありません

登校頻度が少ないことによって生活リズムが崩れてしまうリスクを避けたい場合は、登校日数を増やしたり、アルバイトをしたりすると良いでしょう。

なお、スクーリングについては、こちらの記事「通信制高校のスクーリングとは?スクーリングが少ない学校3選も紹介」で解説しているので参考にしてください。

人間関係のストレスが少ない

通信制高校は自宅学習が基本のため、クラスメイトや教師と会う機会が少ないです。そのため、人とのコミュニケーションが苦手でも、日常的に人と顔を合わせる必要がないためストレスを軽減できるでしょう。

登校する場合も、個別授業や少人数制クラスを採用しているケースが多いため、人間関係に不安がある人でも通いやすくなることがあります。

サポート体制が充実している

学校に行きたくないという子どもにとっては、相談に乗ってくれるカウンセラーがいたり、学習面での個別指導が受けられたりといったサポート体制が充実している点はメリットになるでしょう。

また、通信制高校は全日制高校に比べて人数が少なく、1クラス10人前後の学校もあります。少人数制によって担任の教師が生徒一人ひとりと深く向き合うことが可能で、学校によっては個別指導を行っているケースもあります。

なお、ズバット通信制高校比較では、5つの簡単な質問に答えるだけで、タイプに合わせた通信制高校の資料を無料で一括請求できます。高校選びに迷っている方は、ぜひ利用してみてください。

よくある質問

最後に、学校に行きたくない中学生に関するよくある質問を紹介します。

Q.学校に行きたくない理由を親に言えないのはなぜ?

A.理由は、子どもによってさまざまです。例えば、親を心配させたくないという思いがあると、理由を言いづらいでしょう。また、学校に行きたくないけど、理由をきちんと説明できるほど言語化できていない場合もあります。

中学生の子どもの気持ちに寄り添い、ゆっくり休ませてあげてから、子どもが話してくれるタイミングを見計らいましょう。

Q.不登校につながる子どもの兆候はある?

A.不登校になってしまう中学生の子どもには、以下のような兆候が見られます。

  • 体調不良になる
  • 寝つきが悪くなる
  • 朝起きられなくなる
  • イライラしている
  • 口数が減る・増える

ほかにも「自分の部屋から出てこない」「目を合わせてくれない」などの変化が起きる場合もあります。

Q.中学にも留年はある?

A.中学校で留年することはありません。まれに不登校や長期入院を理由に、学校側から留年を提案されることもありますが、強制的に留年させられることはありません。

Q.中学で不登校になっても高校は行ける?

A.中学校は不登校でも卒業できるため、高校受験もできます。

ただし、最近では緩和されつつありますが、中学校での出席日数が足りないと受験できない高校もあるため、注意が必要です。公立高校であれば、欠席に関する申告書を提出したり、面接などほかの選考方法を採用したりといった措置がとられることが多いです。また、不登校の生徒を対象とした選抜試験を実施している都道府県もあります。

一方で、私立高校では学校ごとに欠席日数の扱いが異なり、欠席合計日数が◯日以内と出願条件が決まっている場合があります。

また、不登校の中学生の進路として通信制高校という選択肢もあります。通信制高校では、原則「中学校を卒業見込みの人」であれば誰でも受験可能です。

まとめ

学校に行かない中学生の数は年々増えており、行きたくないと思う理由はさまざまです。無理に行かせようとすると逆効果になってしまうため、きちんと子どもに寄り添ってサポートをしてあげましょう。

中学生は基本的に留年することはありません。フリースクールやオンライン教育サービスを利用することで、学校に行かずに学習を継続することが可能です。

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